原油先物(WTI)価格の推移をグラフ化してみる(2016年)

2016/01/20 10:00

昨今ガソリン価格、そしてその大本となる原油価格の動向に大きな注目が集まっている。為替にも影響されるため日本国内のガソリン・灯油価格の変動は海外と比べればゆるやかなものだが、それでも小さからぬ値動きが生じている。そして国際情勢は原油価格の変動を受け、大きな変化が生じ、また逆に国際情勢も原油価格の変動を起因として少なからぬ変化が起きている。そこで今回は原油先物(WTI、アメリカ南部などで産出される原油ウェスト・テキサス・インターミディエイト(West Texas Intermediate)の先物価格。原油価格の指標的な立ち位置にある)の動向を確認し、石油(原油)価格の変遷を眺めることにした。

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データ取得元はアメリカのエネルギー省(EIA、Energy Information Administration・Official Energy Statistics from the U.S. Government)が提供している【原油などの価格動向に関する各種データ提供ページ(Petroleum & Other Liquids/DATA))】。ここから「Spot Prices」を選び、リスト上記にある「Crude Oil(原油)」から「WTI - Cushing, Oklahoma」を選び、「View History」ページに移行。その上で月次データを取得する。今件データはオクラホマ州のCushingに位置する売り手側施設での価格。現時点では2015年12月分までが確認できる。

↑ WTI価格(1バレルあたり、ドル、1986年1月-、月次)
↑ WTI価格(1バレルあたり、ドル、1986年1月-、月次)

直近の金融危機、いわゆる「サブプライムローンショック」後の資源価格高騰時における価格の急騰が一番目立つ(2008年中頃)が、それ以外でも中期的に原油価格は上昇傾向にあること、そして2009年以降は値を高値に戻した後、もみ合いを続けて100ドル内外での値を維持、さらに直近ではイレギュラー的な下げ方を示している事が分かる。後述するが2015年1月末辺りで原油価格は底値を打ち、その後復調の兆しを見せていたものの間もなく失速。今は下値を模索する動きを見せている。

月次ベースにおける最新の値は2015年12月分の37.21ドル。前月の42.44ドルよりは5ドルほど値を下げ、前年同月の59.29ドルからは半分強の値となっている。

続いて1946年1月から月次単位でWIT価格を保存している場所「Economagic.com」で取得したデータによるグラフ。【Price of West Texas Intermediate Crude; Monthly NSA, Dollars Per Barrel】から逐次データを取得していく。なお「年ベースでの最高値」「平均値」では無く「毎年の12月の値」を元にしている(直近2015年はEIAから取得した最新の12月分の値を反映)ため、例えば2008年の値は同年で最高値を付けた夏の130ドル強では無く、12月の40ドル強になっていることに注意。

↑ WTI価格(各年12月時点)(1バレルあたり)
↑ WTI価格(各年12月時点)(1バレルあたり)

1970年頃まではほとんど固定相場で非常に安価(例えば1950年なら2.57ドル)だったのが、オイルショック(石油危機)前からじわじわと上昇。1970年代のオイルショックで大きく値を上げていく。その後はやや安値となり小刻みな上下を見せつつも安定していたが、21世紀に入ってから再び大きく上向いている様子が分かる。また2008年以降の資源高騰とその後の反動による急落が、いかに異常な状況だったかも理解できよう。



昨今では冒頭にある通り原油価格の大きな変化が国内外で様々な動き(株式市場や国レベルでの外交施策の変化)を誘発しており、原油の影響力の大きさが理解できる。変動の大きさをより詳しく確認するため、金融危機ぼっ発の2007年以降の月次(2015年12月分まで)、そして2014年頭以降の日次動向を取得できる範囲、さらには直近1年間の日次による動向をグラフ化しておく。

↑ WTI価格(1バレルあたり、ドル、2007年1月-、月次)
↑ WTI価格(1バレルあたり、ドル、2007年1月-、月次)

↑ WTI価格(1バレルあたり、ドル、2014年1月1日-、日次)
↑ WTI価格(1バレルあたり、ドル、2014年1月1日-、日次)

↑ WTI価格(1バレルあたり、ドル、直近1年間、日次)
↑ WTI価格(1バレルあたり、ドル、直近1年間、日次)

2014年以降に限れば、2014年6月20日に最高値107ドル95セントをつけ、その後はゆるやか、そしてやや加速をつけて下落。いくぶんのリバウンドを見せた後、2015年の3月17日に43ドル39セントの安値を示す。その後は勢いよく上昇するも60ドル台でブレーキがかかり、6月10日の61ドル36セントを高値として、数日のもみあいの後、急速に失速。8月下旬に底を打った後は40ドル後半で推移していたが、11月に入ってからは再び下落。

直近となる2016年1月11日は31ドル42セントで、2015年8月24日につけた38ドル22セントを下回り、さらに下落する動きを示している。なお御承知の通り、その後も下落傾向は継続し、現時点では30ドルを挟んだ攻防戦が繰り広げられている。

原油価格の下落の一因は高コストなシェールオイルの市場影響力を落とすための、産油国による意図的な価格操作だとする話もある。しかし【中国経済、一般に言われているより悪い=渡辺JBIC総裁(ロイター)】では「米シェールオイル・ガスの損益分岐点が従来のバレル35ドル程度から25ドル程度まで下がって」との指摘もあり、短期的ならば原油市場価格が現状レベルでも、シェールオイルによる生産は経済的に継続できる状況にある。

他方、中国の景気後退に伴う原油需要の減退(懸念)、【レギュラーガソリン価格と灯油価格をグラフ化してみる】でも言及の通り、2015年12月18日付でアメリカ合衆国の上下両院議会が同国産原油の輸出を40年ぶりに解禁する歳出法案を可決しており、これにより市場への供給量の増加予想、同国の金利引き上げに伴う米ドルの上昇、イランの原油輸出量増加方針、サウジアラビアの生産制限の非実施など、需要の減少と供給の増加要素が多数生じており、結果として原油のだぶつき感が強まり、これが価格の下落圧力の増加となっている。

ここ数年で生じている急激な原油価格の変化、特に下落により、原油の輸出入が経済に大きく関与している国では、対応が難しくなるのは必然。原油価格動向が昨今の国際情勢、そして原油産出国の思惑も多分に影響していることを思い返せば、今後の動きにも大いに注目しなければなるまい。


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