高齢者の犯罪被害状況をグラフ化してみる(高齢社会白書:2014年)

2014/08/18 11:00

2014年6月13日に内閣府が発表した、日本の高齢化の現状などを公的データを中心にまとめた白書「高齢社会白書」の最新版(2014年版)を基に、高齢化社会の現状を推し量れるデータを逐次分析精査している。今回は高齢者が刑法犯の被害者となってしまった割合、その中でも社会一般的な認知度が高い「振り込め詐欺」に関する被害状況にスポットライトを当てることにする(【高齢社会白書一覧ページ】)。

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まずは高齢者(65歳以上)が刑法犯罪の被害者として認知された件数の推移。刑法犯罪認知件数そのものが戦後最大を記録したのは2002年で、高齢者を対象とした件数もその年が最大値となる。それ以降は「件数」は減少の一途をたどっているが、全認知件数比を算出するとむしろ増加傾向にある。

↑ 高齢者の刑法犯被害認知件数(万件)(高齢社会白書(2014年版))
↑ 高齢者の刑法犯被害認知件数(万件)(高齢社会白書(2014年版))

2009年には高齢者における認知件数・比率共に多少ながら減ったものの、2010年以降は件数が減退する一方で比率は増加(つまり若年層の認知件数よりも減り方が緩やか)、直近の2013年に至っては件数も増加しており、これが比率を大きく底上げ(前年比で1.0%ポイント増加)する形となった。

2013年における、全被害認知件数に占める高齢者の割合は13.1%に達している。つまり認知されている刑法犯による被害者全体の、7.6人に1人は高齢者との計算になる。全人口比における高齢者比率が増加しているのが主要因で、注視すべき状況ではある。

その高齢者が受ける被害としてもっとも多く認知されているのが、いわゆる「振り込め詐欺」。これは今世紀に入ってから大きな社会問題化しており、関係当局では2008年に入り本腰を上げて対策に取り組んだ結果(金融機関の「振り込め詐欺防止システム」の導入、犯罪性のある口座の凍結の促進や開設時の本人確認の厳格化、警察官立会や呼びかけなど)、2009年以降は大きく減少することとなった。

↑ 振り込め詐欺の認知件数・被害総額の推移(高齢社会白書(2014年版))
↑ 振り込め詐欺の認知件数・被害総額の推移(高齢社会白書(2014年版))

ただしグラフの注記にもある通り、「警察官などを装ってキャッシュカードを直接受け取る手口のオレオレ詐欺」をはじめ、官公庁職員や金融関係者を装ったタイプの手法など、容疑者側も手を変え品を変えているのが確認できる。また未公開株などの有価証券や外国通貨等の取引名目の詐欺も増加中。【9割は高齢者…「ダイヤモンド買え買え詐欺」国民生活センターが注意勧告】で報じたように、高額のダイヤモンドを用いた手口も多数確認されている。白書側でもこれらの一部には従来の振り込め詐欺グループが手法を変える形で関与していると推測している。

昨今では件数そのものは減退しているものの、金額がそれに反して増加していること、社会情勢に即時対応する形での詐欺が増えているのが特徴。還付金等詐欺が好例で、例えば【「5億円・消費税増税対策の給付金が当選しました」は詐欺です…財務省が注意喚起】のような事例もある。世の中に何か変化があった、不特定多数が見聞きするような事案が生じたら、それに関連する詐欺(直接相対することなく金銭を搾取する、この類のものは特殊詐欺と呼ばれている)が登場すると考えて、まず間違いない。



団塊世代の高齢化に伴い、退職金などの受領を受けて金融資産をいちどきに多分に所有するようになった高齢者人口の増加により、金銭に絡んだ刑法犯罪、特に振り込め詐欺の類による高齢者の被害が(手口・切り口は変化すれど)増加していくことは、ほぼ間違いない。容疑者グループにしてみれば「カモがネギをしょってやってきた」状態に見えるのだろう。

このような事例の場合、仮に容疑者側が捕まったとしても、搾取された金銭が戻ってくることはあまり無い。それにより、多くの高齢者にとって数少ない命綱が絶たれることになる。本人はもちろん、周囲に高齢者がいる人は、十分以上に注意し、配慮を払ってほしいものである。


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