震災後の減退も2012年後半から復調、再び下落、そして…震災後のラジオ聴取動向をグラフ化してみる(2015年10月度版)

2015/11/20 10:00

従来型4大メディア(テレビ・新聞・雑誌・ラジオ)の中で、この数年においてもっとも大きな状況変化にさらされているのがラジオ。インターネットや携帯電話の普及でメディア力(りょく)の減退著しく、広告費は減退するばかりの中、先の震災をきっかけにその存在意義を認められ、新たな立ち位置を確保しつつあるとも言われている。今回はビデオリサーチが定期的にプレスリリースとして公開を実施しているラジオ聴取動向の最新発表値(【発表リリース:ビデオリサーチ 2015年10月度首都圏ラジオ調査 結果まとまる】)をはじめとした各種経年データを基に、震災前後のラジオ聴取動向について探りを入れていく。

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震災前後の聴取率動向


今調査は1週間分の調査票を一括して郵送・回収する「日記式郵送留置調査方式」で実施されている。また類似メディアのテレビにおける視聴率取得の際に使われる自動取得型ではなく、利用者性向で偏りが生じ得るインターネット経由のものでもない。そのため、調査方式による実態とのぶれはほとんど無いと見てよい。

今件項目における「週平均の聴取率」とは「週全体(平日、土日を合わせた)における、1日単位での平均聴取率」を意味する。例えば「1週間全体において、1度でもラジオを聴いた人の割合」ではない(こちらは直近では61.6%)。

まずは全体的な聴取率の時系列推移。リリースなどから取得・利用可能なデータは2011年2月以降。そこでそれらの値を合わせてグラフ化する。東日本大地震・震災の発生は2011年3月11日だが、その期間以降に聴取率が上昇しているのがはっきりと見て取れる。

↑ 全局個人聴取率・時系列比較(6時-24時、週平均)(-2015年10月)
↑ 全局個人聴取率・時系列比較(6時-24時、週平均)(-2015年10月)

以前【地震情報で見直される「ラジオ」、評価を受ける「ソーシャルメディア」、そして……】などで解説したように、震災をきっかけとしてラジオはその価値を見直され、再評価(もちろんポジティブ)を受けることになった。また本震以降はしばらく大きめな余震が相次いだこともあり、ラジオを新たに備え、機会あるたびにスイッチを入れる人も少なくない(各通販サイトでも軒並みポータブルラジオの類が品切れとなった)。すでにラジオを持っている人も、聴取頻度は高まる。その結果、聴取率は7%台を回復する(2011年後半)。

しかし本震から時間が経過し、大きな余震の発生頻度も低下。それに合わせる形で聴取率も減少しはじめる。季節変動を考慮しなければ、減少は2012年春先から。2012年半ばには底を打ち、それ以降は多少ながらも回復したが、2013年には震災前の水準に戻ってしまった。その後やや起伏感を覚える中で、6%強の状態で横ばいのまま続いているように見えたが、2014年に入ると下落基調を示し、そして半年ほどは横ばい。底打ち感の雰囲気から、2015年6月では大きな跳ねを見せ、回復基調へのトレンド転換を期待させる動きを見せたものの、8月、そして今回月の10月では失速による下落。6月の上昇はリバウンドとしての動きで無いかとの懸念が確証性を高めてくる。

一連の動きを世代別に見たのが次のグラフ。

↑ 全局個人聴取率・時系列比較(6時-24時、週平均)(世代別)(-2015年10月)
↑ 全局個人聴取率・時系列比較(6時-24時、週平均)(世代別)(-2015年10月)

グラフ領域内の動きを見ると、未成年者とシニア層における緩やかな減少、中堅層の増加といった傾向が確認できる。特に20-34歳は震災後にもほとんど動きが無かったものの、2012年の後半以降少しずつではあるが上昇していた。逆にシニア層・未成年者の減少は、震災後に半ば必要に迫られてラジオを整備・聴取を始めた層が、余震頻度の低下と共に必要性への認識も薄れ、再びラジオ離れを起こしているものと考えられる。

もっとも直近1年ほどの動向に限れば、20代から30代前半(オレンジ)の減退と30代後半から40代(エメラルドグリーン)の急激な上昇が明らかとなっている。また、10代の上昇の兆しも目に留まる。各世代に小さからぬ動きが生じ、特に10代と、20代から30代前半との間には、集計期間の限りでは初めてクロスが生じそうな流れだったのが興味深い。

直近のリバウンドは主に10代・35-49歳の増加によるもの、そして失速もそれらの世代の値の減少であるところを見るに、ここしばらくのうねり的な動きはイレギュラーが重なったためのものでしかなく、中期的なトレンドには変わりがないと読むことができる。直上の「10代と、20代から30代前半との間のクロス」も幻で終わりそうだ。

前年同月との差で見ると……


この動きを分かりやすくするため、そして季節変動を無視できるように、世代別に前年同月との差を計算したのが次のグラフ。2012年2月より前の値が無いのは、元々の絶対値データが2011年2月以降しか取得できなかったためである。

↑ 全局個人聴取率・時系列比較(6時-24時、週平均)(前年同月比、%ポイント)(-2015年10月)
↑ 全局個人聴取率・時系列比較(6時-24時、週平均)(前年同月比、%ポイント)(-2015年10月)

2012年2月までと4月以降で、明らかにトレンドが変わっている。これは震災直後にラジオを整備し聴取した人の多くが、1年を経過して聴かなくなりつつあることを意味する。この傾向は2013年4月から6月位まで続き、それ以降はまた違ったトレンドが生じている。2012年4月から2013年4月まではほぼすべての世代でラジオ離れが起きていたが、それ以降は若年層のラジオ離れ・中堅層のラジオ回帰の動きが見て取れる。

さらに2014年6月から8月以降は、動きが確認できる範囲では3回目のトレンド転換、具体的には緑色で囲った部分がほぼ確定となった。明らかにその左側の青色の期間と異なり、全体的な下げ基調に転じている。特にシニア層の減退ぶりが顕著で、傾向としては2012年8月以降のそれに類似している。あるいはオレンジ部分の傾向と同じような下げ方を、今回緑部分でも示すのかもしれない。

もっとも直近となる2015年10月分では緑部分の動向も穏やかなものとなり、特徴の一つである20-34歳層の減少の縮小などが見受けられる。緑部分のトレンドが収束し、次回以降新たなトレンドに切り替わる気配を覚えさせる。次回、2015年12月分以降は、年齢階層別の動向、さらには全体としての個人視聴率の動きにも、小さからぬ変化が見られるかもしれない。


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