年金暮らしをしているお年寄り夫婦のお財布事情を詳しくグラフ化してみる(2016年)(最新)

2016/01/07 11:04

人口構造の変化、高齢化の進行に伴い、さまざまな社会問題の要因、関連対象としてスポットライトが当てられる高齢者。中でも職場から引退し、年金、そして蓄財の切り崩しで生活を営むようになった無職高齢層は、今後さらに数を増加することが予想されるため、その生活様式には大いに注目が集まるところとなる。今回は総務省統計局が2015年12月16日に発表した【「2014年全国消費実態調査」】のうち二人以上世帯の公開値を元に、世帯主及びその配偶者のみの夫婦世帯で、その双方が65歳以上、そして有業者が居ない高齢年金生活世帯における、平均的なライフスタイルの現状を、主にお金の面から確認していくことにする。

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持ち家率は9割強


今調査の調査要目は先行記事の【普通乗用車より軽自動車が所有される時代…自動車の車種・世帯種類別普及率をグラフ化してみる(2015年)(最新)】を参照のこと。今回取り上げる世帯における「有業者が居ない」とは、世帯主及び配偶者が勤労者(世帯主が会社、官公庁、学校、工場、商店などに勤めている人)ではなく、社長、取締役、理事など会社団体の役員である人でもなく、個人営業の人や自由業者でも無い人。年齢を65歳以上に限定しているため、実質的には年金生活をしている人となる(切り崩しによる補完の多い少ないはともかく)。生活を支える主な収入は年金、そして財産収入。さらには貯蓄からの切り崩しで不足分を補っている。

まずは住宅事情。

↑ 夫婦双方とも65歳以上で無職・他に同居者無し世帯の居住状況(2014年)
↑ 夫婦双方とも65歳以上で無職・他に同居者無し世帯の居住状況(2014年)

持家に住んでいる人は91.2%。ほとんどの人が自前の住宅に居住している。賃貸住宅暮らしの人は少数派で、持家に住んでいる人もほとんどはローンを完済しているため、平均的な住居コストも2万円足らずとなっている。

なお若年層では住居関連の値としてこの他に、現在居住地の広さや自動車の保有比率も計上されているが、無職高齢夫婦世帯に関する項目ではこれらの値は非公開のため、詳細は不明。

また、持家居住者以外が「家賃・地代支払い世帯」と「その他」で仕切り分けされておらず一括でまとめられているのは、公開値における「持家率」と「家賃・地代を支払っている世帯の割合」を足すと100%を超えてしまうため。現居住の家を持家として取得しながら、家賃・地代も同時に払っている高齢夫婦世帯は、想像がしにくいものがある。介護や子供・孫世帯による世話が関わっているのかもしれない。

一か月のお金のやりくりをのぞいてみると


続いてお金のやりくりの内容。実収入(勤め先収入や事業収入、内職収入、財産収入、社会保障給付など実質的に資産の増加となる収入を集めた収入)と、実支出(税金や社会保険料などの支出を集めた「非消費支出」と、生活費を意味する「消費支出」、黒字(実収入から実支出を引いたもの)の合計)の内訳を、具体的金額と比率の面からそれぞれ見ていく。詳しい各用語の解説、関係は先行記事の【若年夫婦勤労世帯のお財布事情を詳しくグラフ化してみる(2015年)(最新)】で解説しているので、そちらで確認のこと。

なお無職高齢夫婦世帯においては、実収入だけでは生活費をまかないきれないため、実支出と帳尻を合わせるために貯蓄の切り崩しが行われている。実収入の部分に「+不足分」が加わっているのはこのため。当然黒字の類はない。

↑ 家計収支の構成(2014年、円、一か月)(夫婦双方とも65歳以上で無職・他に同居人無し世帯)
↑ 家計収支の構成(2014年、円、一か月)(夫婦双方とも65歳以上で無職・他に同居人無し世帯)

↑ 家計収支の構成(2014年、比率、一か月)(夫婦双方とも65歳以上で無職・他に同居人無し世帯)
↑ 家計収支の構成(2014年、比率、一か月)(夫婦双方とも65歳以上で無職・他に同居人無し世帯)

↑ 家計収支の構成(2014年)(円)(支出のみ)(一か月)(夫婦双方とも65歳以上で無職・他に同居人無し世帯)
↑ 家計収支の構成(2014年)(円)(支出のみ)(一か月)(夫婦双方とも65歳以上で無職・他に同居人無し世帯)

収入は年金(社会保障給付)やその他の収入(株式の配当などの財産収入、仕送り金)など。それだけでは実支出をカバーしきれず、不足分は貯蓄の切り崩しで補っている。これが約3.6万円、割合にして1割強。一人身の無職高齢世帯では2割近くであり、それと比べると金銭周りではいくぶん余裕があるようすがうかがえる。

非消費支出は10.7%。住居費は6.3%と小さめだが、その分食費の割合は大きく24.0%と大よそ1/4を示している。食へのこだわりが見えている。交通・通品費も負担が大きく1割強。さらに医療費などは1万5000円を超えており、若年層世帯と比べて1.5倍ほどにふくらんでいる。また「その他の消費支出」が2割近くと大きめだが、これは交際費によるところが大きい。

「食へのこだわり」と評した食料費に関して、その詳細を若年層の二人以上世帯と比較計算した結果が次のグラフ。夫婦世帯もその構成年齢で食事内容が大きく変化する実情を確認できる。

↑ 家計支出における食料詳細(2014年、円)(一か月)(夫婦双方とも65歳以上で無職・他に同居人無し世帯)(二人以上世帯・世帯主が30-34歳で勤労者世帯との差異)
↑ 家計支出における食料詳細(2014年、円)(一か月)(夫婦双方とも65歳以上で無職・他に同居人無し世帯)(二人以上世帯・世帯主が30-34歳で勤労者世帯との差異)

今件対象の無職高齢夫婦世帯は世帯構成人数が2人のみだが、比較対象となる若年層夫婦世帯は子供の分が加算されているため、厳密には子供の人数分だけ若者夫婦世帯の方が額は上になるはず。にも関わらず、多くの項目で高齢層の方が高い額面を示している。

もっとも今件はあくまでも購入金額であり、数量や頻度までは確認できない(全国消費実態調査では食料品の数量調査はしていない)。単に多くの項目でこだわりを持ち高品質な食料品を購入している他に、買い物の手間の上で多少高くても近場の店で、しかもできるだけ少数の店でまとめ買いするため(特定品目の価格の高低を見極めて、安いものだけを買い渡ることは、行動能力を考えるとし難い)、金額面では高くついてしまう可能性も多々ある。実際、他の調査結果を見ても(例えば【成人男女の魚介類・肉類の摂取量をグラフ化してみる】)、高齢者の方が量を多く食べるような結果は出ていない。

↑ 肉類の摂取量の平均値(男女計・年齢階級別)(1日あたり、グラム)(2004年と2014年の比較)(「国民健康・栄養調査」より。再録)
↑ 肉類の摂取量の平均値(男女計・年齢階級別)(1日あたり、グラム)(2004年と2014年の比較)(「国民健康・栄養調査」より。再録)

ただし金額が群を抜いて若年世帯より高い品目、例えば魚介類や野菜では、量の上でも高齢者の方が上回っている。

↑ 魚介類の摂取量の平均値(男女計・年齢階級別)(1日あたり、グラム)(2004年と2014年の比較)(「国民健康・栄養調査」より。再録)
↑ 魚介類の摂取量の平均値(男女計・年齢階級別)(1日あたり、グラム)(2004年と2014年の比較)(「国民健康・栄養調査」より。再録)

健康意識が強い表れだろう。

75歳以上でも2000万円超…蓄財の実情


最後は貯蓄状況。無職高齢夫婦世帯のお財布事情は、原則として年金だけではまかなえ切れず、貯蓄を切り崩してのそろばん勘定となるため、非常に重要な要素に違いない。言葉通り生命線。

↑ 貯蓄現在高詳細(2014年、万円)(夫婦とも65歳以上で無職・他に同居人無し世帯、世帯主年齢階級別)
↑ 貯蓄現在高詳細(2014年、万円)(夫婦とも65歳以上で無職・他に同居人無し世帯、世帯主年齢階級別)

世帯主年齢が65歳以上全体では平均で2000万円強。切り崩しのために当然世帯主が年上になるほど蓄積額は減退していくが、興味深いことにその減退ぶりは緩やかなもので、75歳以上に限っても2000万円を切ることは無い。

さらにその内訳を見ると、定期性預貯金の割合が高く、堅硬な蓄財ぶりをしていること、歳を経るに連れて通貨性預貯金や生命保険、有価証券は減退していくものの(70代前半ではややイレギュラーが生じているが)、定期性預貯金はほとんど変化が無い。同一世帯の経年変化をたどったわけではないが、定期性預貯金をお宝のように大切にして、手をつけずにいる印象が強く感じられる結果となっている。



今件はあくまでも平均的な無職高齢夫婦世帯のお財布事情。その歳に達するまでの過ごし方で、実情は大きな違いを見せる。今属性にあるすべての人が、同じような内情にあるわけではないことに注意が必要である。

他方、今後ますます増加する年金生活で日々を過ごす無職高齢夫婦世帯の内部事情を推し量るのには、有益な値であることも変わりあるまい。


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