各国の合計特殊出生率推移をグラフ化してみる

2011/01/24 07:00

先に【先進諸国の出生率や離婚率などをグラフ化してみる】で先進諸国の直近における合計特殊出生率を、【日本の出生率と出生数をグラフ化してみる】で日本の合計特殊出生率の推移を、【アメリカの人種別出生率の詳細をグラフ化してみる】でアメリカの合計特殊出生率の推移をチェックした。そして先日別件で出生率周りを調べていたところ、やや古めではあるが、主要諸国の合計特殊出生率の推移を把握できるデータを見つけることが出来た。そこで今回はそれをグラフ化し、関連するこれまでの記事を補強することにした。

スポンサードリンク


該当するデータとは【2010年版子供・子育て白書の第1部 子ども・子育て支援策の現状と課題 > 第2章 出生率等の現状 > 第1節 近年の出生率等の状況における3 諸外国における合計特殊出生率の推移】。ここには主要国の合計特殊出産率の推移と、各国の概要が示されている。

さて「合計特殊出生率」についてだが、これは一人の女性が一生のうちに出産する子供の平均数を示している(計算対象を一般的な出産可能年齢である15-49歳にの女性に限定している)。単純計算でこの値が2.0なら、夫婦二人から子供が二人生まれるので(男性は子供を産まない)、その世代の人口は維持されることになる。実際には多種多様なアクシデントによる減少があるため、人口維持のための合計特殊出生率は2.07-2.08といわれている(これを人口置換水準と呼ぶ)。

↑ 合計特殊出産率(人)
↑ 日本の合計特殊出産率(人)(再録)

元ページでは主要国の1950年-2005年までの推移が5年区切りで、アジア諸国が1970年以降5年区切り+αで収録されている。まずは前者、主要国のものをグラフ化する。一部数字は【先進諸国の出生率や離婚率などをグラフ化してみる】で補完したが、イギリスの2008年分は小数第一位(1.9)までのものしか見つからず、正確な補完は断念。

↑ 主要国の合計特殊出生率推移
↑ 主要国の合計特殊出生率推移

1960年代までは主要国は皆人口置換水準を超えていたものの、経済発展やそれに伴う子供の養育コストの増大、結婚や出産に対する価値観の変化、避妊などの普及もあり、一様に低下。そして前世紀末期あたりからは国毎に異なる動きを見せているが、差異はあれど回復傾向にある。特に大きな上昇が確認できるフランスやスウェーデンでは先の記事でも触れたように「嫡出でない子」の割合の増加、子育てや就労に関する選択肢の増加と、環境の整備(経済面だけでなく保育サービスの充実や社会制度上での補助)が大きく貢献している。

続いてアジア諸国のデータ。タイはイギリス同様に2008年のものが見つからず、補完は断念。

↑ アジア諸国の合計特殊出生率推移
↑ アジア諸国の合計特殊出生率推移

経済成長が著しく(、つまり先の主要国グラフと条件が似通っている)、時系列データが使える国を選んでいるが、日本以外は1980年前後に人口置換水準を割り込み、以後も下落を続けている。2005年以降はどうにか横ばい、あるいは微増といった感じだ。



先の記事、そして本文中でも結論で述べているが、出生率の低下は経済発展に伴う子供の養育コストの増大、結婚や出産に対する価値観の変化など、いわば先進国病とも呼べるもの。そしてそれを補い得るものとして一部諸国で顕著化しているのが、「嫡出でない子」の増加。また、最後のグラフにあるように、アジア諸国では婚姻内での出生にこだわる社会文化の影響が強く、それが経済発展と共に出生率が低下したままの状態を生み出しているものと考えられる。

人口少子化傾向を食い止めるには、日本のかつての風習を再度活性化する、今風にアレンジする、欧米の手法を参考にする、色々な手立てが想定できるし、どれか一つに限る必要は無い。少子化対策は(どこぞの国のように成果も上がらず浪費ばかりの)金のばらまきでは無く、戦略的な視点で先人の成功例を参考にし、断行すべきといえる。即効性は無く、劇的な変化が見られるわけでもないので敬遠されがちだが、数年後に石つぶてを投げられないためにも、なすべき最優先事項であるといえよう。

スポンサードリンク




▲ページの先頭に戻る    « 前記事|次記事 »

(C)2005-2017 ガベージニュース/JGNN|お問い合わせ|サイトマップ|プライバシーポリシー