学歴別の平均賃金をグラフ化してみる(2015年)

2015/02/24 15:00

親はえてして子供に「良い学校に入りなさい」と教えさとし、勉学に励ませ、有名な学校への進学を推し進める。これは「高学歴ほど良い会社に入れ、高い給金をもらえる」のような、世間一般的に語られている事柄に基づいた方針によるもの。人の価値観は多種多様なため、何を「良い」の判断基準にするかはケースバイケースとなるが、「高学歴ほど良い学校」との認識が大勢を占めていることに違いはない。それでは本当に、高学歴ほどもらえる給金は多いのだろうか。厚生労働省が2015年2月20日に発表した、賃金関連の情報をまとめた調査「賃金構造基本統計調査」の最新版となる調査結果【平成26年賃金構造基本統計調査(全国)結果の概況】をもとに、学歴と賃金との関係を確認していくことにする。

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高学歴ほど高賃金に違いなし


今回検証する「賃金構造基本統計調査」内の賃金は「賃金(所定内給与額)」と呼ばれているもの。これは各企業の規定などで定められている方法・条件によって支給された現金給与額から、超過労働給与額(残業代)や賞与などを除き、さらに所得税などを控除する前の額を指す。要は基本給に家族手当などを足したものである。

また対象としているのは「一般労働者」のみ。契約社員や派遣社員などのような非正社員もフルタイム労働者なら該当するが、パートやアルバイトのような就労時間が短い労働者は(「短時間労働者」に該当するため)今件精査からは除外される。

↑ 雇用形態関連の分類。今件記事では「一般労働者」をチェックする
↑ 雇用形態関連の分類。今件記事では「一般労働者」をチェックする

まずは2014年における学歴別・性別の平均賃金。

↑ 学歴・性別平均賃金(千円)(2014年)
↑ 学歴・性別平均賃金(千円)(2014年)

他の区分方法による仕分け方同様、どの学歴でも女性よりも男性の方が平均賃金は高い。また学歴が高い方が、全般的には賃金も高い傾向がある。この結果を見る限り、高学歴ほど高賃金に間違いはない。

前述記事にある通り、2014年は前年と比べて「賃金(所定内給与額)」の水準が上昇、特に女性において大きな底上げが成されており、全属性で前年比プラスの値が計上されている。とりわけ高校卒の女性の上昇幅が大きい。

↑ 学歴・性別平均賃金(前年比)(2014年)
↑ 学歴・性別平均賃金(前年比)(2014年)

2012年から2013年にかけて大卒・大学院卒の賃金は減少。いわゆる「大学プレミアム」的なものは2011年を最後に縮小する傾向が続いていたが、2014年ではようやくその状況から転じる気配を見せることとなった。

もっとも2014年においても上昇率は高校卒や高専・短大卒の方が大きく、大卒・大学院卒は小幅に留まっている。元々大学・大学院卒の方が金額そのものは大きい事に加え、上昇金額も高校卒などの方が大きい結果である。雇用市場の活性化に伴い、即戦力となりやすい高校卒や高専・短大卒の需要が高まり、賃金もそれに応じて底上げされたのだろう。

↑ 学歴・性別平均賃金(前年比、金額・千円)(2014年)
↑ 学歴・性別平均賃金(前年比、金額・千円)(2014年)

またグラフ化は略するが、高校卒や高専・短大卒では高校卒女性を除けば大よそ50代以上の賃金上昇幅が大きなものとなっている。一方大卒・大学院卒では若年層と、女性高齢層の上昇幅が大きい。賃金が高い≒人材需要が大きい実態と合わせ、注意すべき動きではある。

世代別の動向を確認していくと……


学歴別に年齢階層別の賃金推移を追うと、興味深い傾向が見られる。

↑ 学歴別平均賃金(男性)(個々の学歴で20代前半を100とした時の値、2014年)
↑ 学歴別平均賃金(男性)(個々の学歴で20代前半を100とした時の値、2014年)

↑ 学歴別平均賃金(女性)(個々の学歴で20代前半を100とした時の値、2014年)
↑ 学歴別平均賃金(女性)(個々の学歴で20代前半を100とした時の値、2014年)

それぞれの階層の20代前半の額を100とした場合の動きであり、金額の絶対額には左右されない。それでもやはり男性の方が数字が大きい(縦軸の区切りの違いに注意。男性は上限が300に対し、女性は200である)。これは男性の方が昇給の割合が大きい・一般労働者における正社員比率が高いことを意味する(正社員の方が非正社員と比べれば概して賃金は高い)。

また、年齢経過に伴う賃金の上昇だが、

・女性より男性の方がカーブが急こう配。つまり、年功序列制度による昇給の度合いが大きい。

・男女とも高学歴の方がカーブが急こう配。高学歴の方が年を取るにつれてもらえる給与の増加率が大きい(学歴・取得知識の実態効果)。

・男性は50代が賃金のピーク。それ以降減少するのは嘱託に転じる人が増えるため(60代後半の大学・大学院卒における跳ねあがりは、その歳でもなお雇用される高度な技術を持っている事への対価が数字化されているのかもしれない)。

・女性の大学・大学院卒は50代前半をピークとし、それ以降は男性とは異なり多少落ちた上で横ばいを維持する。

・女性の高校卒、高専・短大卒は40代に入ると賃金の上昇はほとんど見られなくなる。特に高校卒は事実上横ばいを継続、60代に入ると低下。

などの傾向が確認できる。男女の正社員・非正社員の区分や出世のスピードなどの違いも要因だが、「平均賃金」の視点で確認した場合、絶対額だけでなく上昇率(昇給率)においても女性は男性と比べて低く抑えられているのが分かる。



性別は生まれながらのもの。しかし学歴は個々の努力や運という後発的な要素によるところが大きく、「生まれながらの運命」的要素はあまり無い(家庭環境などの問題はある)。そしてやり甲斐や社会的意義はもちろんのこと、その他さまざまな要素が「仕事」には存在するが、「賃金」もその一つに違いは無い。まずは失職しないのが大前提なものの、同一条件下なら学歴が高い方が賃金も高くなる傾向にある。もちろん同じ仕事内容なら、賃金は高い方がありがたい。

学歴を得るためにはそれ相応の勉学を積み重ね、知識を吸収する必要がある。その過程で人脈も技術も資格も自分のものとして取得する機会が得られる。「学歴偏重」を賛美するわけではないが、「学歴」が社会に、そして自分自身にもプラスとなる「勲章」「証明」だと考えれば、それらに注目することはおかしい話では無い。

学生時の勉学によって得られるのは「将来のための選択肢」であり、それは多ければ多いほど、より良いものを選ぶチャンスが増えることになる。今件データも、それを裏付けるものに過ぎない。


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