あの人の年収は…? 単身世帯の年齢階層別・年収動向(2016年)(最新)

2016/01/12 05:19

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総務省統計局が同局公式サイトなどにおいて発表している【「2014年全国消費実態調査」】では、多種多様な調査結果の値が収録されている。今回はその公開値を元に、二人以上世帯に関して精査した【二人以上世帯の世帯主年齢階層別・年収動向】に習う形で、単身世帯についても同様に、年齢別による年収動向を確認していくことにする。


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今調査の調査要目は先行する記事の【普通乗用車より軽自動車が所有される時代…自動車の車種・世帯種類別普及率(2015年)(最新)】内の説明を参照のこと。

今回確認するのは、単身世帯(勤労者世帯以外も含む)において、その年齢で仕切り分けした上で、その世帯主の年収がどれほどの額なのか、その割合を計算したもの。平均額では無いことから、年収の分散度合いを推し量ることができる。なお単身世帯では男女で大きく状況が変わることから、男女別々に算出を行う。

まずは男性における、各年齢階層構成比率。例えば30歳未満では600万円以上の層が6.5%と出ているが、これは「単身世帯で男性・30歳未満の世帯においては、そのうち6.5%の世帯の年収は600万円以上である」ことを意味する。

↑ 単身世帯・年齢階層別・年収構成比率(2014年、男性)
↑ 単身世帯・年齢階層別・年収構成比率(2014年、男性)

【世帯当たりの平均所得金額推移】にもある通り、「国民生活基礎調査の概況」では世帯平均年収は約530万円、中央値は415万円。ただしこれには二人以上世帯なども含まれる一方で、配偶者の稼ぎも合わせた世帯所得であるため、今件とはあまり比較にならない。大よそ低収入ほど濃い赤系統、高収入ほど濃い青系統で着色しており、50代にかけて高年収者比率が上昇する傾向が確認できる。ただし40代から50代は赤系統色も一部区分で増加しており、二極化の構造も同時に生じている。

30歳未満では年収300万円台までの世帯が約3割、400万円台までなら2/3近くに達する。しかし50代ではそれぞれ3割近く・4割強となる。世帯主の就業先での勤続年数の積み上げや地位向上による年収アップなどが主要因ではあるが、金銭周りの差異の大きさ、そして二極化構造が改めて実感できる。

なお60代以降世帯の年収が若年層同様、あるいはそれ以上に低めとなっているが、これは収入部分の多分において年金が該当する(非勤労者も該当するため)。そして生活費にはこの年収以外に資産の切り崩しが充当されることから、若年層世帯とは実生活の金銭面での状況は異なることを補足しておく。

他方これを各年齢階層の世帯数比率では無く、実世帯数(実調査結果による世帯数をもとに、労働力調査ベースの抽出率で調整した後の値のため、ほぼ実世帯数動向となる)で積み上げた結果が次のグラフ。若年層世帯が少なすぎて数字がつぶれてしまったため、別途グラフを生成している。

↑ 単身世帯・年齢階層別・年収構成比(万世帯、2014年、男性)
↑ 単身世帯・年齢階層別・年収構成比(万世帯、2014年、男性)

↑ 単身世帯・年齢階層別・年収構成比(万世帯、2014年、40代まで抽出、男性)
↑ 単身世帯・年齢階層別・年収構成比(万世帯、2014年、40代まで抽出、男性)

この世帯数がそのまま各方面への意見力となることを考えれば、高齢層の低年収層(繰り返しになるが実生活費とイコールでは無い)の意見が声高に聞かれるのも無理は無い気がする。なお30代から40代で世帯数が減っているのは、その分婚姻して二人以上世帯に移行している人が多いからに他ならない。

続いて女性。算出方法などは男性と同じ。

↑ 単身世帯・年齢階層別・年収構成比率(2014年、女性)
↑ 単身世帯・年齢階層別・年収構成比率(2014年、女性)

女性の勤労年収は元々男性と比べて低く抑えられる傾向にあるため(非正規就業者が多いのも一因)、全体的な比率で見ても赤系統の色が多い=低年収者比率が高い結果となっている。特に30代において男性では6割以上居る400万円以上の区分が、女性では4割程度に抑えられているのが目に留まる。500万以上に仕切れば男性は4割近くなのに対し、女性は1割にも満たない。

また70歳以上では女性の方が高齢者が多いことから、年金のみでの生活者の比率も高く、その分低年収者の割合も増えている(年金受給の歳を過ぎても、年金をもらいながら勤労する人も居るが、歳と共にそのハードルは高くなる)。

続いて実世帯数。女性は60代以降、特に70歳以上が飛びぬけているため、別形成のグラフは50代までを納めてある。

↑ 単身世帯・年齢階層別・年収構成比(万世帯、2014年、女性)
↑ 単身世帯・年齢階層別・年収構成比(万世帯、2014年、女性)

↑ 単身世帯・年齢階層別・年収構成比(万世帯、2014年、50代まで抽出、女性)
↑ 単身世帯・年齢階層別・年収構成比(万世帯、2014年、50代まで抽出、女性)

中堅層までは男性と比べて女性の単身世帯数は少なく、高齢層になると急激に増える。後者は配偶者との離別・死別によるところが大きいものと思われる(今項目部分では該当者の婚姻関係に係わる詳細聞き取りは行われていない)。

一つ目のグラフ、あるいは男性の同様グラフと比較してても、いかに高齢層の単身女性のうち低年収(繰り返しになるがこの年齢階層は多分に資産からの切り崩しで生活費を充当しているため、低年収=低生活費では無い)層の数が多いか、そしてそれはそのまま各方面への影響力となり得るかが確認できる。何しろ70歳以上全体で仕切り分けしても、単身女性は男性の2.4倍以上もいる。

先の二人以上世帯の動向同様、年収動向の実態と共に、高齢者の「意見力」の大きさを改めて思い知らされる結果には違いない。


■関連記事:
【年齢階層別の収入や負債の推移(2015年)(最新)】
【持ち家と借家の割合】
【平均世帯人員と世帯数推移】


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