2015年11月度外食産業売上マイナス0.5%…5か月ぶりに前年比マイナスを計上

2015/12/28 05:00

日本フードサービス協会は2015年12月25日付で、同協会の会員会社で構成される外食産業の市場動向調査における最新値となる、2015年11月度の調査結果を公開した。それによると同月の総合売り上げは前年同月比でマイナス0.5%を計上した。ファミレス部門は堅調だったものの、ファストフードやパブ・居酒屋が軟調さを見せ、全体の足を引っ張る形となった(【日本フードサービス協会:発表リリースページ】)。

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今調査はファストフードやファミレス、パブレストランや居酒屋、ディナーレストラン、喫茶店などを対象としている。対象数は事業者数が191、店舗数は3万33722店舗。今月は前月と比較すると事業社数は増え、店舗数は減少している。

全業態すべてを合わせた2015年11月度売り上げ状況は、前年同月比で99.5%となり、0.5%の減少を記録した。これは先月から転じる形で5か月ぶりの減少となる。前年同月と比べると日取り(休日や土曜日の日数)の上では休日は変わらないものの土曜日は1日少なく、マイナスに働いている。また気温は前年同月と比べると東京では低く大阪では高めだったが、雨天日数が東京で3日、大阪で2日多く、これがマイナスに作用する形となっている。

業態別に動向を見ると、ファストフードは全体では前月から転じる形で5か月ぶりのマイナス(マイナス0.5%)。ハンバーガーチェーン店がメインの洋風は、そのメイン企業となるマクドナルドが、昨年夏からの相次ぐトラブル、さらにはそれをきっかとした中長期に渡る問題点の露呈化や市場動向の変化に対応しきれない状況が継続しており、客数は下落が継続。客単価はプラス化しているが、売り上げをプラスに押し上げるまでには至らなかった(マイナス0.7%)。

主軸となるマクドナルドで大規模な客の減少が生じた事案が発生したのは昨年の7月からで、11月も大きなマイナス値を示していた(ファストフード洋風の売上高は前年同月比でマイナス5.8%だった)。その時のマイナス値との比較となるため、反動による底上げ効果が期待できるのだが、それでもなおプラスには至らなかった。マクドナルド単体の2015年11月における営業成績はマイナス2.5%(売上、既存店、前年同月比)とそれなりに大きな下げ幅を示しており、これがファストフード洋風全体へのマイナスの影響を与えたものと考えられる。なお同業他社のモスバーガーではプラス8.6%(同)を示している。

牛丼チェーン店を含む和風は、客数はマイナス8.7%と大幅な下落、客単価は大きく上げてプラス8.7%と成し、売上はマイナス0.8%とマイナスを計上。前年同月(プラス10.8%、鍋メニューの投下効果)の反動が大きく作用したようだ。持ち帰り米飯・回転寿司は店舗数の減少に伴う客数減退が足を引っ張り、ファーストフードの中では最大の下げ幅となった(マイナス3.9%)。

ファミリーレストラン部門は洋風と中華がややマイナスで、和風と焼肉がプラス。中華のマイナスは営業時間の短縮も影響しているとのこと。焼肉は売上高をプラス5.8%と成し、先月に続き全業種詳細区分別では最高の上げ幅を示している。パブ/居酒屋部門ではパブが店舗数を減らした影響で売上をマイナス2.0%と減らしたが、居酒屋はそれ以上に店舗数の減退が響き、マイナス11.1%と区分別最大の下げ幅を計上。

ディナーレストラン(高級レストランに代表されるリッチスタイルな専門飲食店)は客数をやや減らしたものの、客単価・店舗数が堅調で売上もプラス。リリースには「キャンペーンメニューの展開など」と説明されている。

↑ 外食産業前年同月比・全店データ(2015年11月分)
↑ 外食産業前年同月比・全店データ(2015年11月分)

雨天が多く
客数の点ではマイナス。
ファストフードや
パブ/居酒屋が鈍く
ファミレスも伸びは
今一つ。
昨年4月の消費税率改定に伴う消費性向の減退影響も直接的にはあまり生じなかった外食産業だが(今件各種計上値は税抜比較で行っているため、消費税率引き上げに伴う「税込の」売上上昇は、業績動向には直接は影響を与えない)、昨夏における天候の悪化、そして中国産鶏肉食材問題と2つのイレギュラー的なマイナス要素が足を引っ張り、むしろ状況は昨夏以降は低迷感をぬぐえない状態が続いていた。特に後者は食材問題自身の影響に加え、それをきっかけとして業界の一部部門(ファストフード・洋食)における根本的な問題が露呈する形となった。大きな社会問題化した異物混入事件まで加わり、昨年夏以降大きなシェアを有するマクドナルドに相次いでいる状況に、ファストフード部門、さらには外食産業全体が多分に振り回されている感はあった。

2015年7月からは軟調化開始から1年が経過することもあり、該当事業の「前年同月比における」マイナス幅は縮小。業績そのものも回復、少なくとも下落の勢いにブレーキがかかりつつある。ここ数か月全体として売り上げが前年同月比でプラスを示していたのは(今回月はマイナスとはいえ、下げ幅は最小限)、その実情はさておくとして、好ましい話に違いない。

一方で同一業態内の洋食ファストフードの他チェーン店では、マクドナルドの事案を他山の石としているように見えるがごとく、自社の得意部門にさらなるリソース投入を行い、新商品・サービスを展開し、個性の強調・区別化を図る施策を実施している。

同じファストフード内の和風のメインとなる牛丼チェーン店だが、吉野家を中心にこれまでの廉価店の店舗イメージから少しずつ、そして確実に、ワンステップ上の価格帯における商品展開を行う業務スタイルにシフトしつつある。客数の減退と客単価の上昇が連動して起きる状況が継続しており、中期的戦略転換が数字となって表れている。

居酒屋の不調続きも要注意ポイント。こちらは食材の影響は無く、純粋にビジネススタイルそのものが時代の流れの中で歯車のずれを生じ、店舗数そのものも漸減してしまっている。現在は可処分所得の減少、中食へのシフト、お酒を飲む機会の変化など、居酒屋にはマイナスとなる環境の変化の真っただ中にある。複数人数が一緒に来店して会食をする点では、飲酒以外は類似点が多いファミリーレストラン部門が大よそ堅調なのも対象的。

吉呑みもっとも居酒屋の業態そのものが時代に取り残されたわけでは無い。牛丼チェーン店の吉野家が運用している「吉呑み」が堅調さを示し、適用店舗数を続々と増やしている。ちょっと一杯飲みに行くスタイルでは先駆者ともいえる中華料理店の日高屋が好評を博しているとの報告もなされ、その市場の実情が明らかにされている現状を見るに(運営会社のハイデイ日高の月次売上を確認すると、ここ数年は前年同月比でほとんどの月においてプラスを呈している。ちなみに今回該当月にあたる2015年11月は既存店で客数マイナス0.8%・客単価プラス1.4%、売上高プラス0.6%を計上している)、既存の居酒屋にも環境を直視した上で、何らかの変化が求められているように思える。

牛丼業界の動きやディナーレストラン、ファミリーレストランの動きの良さを合わせ見ると、外食産業でも消費の二極化が進んでおり、中庸的なポジションの市場が縮小している感は否めない。外食産業全体の動向を精査するうえで、店舗数動向もあわせ、今後も注視すべき重要ポイントといえる。


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