小中学生の長期欠席者数をグラフ化してみる(2015年)

2015/01/03 09:00

多くの子供にとって学校は楽しい場であり、日常生活の多分を占める場でもあり、多くの経験を得る場である。しかしながら病気やケガ、家庭内の事情で休まねばならない場合も生じてくる。また中にはさまざまな理由で通学そのものを望まず、長期に渡り欠席してしまう子供もいる。今回は多種多様な理由で長期に渡り学校(小中学校)を休んでしまう子供の状況、「理由別長期欠席児童生徒数」の推移を精査することにした。

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データ取得元は文部科学省発表の【学校基本調査】。ただし同省公式サイト内で発表している部分だけでは細かい点や過去のデータが確認できない。そこで総務省統計局の【e-Stat】から「学校基本調査」をたどり、「年次統計」、そして「統括表」の「13.理由別長期欠席児童生徒数」から、必要となるデータを用い、各種計算を行っていく。今調査該当項目に関しては2014年12月19日付で2013年度分確定報が出ており、その値を用いることにする。

公開データには長期間欠席した児童数が記載されているが、その事由として「病気」「経済的理由」「不登校(以前は「学校ぎらい」の名称だった)」「その他」と大別されている。また、1959年以降の値が収録されているが、「長期欠席」の定義が1991年以降「通算30日以上欠席」に改められているため(それまでは50日以上)、その前後で明確には連続性はない。そこで1991年以降のものについて時系列的にデータを取得し、グラフ化を行う。

まずは最新のものとして収録されている2013年度分について。

↑ 小中学生の長期欠席者数(2013年度)
↑ 小中学生の長期欠席者数(2013年度)

↑ 小中学生の長期欠席者数(2013年度、全児童比)
↑ 小中学生の長期欠席者数(2013年度、全児童比)

中学生の長期欠席者、特に不登校率が高いのが気になる。2.68%といえば、30人学級なら大体1人は不登校者がいる計算。小学生では比率としては少ないものの、絶対数となると2万人以上の不登校者が確認できる。前年度と比較すると他要因は増減さまざまだが、不登校は小中学生共に大きく増加しており、これが全体数をも底上げする形となっている。大いに気になる動きではある。

続いてこれを「長期欠席」の定義変更後の1991年以降について、その推移を折れ線グラフにしたのが次の図。

↑ 長期欠席児童生徒数推移(30日以上欠席、小学生)
↑ 長期欠席児童生徒数推移(30日以上欠席、小学生)

↑ 長期欠席児童生徒数推移(30日以上欠席、中学生)
↑ 長期欠席児童生徒数推移(30日以上欠席、中学生)

小学校は病気による長期欠席者が多かったものの、2000年前後から少しずつ減少。一方で不登校者数には大きな変わりは無く、この数年では両者の順位が入れ替わっている。中学校も2000年前後から病気による長期欠席者は少しずつ減り、小学生とほぼ同じタイミングで不登校者は増加し、その後横ばい。ただし病気を事由とする者との差は大きく開いている。また直近2013年度に限れば小中学生共に、不登校事由の長期欠席者が跳ねる形で増加しているのが、グラフの上からも確認できる。

確認のため「生徒絶対数」ではなく、「各年の児童数全体に占める比率」を算出してグラフ化したが、増減の傾向に変化は無かった。

↑ 長期欠席児童生徒数推移(30日以上欠席、小学生)(小学校児童数に占める比率)
↑ 長期欠席児童生徒数推移(30日以上欠席、小学生)(小学校児童数に占める比率)

↑ 長期欠席児童生徒数推移(30日以上欠席、中学生)(中学校児童数に占める比率)
↑ 長期欠席児童生徒数推移(30日以上欠席、中学生)(中学校児童数に占める比率)

病気や経済的理由はともかく、いわゆる「学校ぎらい」を起因とする「不登校」について、2000年前後をピークとし増加に歯止めがかかっている、むしろ少しずつ減っているのは幸い。それゆえに、2013年度の有意な上昇は大いに気にかかるところだ。来年度以降も同様の動きを示すのなら、各方面による状況の精査と改善への模索が求められよう。



ここからは余談だが、旧定義(50日以上で長期欠席と判断)によるデータも1998年までは計測されている。そこでそれをまとめたのが次のグラフ(1998年まで)。上記のグラフと連続性は無いことに注意してほしい。

↑ 長期欠席児童生徒数推移(50日以上欠席、小学生)(小学校児童数に占める比率、-1998年)
↑ 長期欠席児童生徒数推移(50日以上欠席、小学生)(小学校児童数に占める比率、-1998年)

↑ 長期欠席児童生徒数推移(50日以上欠席、中学生)(中学校児童数に占める比率、-1998年)
↑ 長期欠席児童生徒数推移(50日以上欠席、中学生)(中学校児童数に占める比率、-1998年)

医学の進歩や経済の発展により、病欠・経済的理由を起因とする長期欠席は漸減している。1980年後半から病欠者率が再び増加している原因は不明だが、公害病・病気に対して慎重になり、子供に無理をさせてまで登校させないようになったこと(子供の健康と学校への登校との優先順位の変化、無理に登校させることで他の子供にも風邪などの病気が感染しかねない「感染リスクに関する防疫関連の知識」の普及)、さらには子供の抵抗力の低下など、複数の要因が想定できる。

一方で気になるのが「不登校」率の上昇。本文の直近分までのグラフと合わせると、1970年後半-1980年前半以降、継続的な増加が確認できる。2000年前後まで続く不登校者の増加は、本文中グラフのはじまりにあたる1990年代初頭ではなく、この時期に始まったと見て良い。この上昇原因は不明だが、同じタイミングで、いわゆる「ゆとり教育」が始まったことが思い浮かばれる。「ゆとり教育」の段階的な進展時期と、勾配が急になる時期がほぼ一致するのは、偶然だろうか。

あるいは単に、経済の発展と共に選択肢に余裕が出来たことによる、その悩みゆえによるものかもしれない。いずれにせよ、残念ながらこのデータだけでは確認をすることはかなわない。


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