投資から貯蓄へ…二人以上世帯の貯蓄種類の変化をグラフ化してみる

2011/10/23 06:00

総務省統計局は2010年12月24日、【「2009年全国消費実態調査」】のうち、【二人以上の世帯の家計収支及び貯蓄・負債に関する結果】を発表した。二人以上の世帯(住居や生計を共にしている二人以上の集まり)の日常生活を金銭面から推し量ることができる、貴重な資料・データが多数盛り込まれている。このデータ群の中から、今回は「どのような形で貯蓄をしてきたのか、その構成比の推移」についてグラフ化してみることにした。

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「全国消費実態調査」とは国民生活の実態について家計の収支及び貯蓄・負債、耐久消費財、住宅・宅地などの家計資産を総合的に調査し、全国及び地域別の世帯の消費・所得・資産に係る水準、構造、分布などを明らかにすることを目的とした調査。5年ごとに行われているもので、今回発表された2009年分は11回目にあたる。

今回抽出・グラフ化するデータは、「図I-7 貯蓄の種類別構成比の推移(二人以上の世帯)」。1969年以降5年おきの、二人以上世帯における貯蓄残高について、どのような種類で貯蓄しているのかの割合を示したもの。【日米の家計資産推移をグラフ化してみる(2011年2Q分)】などで触れているように、預貯金がもっとも多く(通貨性・定期性合わせて)過半数に達してるのが分かる。

↑ 貯蓄の種類別構成比の推移(二人以上世帯)
↑ 貯蓄の種類別構成比の推移(二人以上世帯)

直近2009年時点で平均貯蓄残高は1520万8000円。そのうち43.7%の665万円が定期性預貯金(期限を定めて行う預貯金。通常は一定期間自由な引き出しが出来ない)、17.9%の272万円が通貨性預貯金(いつでも自由に引き出せる代わりに、利子率は「定期性預貯金」より低い)となっている。定期性預貯金の割合は1999年をピークにやや減少しつつあるが、それ以上に通貨性預貯金は増加の一途をたどっており、調査開始以来最高水準を記録している。

また、バブル時代の1989年には(株価の上昇=手持ち有価証券の価値上昇)もあり、「有価証券」の比率が最高値を記録したものの、その後は株価低迷に加え、投資そのものからの忌避もあってか、値は減退気味。直近データではやや持ち直しているものの、先の日銀データを見る限りでは次の調査年である2014年時点においては、「投資から貯蓄へ」の動きが進むことは容易に想像ができる(株価がそれまでに大きく戻していれば話は別だが)。

貯蓄額そのものは消費者物価指数との絡みなどがあるため(1969年の100万円と2009年の100万円では、額面が同じでも価値は異なる。また該当年前後の所得との兼ね合わせも考えねばならない)一概に比較は出来ない。そこで代わりに「いかに預貯金比率が増減しているか」が分かりやすいように、「通貨性預貯金」「定期性預貯金」のみを足してグラフ化したのが次の図。

↑ 貯蓄の種類別構成比の推移(二人以上世帯)(預貯金のみ)
↑ 貯蓄の種類別構成比の推移(二人以上世帯)(預貯金のみ)

前述したようにバブルが弾けた後は漸次預貯金率は上昇を続けており、2009年では計測以来最高値を示している。同時に「貯蓄」全体における「通貨性預貯金率」(のみの割合)は過去最大、「預貯金全体」に占める割合も最高水準を記録している。

貯蓄この動きについて理由はいくつか考えられるが、【公定歩合推移(日銀)】にもあるように預貯金利率が低水準で留まっていて定期性預貯金のメリットがあまり感じられなくなったこと、貯蓄とはいえ中長期手をつけずに済む余力が減ったことなどが想像できる(特に2004年から2009年にかけては、貯蓄現在高も計測史上初めて前回比で減少したことが確認されている(1555万円→1520万円))。

日銀の四半期単位でのレポートにもあるように、アメリカなどと比べると日本では預貯金で貯蓄する傾向が強い。昨今の市場動向を見るに、そして今回のグラフから動向を察するに、今後ますますその動きは加速していくに違いない。

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