日本の家計資産残高は増加、1717兆円に…日米家計資産推移(2015年Q2分)

2015/10/01 14:00

日本銀行は2015年9月30日付で、2015年第2四半期(4-6月、Q2)の「資金循環の日米比較」レポートを公開した。その内容によれば日本では「現金」「投資信託」の額が増え、金融資産総額は増加し1717兆円となった。高い貯蓄性向は継続されており、日本の「現金・預金」比率は相変わらず5割を超えている(【日本銀行:資金循環リリース掲載ページ】)。

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日米の金融資産への考え方が顕著に分かる資産分布


今リリースは日本銀行が年4回定期的に「資金循環の日米欧比較」の速報値として発表している。当サイトでは2009年6月掲載、2009年Q1分から定期更新の形で各データをグラフ化し、状況に関して精査を行っている(途中からは検索周りの事情を受け、最新の値に関するレポートを逐次上書きする形で掲載しているため、最新の記事とそれ以前の記事との間では、期間が抜けている)。今回は2015年9月30日に発表された最新版公開値(2015年Q2分)に基づいたものとなる。

まずは直近となる2015年第2四半期(Q2)時点での、日米、そして参考値としてユーロエリアでの家計に関する資産構成比率。日本が「現金・預金」で半数超えと大きく傾倒している一方で、アメリカが「株式・出資金」や「投資信託」さらには「債券」を大量に保有している図式はこれまで通り。リスクを許容し投資を重視し成果に期待するアメリカ、確実性に重点を置く日本と、両国の貯蓄性向、金融資産への考え方の違いがそのまま数字に表れている。また日本で「現金・預金」が多いのは、主に高齢者による貯蓄性向の表れでもある。

↑ 日米欧家計金融資産構成比率比較(2015年Q1)
↑ 日米欧家計金融資産構成比率比較(2015年Q1)

3国・地域とも「保険・年金準備金」の比率はほぼ同じ(いくぶん日本が少ないが)。一方で”「現金・預金」”と”「債券」「投資信託」「株式・出資金」で構成される有価証券”の保有比率が、ユーロ圏は日米の中間にあるのが興味深い。バランスの観点では、日本は現預金過多、アメリカはリスク商品が多め。ユーロエリアのバランスが一番リスク分散の上では優れている。

「現金第一」は以前から…日本の家計金融資産


これを定例のフォーマットに従い日米別に、その推移をグラフ化して状況を精査する。まずは日本について、構成比率と絶対額の推移を確認する。

↑ 日本の家計金融資産構成比率推移(2001年-2015年Q2)
↑ 日本の家計金融資産構成比率推移(2001年-2015年Q2)

↑ 日本の家計金融資産構成推移(2001年-2015年Q2)(単位:兆円)
↑ 日本の家計金融資産構成推移(2001年-2015年Q2)(単位:兆円)

大きな変化として目に留まるのは、2008年前後で「現金・預金」の比率が伸びていること。約5%ポイントの増加が見られる。貯金額そのものが増えたのも多少の影響はあるが、それ以上に株価の低迷を起因としていると考えられる。つまり絶対額の増加は影響が小さく、他の要素が減って相対的に「現金・預金」比率が上がったと考えた方が道理は通る。その上損切り(有価証券などについてこれ以上の価格下落によるさらなる損失可能性を避けるため、売却損を覚悟して売り、現金化する)による「株式・出資金」から「現金・預金」へのシフトも多分にある。

「株式・出資金」の比率だけでなく、額そのものが同じタイミングで大きく減少していることからも、その動きは裏付けられる。2007年夏に始まる金融危機、株価下落は、家計の金融資産にも大きな影響をもたらしたことになる。

今2015年Q2期では「現金・預金」は増加、「株式・出資金」は減少、「投資信託」は大きく増加している。毎年Q2期は現金が増加する傾向にあるため、今四半期の増加もイレギュラーなものではない。

一方、「株式・出資金」はこの2、3年ほどの間に全体比率・絶対金額共にじわりと、そして確かな勢いで増加を示していたが、今四半期ではわずかに後戻りをしている。とはいえ、中期的な増加傾向に変化が見られるほどのものではない。金融危機ぼっ発前の水準、比率で1割超・金額で180兆円台のレベルに届いた状態には変わりない。

中期的には増加継続中の米家計金融資産


一方アメリカ。

↑ 米家計金融資産構成比率推移(2007年Q4-2015年Q2)
↑ 米家計金融資産構成比率推移(2007年Q4-2015年Q2)

↑ 米家計金融資産構成額推移(2007年Q4-2015年Q2)(兆ドル)
↑ 米家計金融資産構成額推移(2007年Q4-2015年Q2)(兆ドル)

アメリカの該当期における株価動向は、小幅な値動きを示しながらも、ほぼ1万8000ドルを超えた辺りでのもみあいが続いていた。利上げリスクや外部的要因をはらみながらも市場の雰囲気は総じてポジティブな状態にあり、「投資信託」「株式・出資金」は額面をやや増加させ、「現金・預金」の減少はわずかなものに留まっている。

そして「債券」は金額・比率共に減少し、比率では4.4%にまで落ちている。2013年に入ってから比率面、2014年以降は額面自身も明らかに値を減らしており、これまでには無かった動きとして注目に値する。その分、「株式」「投資信託」が増加していることから、金融資産への考え方に一部変化が生じていると見て良いだろう。

資産総額は69.8兆ドル。前四半期からはわずかに総額を上げているが、「債権」「現金・預金」以外の資産が押し並べて上昇しているのが原因。



家計金融資産の総額は2015年Q2時点で日本が1717兆円、アメリカが69.8兆ドル。これはそれぞれ直近前四半期から(日本)プラス0.53%・(アメリカ)プラス0.58%の変移。

今回取り上げた直近期以降の動向としては、8月に入ってからのいわゆる「チャイナ・クライシス」による日米共に株価は大きく下落。その後半戻し的なリバウンドを示したあとは、その水準でのもみあいが継続している。中東情勢は緊迫の度を高め、それに連動する形でのEUにおける難民・移民問題や、さらには時を同じくして露呈したフォルクスワーゲン社の不正問題など、中国リスク以外でも金融市場の足を引っ張り得る懸念材料には事欠かない。

次回発表予定の2015年Q3分では、金融資産はどのような動きを示すのだろうか。引き続き精査を行いたい。


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