「暴力的ゲームは遊ぶ人を暴力行為に走らせる」米国での同意派は4割

2016/01/29 10:54

デジタル化やインターネット経由によるリアルタイム同時多人数参加性の仕組みの導入などにより、熱中度がこれまでの娯楽と比べて桁違いのレベルにアップしたデジタル系ゲーム。昨今では機動力の高さからスマートフォン上で遊べるアプリゲームの中毒性が社会問題化するほどとなっているが、その熱中度の副作用的なものとして語られる話の一つに「暴力表現のあるデジタル系ゲームを遊んでいると、プレイヤーも暴力的行動を取りやすくなる」がある。昔からよく語られる「漫画ばかり読んでいると漫画のような悪行動をする」「テレビばかり観ているとテレビの真似をしていたずらをする」と同様の指摘であり、多分に個々の素質や対象となる素材の内容、そして教育啓蒙環境などの多数の要因が関与する問題であることから、一つの要素に責をかぶせる動きは、問題の本質をとらえにくくする弊害があるのは言うまでもない。今回はアメリカ合衆国における「暴力性のあるデジタルゲームと暴力的行為の関係を肯定するか否か」について、同国の民間調査会社Pew Research Centerが2015年12月15日に発表した、デジタル系ゲームで遊ぶこととゲーマーに関する調査結果から確認していく(【発表リリース:Gaming and Gamers】)。

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今調査の調査要項は先行記事の【米成人の5割近くはゲームで遊び、1割は自分を「ゲーマー」と自覚している】を参照のこと。その記事で解説の通り、今調査対象母集団(アメリカ合衆国の成人男女)では、全体で5割近くがパソコン、家庭用ゲーム機、スマートフォンなどによるゲームで遊んでいると自覚し、1割がゲーマーを自認する意識を有している。

↑ デジタル系ゲームのプレイ状況(米国、2015年6月)(再録)
↑ デジタル系ゲームのプレイ状況(米国、2015年6月)(再録)

大人の間でも多分に浸透しているデジタル系ゲームだが、冒頭の通り暴力性のあるゲームに関しては、プレイをしていると当事者が暴力的行為に走りやすいとの批判的意見もある。そこで、この話に関して、肯定的な意見を持つか、否定的かを、回答者自身はどのように思っているのかを答えてもらった結果が次のグラフ。心理学的な分析や、多数の実証実験に伴う行動性向の検証ではなく、あくまでも「個人の感想」の集約結果であることに注意。

↑ 「暴力性のあるデジタルゲームで遊んでいる人は暴力的な行動を取りやすくなる」(米国、2015年6月)
↑ 「暴力性のあるデジタルゲームで遊んでいる人は暴力的な行動を取りやすくなる」(米国、2015年6月)

全体では4割が賛同意見、つまり「暴力性のあるゲームをプレイすると、プレイヤー自身が暴力性を有するようになる」と認識している。否定派は5割強で多数派となるが、差は13%ポイントでしかない。

男女別では男性の否定派は6割を超えるが、女性は4割強でしかなく、賛否が均衡している。女性は暴力性のあるゲームに関して「遊んでいると乱暴になるかも」との懸念を強く抱いている。この傾向はデジタルゲームプレイヤーに限っても変わらない。むしろデジタルゲームのプレイ経験者では、より男女差が大きく出る形となる。この類のゲームのとらえ方には、男女で違いが出るのかもしれない。

気になるのはいくつかの属性の仕切り分けで、世間一般的に認識されているような傾向が出ていること。デジタルゲームで遊んでいる人は否定派が多いが、遊んでいない人は肯定派の方が多くなっている。また世代別では若年層ほど否定派が多く、高齢層ほど肯定派が多い。最初のグラフの通り、元々高齢層ほどプレイヤーの可能性が低いことから、年上=非プレイヤー=肯定派となるのは容易に想像できるが、いざ実際にここまで明確な差が出ると、改めてその実情に驚かざるを得ない。




冒頭の通り、暴力性のあるゲームを遊んで、その人が同様の行動を取りやすくなるか否かはケースバイケース。あくまでも行動様式・性格を方向付ける一要素でしかない。さらには逆の発想で、元々人の深層部分にある要素の一つともいえるそのような感情をゲーム内で発散させることにより、実社会面での体現化を防ぐ(ガス抜きをする)との考え方ですら可能となる。

デジタルゲームだからとの偏見を持たず、他のメディア同様の判断と対応を願いたいものではある。


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