奨学金事業の推移をグラフ化してみる(2014年)

2014/06/18 14:00

内閣府は2014年6月17日付で、2014年版となる少子化社会対策白書(旧少子化社会白書)を発表した。今回はその中の記述を元に原本資料をたどり、教育機会を確保する支援策の一環として展開されている、奨学金事業の推移について見ていくことにする(【発表リリース:少子化社会対策白書 (旧少子化社会白書)について】)。

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今回スポットライトを当てるのは、独立行政法人日本学生支援機構(2004年4月から各種財団法人・公的機関の業務を引き継いで誕生した、奨学事業を行う機構)が実施する奨学金事業。教育の機会均等を確保する観点から、意欲と能力のある学生等が家庭の経済状況によって修学の機会が奪われることのないよう、学費の支えとなる資金を貸与している。同機構の奨学金には有利子(第二種)のものと無利子(第一種)のものがあり、さらに後者では奨学生本人が卒業後に一定の収入(300万円)を得るまでの間は返還を行わなくても済む「所得連動返済型の無利子奨学金制度」を2012年度から導入している。

次に挙げるのは、その日本学生支援機構が展開している奨学金制度の貸与対象となる学生の人数と、同事業の費用推移。いずれも右肩上がりで上昇しているのが分かる。

↑ 奨学金の貸与人員の推移(万人)
↑ 奨学金の貸与人員の推移(万人)

↑ 奨学金事業費の推移(億円)
↑ 奨学金事業費の推移(億円)

この数十年間、物価上昇がほとんど無かったことを考えれば、事業費の増加は単純に奨学金の需要が増加している、奨学事業が拡大していると見て問題ない。実際、貸与人員も同様に増加している。

一方、審査基準のハードルが高いものの返済時の負担が小さい無利子奨学金制度を利用する(できる)人数には大きな変化は無く、基準がやや低いが返済時の負担が大きい有利子奨学金制度を利用する人は増加の一途をたどっている。借りる方には条件が良い、見方を変えれば貸す側にはリスクが大きい無利子奨学金制度の枠が一定数に限られ、大きく拡大することは難しいものの、奨学金制度そのものの需要は増加する一方であることがうかがえる。

また有利子奨学金でも利子は低率に違いないこと、選択肢次第だが最高の貸付金額は無利子奨学金の2倍近い(大学の学部次第ではさらに上乗せが可能)ことも、有利子奨学金制度を活用する事例が増えている一因といえる。あるいは無利子奨学金の金額では、就学補助には足りず、より高額を借り受けられる有利子奨学金を用いる事例もあろう。

なお「少子化社会対策白書」ではまだ直近データが反映されていないが、原本データの2014年度分では、「有利子奨学金」の事業費、貸与人員共に減少を示している。公開データが確認できる1998年度以降では初めてのことで、きわめて興味深い。今件事由について白書、原本のある日本学生支援機構共に説明は無いため、原因は不明。これが一過性のものなのか、それとも今後の傾向となりうるのか、その原因究明と共に、今後の動向を注意深く見守りたい。

ちなみに奨学金制度は日本学生支援機構によるものだけではない。官民共に多種多様な奨学金制度がある。【ローソン、全店舗へLED導入・奨学金基金創設・被災地特産品の販売など包括的被災地支援プロジェクト「元気になろう!日本」を始動】で紹介した、ローソンの「“夢を応援”基金」が好例である。また貸与ではなく給与(返済義務なし)の奨学金も少なからず存在する。よって今グラフが奨学金制度のすべてを指し示すわけではないが、学生と奨学金に絡む現状を推し量ることはできよう。


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