気温高いが雨も多く来客減少、されど高客単価で売上はプラスに…2015年11月度のコンビニ売上高は既存店が0.9%のプラス、8か月連続

2015/12/22 05:00

日本フランチャイズチェーン協会は2015年12月21日に、コンビニエンスストアの同年11月度分統計調査月報を、同協会公式サイト上で公開した。その内容によると協会加盟コンビニの同月度の売上高は既存店前年同月比でプラス0.9%となり、8か月連続のプラスを示すこととなった。気温が平年より高かったものの降水量がかなり多く日照時間が少なかったことから客足が遠のいた一方で、客単価が堅調な動きを示し、売上を底支えすることとなった(【日本フランチャイズチェーン協会公式ページ】)。

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今調査の概要、調査対象企業などの詳細、分析記事のバックナンバーは、過去の記事をまとめたページ【コンビニエンスストア(日本フランチャイズチェーン協会発表)】上で解説済み。詳しくはそちらを参照のこと。

主要項目における前年同月比は次の通りとなる。

●店舗売上高:既存店は8か月連続のプラス、全店は33か月連続のプラス
全店ベース……+4.0%
既存店ベース…+0.9%

●店舗数(前年同月比)
+3.1%

●来店客数:既存店は2か月ぶりのマイナス、全店は56か月連続のプラス
全店ベース……+2.9%
既存店ベース…−0.5%

●平均客単価:既存店は8か月連続のプラス、全店も8か月連続のプラス
全店ベース……+1.0%(604.2円)
既存店ベース…+1.3%(596.9円)

●商品構成別売上前年同月比(既存店ベース)
日配食品……+2.6%
加工食品……+0.8%
非食品………−2.0%
サービス……+8.0%
合計…………+0.9%

※既存店……1年以上営業中の店舗を指す(店舗増加による底上げでの数字上の誤差を防げる)

11月は先行別途記事のチェーンストアの業績動向でも触れている通り、平年と比べて気温が高かったものの、降水量が多く日照時間が少なかったことから、コンビニを通常利用している人の来客機運が低下。結果として来客数は減退してしまう。しかしコーヒーをはじめとしたカウンター商材(コーヒー以外は中華まんやドーナツ、揚げ物などカウンター周辺に配される商品群)、調理めんや惣菜などの中食、さらにはデザートなどが良く売れたことから客単価は大きく底上げされ、結果として売上高は前年同月を上回る形となった。なおなおたばこや雑誌に絡んだ特記事項は見受けられない。

昨年同月の2014年11月は消費税率引上げ後8か月目に相当し、消費税率の影響そのものはほとんど無くなったように見えるが、北日本での局地的な大雪も足を引っ張る形となり、その時の非食品(たばこ含む)はマイナス4.3%。今回月はこの値と比較することになるため本来なら反動による底上げがあってもおかしくないが、その前提の上でも今回月ではマイナス2.0%と落ち込んでいる。非食品項目の多くを占めるたばこの売上が、前年からさらに落ち込んでいるとの推測ができる。

商品構成別の売上高(既存店ベース)の動向を確認すると、淹れたてコーヒーの堅調ぶりで全体をけん引する日配食品はプラス2.6%、加工食品はプラス0.8%、非食品はマイナス2.0%となった。客数が既存店ベースでマイナス0.5%であることから、計算を単純化するためにシンプルにその分を考慮して考えると、日配食品や加工食品は実質面でも堅調な売り上げを伸ばしている、非食品は落としていることが分かる。またサービスはプラス8.0%と大きな伸びが確認できる。前年同月ではプラス8.3%を計上しており、この分野の飛躍ぶりがうかがえる。

昨年夏まではガソリン代の高騰が来店機運の足を引っ張り、集客の観点でマイナスに働いているのではとの懸念があった。昨今では原油価格の安値化に伴いガソリン代も安値で落ち着いており、その観点における心配は薄れている。一方でここ数年来懸念されていたたばこや雑誌の売上の減退、集客力の縮小は継続中で、歩みを止めるようには見えない。もっとも最近では下落ぶりは小休止の状況にあるようで、報告書の言及にたばこや雑誌の売上が著しく落ちたなどの文言は見られなくなった。

セブンカフェ&ドーナツかつてコンビニの集客と客単価の主軸であった雑誌とたばこ。これらは時代の流れの中で、その勢いを確実に減じている。双方とも業界全体、商品そのものの特性や周辺環境の変化に伴う勢力の変化であり、今後復権の可能性も低い。それぞれ単独の動向を知りたいところだが、日本フランチャイズチェーン協会の月次レポートではそれを推し量ることはできない。ただし年次ベースなら、たばこは大手コンビニが発表しているアニュアルレポート、雑誌ならば「出版物販売額の実態」を通して概況を推測することはできる(【コンビニの出版物販売額をグラフ化してみる】)。

たばこは機会あるたびに税負担の上乗せが論議されている。先日伝えられた通り、2017年4月に消費税率が引き上げられる場合、たばこ税が合わせて底上げされるとの話がある。これが現実のものとなれば少なからぬ駆け込み需要と、その後のさらなる消費減退が起きる可能性は高い。その上、健康志向による忌避圧力も勢いを増すばかりとなり、今後も縮退する方向性に変化はない。

一方雑誌に関しては価値観の多様化や電子雑誌の進出、すき間時間の活用の仕方の変化を受け、やはり規模の縮小は避けられそうにないが、コンビニにおける同じ印刷物として今件月次報告書では取り上げられることはまず無かった書籍に関して、一部チェーン店で新しい動きが生じている。

詳しくは【コンビニの出版物販売額をグラフ化してみる(前編:各社編)(2015年)(最新)】で説明しているが、スリーエフで書籍を中心としたミニ書店化形態が売上・集客の点で成果が出たことから、今後さらにそのスタイルの拡大が明言されている。またローソンでも1000店舗をめどに書籍中心の専用棚設置が計画されており、今後非食品項目に影響を及ぼす可能性が出てきた。地域書店の閉店が相次ぐ中、うまく出版物の需要をコンビニがすくい取ることができるのか、注目したい動きではある。

各種サービス(情報端末やカウンター経由)の提供や、カウンターで提供されるいれたてコーヒーをはじめとする新鮮味あふれる日配食品(昨今のセブン-イレブンやファミリーマート、ローソンにおけるドーナツも良い例)は順調に成長を続けているが、今なおあくなき探求は続けられている。例えば昨今ではインターネット経由の注文も絡み、年賀状の印刷サービスに絡んだ動きが顕著化している。まさに現代の万屋(よろずや)のようですらある。

イレギュラー的要素によって生じた軟調な環境の中でも、堅調な売り上げを維持できる軸の模索も多方面で進められている。関連他業界を巻き込む形で、今後も多様な動きが見られそうだ。


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