医師数の変化をグラフ化してみる(2014年)

2014/09/22 11:00

高齢化の進行や医療技術の発達による各種疾病の早期発見化に伴い、これまで以上に注目が集まるようになりつつある医療環境。そして各地域の医療環境を支える要となるのは病院施設と、その中で働く医師や看護師の方々。そこで今回は、それらの要素のうち医師数の動向について、厚生労働省の公開資料を基に現状の確認をしていくことにする。

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増え続ける精神科医、減る外科・産婦人科・内科医・小児科


元データとして用いたのは厚生労働省の【医師・歯科医師・薬剤師調査】。これは2年おきに行われている調査で、現時点では2012年分のものが最新のデータとして公開されている(2013年12月17日付)。まずは入手可能なもっとも古い値である1994年のデータを基準とし、主要診療科別医師の推移をグラフ化する。各診療科別の医師の増減動向が把握しやすい図となっている。また合わせて直近2012年時点における主要診療科の医師数(重複カウント)も掲載しておく。

↑ 医療施設従事医師数の年次推移(診療科名)(複数回答、各科の1994年を1.0とした時の推移)
↑ 医療施設従事医師数の年次推移(診療科名)(複数回答、各科の1994年を1.0とした時の推移)

↑ 医療施設従事医師数(主な診療科)(診療科は複数回答)(2012年)
↑ 医療施設従事医師数(主な診療科)(診療科は複数回答)(2012年)

一見して把握できるのは、総数もあわせ多くの科の医師数が増加している一方で、外科と産婦人科・小児科が減少を続けている実態。ただし産婦人科については社会問題化したこともあり、やや持ち直しの機運が見られる。

またグラフ中にも記しているが、2008年に診療科名の定義が細分化されたこともあり、調査項目も変更されている。それによる差異が2006年までと2008年以降には生じている。内科は2004年から減少しているとはいえ、2008年の急落はこの調査項目の変更によるところが大きいと見て良い。いずれにせよ、ここ数年では減少していることに変わりはない。

とりわけ下落が著しい外科・産婦人科・小児科の減少が再確認できるのが次のグラフ。1994年から2012年における変移を計算したものだが、産婦人科は1割近く、小児科は1割以上も減少している。

↑ 医療施設従事医師数推移(1994年→2012年)
↑ 医療施設従事医師数推移(1994年→2012年)

ただしこちらも上記にある通り、診療科名の定義変更による誤差が(特に外科で)生じている可能性に留意しておく必要がある。精神科は需要に応える形で増加しているのをはじめ、ほとんどの科で増加している。それゆえに外科と産婦人科、小児科の減り具合が目立つ(今件グラフでは取り上げていないが、小児外科はやや増加している)。また、内科が減少に転じているのは意外なところか。医療の発達で治療内容が専門化しているのが一因かもしれない。

ちなみに「複数回答」ではなく「主たる診療科」で答えてもらった場合の医師「数」は、次の通りとなる。

↑ 医療施設従事医師数(主たる診療科名)(2012年)
↑ 医療施設従事医師数(主たる診療科名)(2012年)

圧倒的な内科の多さ、整形外科の意外な多さが見て取れる。また、直上で「内科医師が減少傾向」としたが、需給上のバランスも考えられよう。

都道府県別産婦人科医の密度を探る


昨今では特に問題視されている産婦人科について、その資格を有する(「主たる」だけではない)医師数を、それぞれの都道府県別で「15-49歳女性人口10万人比で」算出したのが次のグラフ。例えば東京都は46.4人なので、産婦人科を利用する可能性が高い15-49歳女性10万人あたり、該当医師は46.4人いることになる。逆算すれば該当人口2155人あたり産婦人科医師が1人。

↑ 15-49歳女性人口10万人対「産婦人科・産科」資格取得医療施設従事医者数(2012年末)
↑ 15-49歳女性人口10万人対「産婦人科・産科」資格取得医療施設従事医者数(2012年末)

該当人口数比率で産婦人科医が一番多い都道府県は徳島県。少ないのは埼玉県で2倍強の開きがある。とはいえ、その鳥取県でも人数は57.2人。産婦人科医1人あたりで逆算すると1748人にもなる。



たびたび報道されることで、あるいは自分自身や周辺の人が実感して状況を把握している人も多いだろうが、特に産婦人科の医師数の少なさは社会問題化している。その産婦人科や外科では、一部の過剰・偏向報道がきっかけで風当たりが強くなり、訴訟リスクが急増し、いくら医師本人の志が高くとも「現状では続けることはかなわない」と医学の道を断念したり外れる人が相次いでいる。

もっとも尊い「生命の誕生」にたずさわる者たちが、半ば「いらぬ茶々」、さらには加害側の名誉欲のために仕事を追われ、あるいは志を断念させられる状況は健全とは言えない。一部の声高な人のため、ではなく出来る限り多くの人のため、そして正しい選択をしている人のため、しかるべき人が働き、動ねばならない。


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