2015年12月度外食産業売上プラス2.7%…2か月ぶりに前年比プラスを計上

2016/01/25 15:00

日本フードサービス協会は2016年1月25日付で、同協会の会員会社で構成される外食産業の市場動向調査における最新値となる、2015年12月度の調査結果を公開した。それによると同月の総合売り上げは前年同月比でプラス2.7%を計上した。ファストフードなどで客足が少なめに推移したが、大よその業種で客単価が向上しており、これが売上を押し上げる形となった(【日本フードサービス協会:発表リリースページ】)。

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今調査はファストフードやファミレス、パブレストランや居酒屋、ディナーレストラン、喫茶店などを対象としている。対象数は事業者数が199、店舗数は3万3074店舗。今月は前月と比較すると事業社数は増え、店舗数は減少している。

全業態すべてを合わせた2015年12月度売り上げ状況は、前年同月比で102.7%となり、2.7%の増加を記録した。これは先月から転じる形で2か月ぶりの増加となる。前年同月と比べると日取り(休日や土曜日の日数)の上では土曜日・休日共に日数は変わらず、影響は生じていない。また雨天日数は前年同月と比べると大阪で1日多かったものの、気温は東京・大阪共に2度強も高めの値を計上しており、これがプラスに作用することとなった。

業態別に動向を見ると、ファストフードは全体では前月から転じる形で2か月ぶりのプラス(プラス4.2%)。ハンバーガーチェーン店がメインの洋風は、そのメイン企業となるマクドナルドが、2014年夏からの相次ぐトラブル、さらにはそれをきっかとした中長期に渡る問題点の露呈化や市場動向の変化に対応しきれない状況が継続しており、客数は下落が継続。しかし客単価が大きくプラス化していることから、売り上げをプラスに押し上げる結果となった(プラス4.8%)。

主軸となるマクドナルドで大規模な客の減少が生じた事案が発生したのは2014年の7月からで、12月もマイナス値を示していた(ファストフード洋風の売上高は前年同月比でマイナス11.8%だった)。その時のマイナス値との比較となるため、反動による底上げ効果もあり、今回はプラスを示している。マクドナルド単体の2015年12月における営業成績はプラス8.0%(売上、既存店、前年同月比)とそれなりに大きな上げ幅を示しており(客数はマイナスだが客単価が1割以上のプラスを計上)、これがファストフード洋風全体へのプラスの影響を与えたものと考えられる。なお同業他社のモスバーガーではプラス11.2%(同)を示している。

牛丼チェーン店を含む和風は、客数はマイナス5.7%と下落、客単価は大きく上げてプラス5.4%と成し、売上はマイナス0.6%とマイナスを計上。前年同月(プラス3.8%、鍋メニューの投下効果)の反動がいくぶん作用したようだ。持ち帰り米飯・回転寿司は店舗数の減少に伴う客数減退が足を引っ張ったものの、客単価がそれをサポートし、売上はプラスに。

ファミリーレストラン部門は全業種がプラスで、特に焼肉のプラス幅が大きい。中華はぎりぎりプラス(プラス0.1%)だが、これは店舗削減に伴う客数の減少が足踏み感をもたらしたとのこと(とはいえ店舗変化率はマイナス0.4%でしかなく、客数はマイナス1.4%であることから、営業時間の短縮など他の要因も多分に考えられる)。焼肉は売上高をプラス7.6%と成し、先月に続き全業種詳細区分別では最高の上げ幅を示している(ファストフードの「その他」除く)。パブ/居酒屋部門ではパブが店舗数を減らしたにも関わらず忘年会の波に乗る形で奮闘し売上をプラス0.6%と増やしたが、居酒屋はそれ以上に店舗数の減退による客数減が響き、マイナス8.0%と区分別最大の下げ幅を計上。

ディナーレストラン(高級レストランに代表されるリッチスタイルな専門飲食店)は客数・客単価共に堅調で、売上もプラス。リリースには「暖冬と出店効果」と説明されている。

↑ 外食産業前年同月比・全店データ(2015年12月分)
↑ 外食産業前年同月比・全店データ(2015年12月分)

暖冬が外出機運を底上げ。
客単価も概ね好調。
ファストフード洋風も
プラスを計上。
パブ/居酒屋のみ
軟調さが続く。
2014年4月の消費税率改定に伴う消費性向の減退影響も直接的にはあまり生じなかった外食産業だが(今件各種計上値は税抜比較で行っているため、消費税率引き上げに伴う「税込の」売上上昇は、業績動向には直接は影響を与えない)、2014年夏における天候の悪化、そして中国産鶏肉食材問題と2つのイレギュラー的なマイナス要素が足を引っ張り、むしろ状況は2014年夏以降は低迷感をぬぐえない状態が続いていた。特に後者は食材問題自身の影響に加え、それをきっかけとして業界の一部部門(ファストフード・洋食)における根本的な問題が露呈する形となった。大きな社会問題化した異物混入事件まで加わり、2014年夏以降大きなシェアを有するマクドナルドに相次いでいる状況に、ファストフード部門、さらには外食産業全体が多分に振り回されている感はあった。

2015年7月からは軟調化開始から1年が経過することもあり、該当事業の「前年同月比における」マイナス幅は縮小。業績そのものも回復、少なくとも下落の勢いにブレーキがかかりつつある。ここ数か月全体として売り上げが前年同月比でプラスを示しているのは、好ましい話に違いない。

一方で同一業態内の洋食ファストフードの他チェーン店では、マクドナルドの事案を他山の石としているように見えるがごとく、自社の得意部門にさらなるリソース投入を行い、新商品・サービスを展開し、個性の強調・区別化を図る施策を実施している。

同じファストフード内の和風のメインとなる牛丼チェーン店だが、吉野家を中心にこれまでの廉価店の店舗イメージから少しずつ、そして確実に、ワンステップ上の価格帯における商品展開を行う業務スタイルにシフトしつつある。客数の減退と客単価の上昇が連動して起きる状況が継続しており、中期的戦略転換が数字となって表れている。

居酒屋の不調続きも要注意ポイント。こちらは食材の影響は無く、純粋にビジネススタイルそのものが時代の流れの中で歯車のずれを生じ、店舗数そのものも漸減してしまっている。現在は可処分所得の減少、中食へのシフト、お酒を飲む機会の変化など、居酒屋にはマイナスとなる環境の変化の真っただ中にある。複数人数が一緒に来店して会食をする点では、飲酒以外は類似点が多いファミリーレストラン部門が大よそ堅調なのも対象的。店舗数の急速な減少は、状況の悪化を受け、淘汰が進んでいるように見える。

吉呑みもっとも居酒屋の業態そのものが時代に取り残されたわけでは無い。牛丼チェーン店の吉野家が運用している「吉呑み」が堅調さを示し、適用店舗数を続々と増やしている。ちょっと一杯飲みに行くスタイルでは先駆者ともいえる中華料理店の日高屋が好評を博しているとの報告もなされ、その市場の実情が明らかにされている現状を見るに(運営会社のハイデイ日高の月次売上を確認すると、ここ数年は前年同月比でほとんどの月においてプラスを呈している。ちなみに今回該当月にあたる2015年12月は既存店で客数プラス0.8%・客単価プラス1.3%、売上高プラス2.1%を計上している)、既存の居酒屋にも環境を直視した上で、何らかの変化が求められているように思える。

牛丼業界の動きやディナーレストラン、ファミリーレストランの動きの良さを合わせ見ると、外食産業でも消費の二極化が進んでおり、中庸的なポジションの市場が縮小している感は否めない。外食産業全体の動向を精査するうえで、店舗数動向もあわせ、今後も注視すべき重要ポイントといえる。


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