1.9%ポイント前年同期から悪化…大学生の2015年9月末時点での就職内定率は66.5%に

2015/11/22 05:00

厚生労働省は2015年11月20日、2015年度(平成27年度、2015年4月1日から2016年3月31日)における大学や短期大学、高等専門学校、専修学校の新卒者就職状況に関する最新調査結果を公開した。その発表資料によれば2015年10月1日(9月末)時点の大学卒業予定者の就職内定率(就職希望者に対する就職内定者の割合)は66.5%となり、昨年同時期と比べ1.9%ポイントの悪化が見られたことが明らかになった(【発表リリース(平成27年度「大学等卒業予定者の就職内定状況調査」)】)。また、同日発表された【平成27年度「高校・中学新卒者の求人・求職・内定状況」取りまとめ】によれば、高校新卒者の就職内定率は56.1%となり、昨年同期から1.7%ポイントの増加(改善)を示している。

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「面接解禁」の大幅繰り下げで負担増、内定率にも影響か


公表された調査結果によると、2015年10月1日時点で大学の就職内定率は66.5%となり、前年同期の68.4%と比べて1.9%ポイントのマイナスとなった。つまりそれだけ同じ時期における就職状況が悪化したことになる。

↑ 中卒-大卒予定者の就職(内定)率(2015年9月末時点と2014年同時期)
↑ 中卒-大卒予定者の就職(内定)率(2015年9月末時点と2014年同時期)

短期大学の就職内定率は大学や高等専門学校と比較して低めに出てしまう。今回調査の就職内定率もそれに習う形で、差が生じている。もっともこれでも前年同期と比べると6.5%ポイントと上昇を示している。

今回の調査結果では大学で全般的にマイナス値が出ているが、これはいわゆる解禁日(民間企業の大学・短期大学における学生の採用面接解禁時期)がこれまでの4月から8月へと大幅に後ろ倒しとなったことが影響している。今発表リリースと同時に発表された【平成27年度就職・採用活動時期の変更に関する調査結果について(速報版)(10月1日現在)(文科省)】でも、就活の実質的な負担増加、時期の長期化、卒論制作へのリソース不足など、マイナスに作用したとの意見が多分に出ている。これを受けて経団連では選考開始のスケジュールについて、2016年からは6月に前倒しする旨の発表を行っており(【記者会見における榊原会長発言要旨(経団連、2015年11月9日)】)、今後も学生の就活は大人の事情に振り回されそうな感は否めない。

なお中学新卒者の選考・内定開始期日は、全国高等学校長協会、主要経済団体(一般社団法人日本経済団体連合会、日本商工会議所、全国中小企業団体中央会)、文部科学省及び厚生労働省において検討を行い、2016年1月1日(積雪指定地域では2015年12月1日以降)と申し合わせており、今件時点では中学新卒者の就職内定率は算出されていない。

国公立と私立大学、男女別で確認


このうち大学(国公立・私立の合計、個別)にスポットライトを当て、男女別にその動向を確認したのが次のグラフ。

↑ 国公立・私立大の男女別就職(内定)率(2015年9月末時点と2014年同時期)
↑ 国公立・私立大の男女別就職(内定)率(2015年9月末時点と2014年同時期)

今グラフで対象とした区分においては、前年同期比で上昇を示したのは皆無となった。解禁日の影響が性別・大学種類別を問わず生じていることが分かる。

元々10月1日時点では男性よりも女性の方が内定率は高い傾向にあるため、同等の影響が生じるならば女性の方が%ポイントでは下げ幅が大きくなるのが道理だが、国公立では男性の方が下げ幅が大きくなってしまっている(男性はマイナス3.2%ポイント、女性はマイナス0.1%)。国公立大学の男子学生の苦痛が数字からにじみ出てきそうではある。

中期的な内定率推移から就職戦線の動きを推し量る


厚生労働省が定期的に発表している今件就職(内定率)において、過去のデータを逐次抽出し、(金融危機ぼっ発直前からの動向を推し量るため)過去11年間における動向をグラフ化したのが次の図。リーマンショック後下げ続け、2011年3月卒分を底とし、それ以降は少しずつ回復基調にある状況が容易に把握できる。それだけに、今回解禁日の大幅後ろ倒しに伴い就活学生側に混乱が生じ、(2年前と比べればまだ上だが、)内定率が落ちてしまったのは残念でならない。

↑ 就職(内定)率の推移(大学・全体)(-2015年10月1日)
↑ 就職(内定)率の推移(大学・全体)(-2015年10月1日)

大学生などの就職(内定)率は、その時の経済状態や企業の景気判断、とりわけその時点の景況感では無く、今後の見通し的なものと深い関係にある。現在景気が良くても、今後の見通しに不安があれば、わざわざ人材を増やしてリスクを底上げする酔狂さを持つ企業はさほど多くない。逆に企業の先行きが明るければ、それを見越して事業拡大を図るため、人材の追加確保に勤しむことになる。

つまり学生諸子の就職率を底上げし、安定化させるには、(非常に大雑把な話ではあるが)景気回復こそが一番の対策となる。それと共に安易な、大人側の一方的な思惑で人生設計を揺るがすような変更をスナック感覚で行うことなく、十分な思慮の上での決定が求められる。



冒頭にある通り、同日付で高校卒業予定者の内定率も発表されている。高校新卒者の各種データは次の通り。

■高校新卒者
・求人数は32.2万人。前年同期で15.2%増
・求職者数は17.7万人。前年同期で0.2%増
・就職(内定)者は9.9万人。前年同期で3.2%増

■中学新卒者
・求人数は1006人。前年同期で14.8%増
・求職者数は1156人。前年同期で11.3%減
・就職(内定)者は現時点では未計上

高校新卒者では求人数が大きく増加する一方、求職者数(求職率)はそれに比べて低めの増加に留まっている。求人倍率も1.83倍となり、前年同期比で0.24ポイントと大幅な上昇を見せている。求職者にとっては好ましい環境下に違いない。もっとも求職者全員が内定をもらったわけでは無く、企業・求職者双方のマッチングを考えれば、さらなる状況改善に期待がかかる。ただしあまりにも求人倍率が上がりすぎると、今度は企業側の人材不足が深刻化してしまうので、そのバランス感覚が難しいのだが。

他方中学新卒者では求人数は増加し、求職者数は減少している。高校進学者が増え、中学卒業で就職する選択をした人が減っていることになる。

中学・高校卒業者は大学卒業者と比べて短期間での離職率が高いことでも知られている(【学歴別・就職後の離職状況をグラフ化してみる(2015年)(最新)】)。内定率そのものは高くても、定着率が低ければ、企業も学生も双方とも不幸となる。企業側の人手不足が深刻化する昨今、「仕方なくこの企業を選ばざるを得ない」といった状況も減りつつあるのが幸いなところ。定着率も上昇し、より健全な、雇用・被雇用双方が望む状況に移行しながら、就職内定率が上がるよう、望みたいものだ。


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