原油先物(WTI)価格の推移をグラフ化してみる(2015年)

2015/11/20 15:00

昨今ガソリン価格、そしてその大本となる原油価格の動向に大きな注目が集まっている。為替にも影響されるため日本国内のガソリン・灯油価格の変動は海外と比べればゆるやかなものだが、それでも小さからぬ値動きが生じている。そして国際情勢は原油価格の変動を受け、大きな変化が生じ、また逆に国際情勢も原油価格の変動を起因として少なからぬ変化が起きている。そこで今回は原油先物(WTI、アメリカ南部などで産出される原油ウェスト・テキサス・インターミディエイト(West Texas Intermediate)の先物価格。原油価格の指標的な立ち位置にある)の動向を確認し、石油(原油)価格の変遷を眺めることにした。

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データ取得元はアメリカのエネルギー省(EIA、Department of Energy of the US government)が提供している【原油などの価格動向に関する各種データ提供ページ(Petroleum & Other Liquids/DATA))】。ここから「Spot Prices」を選び、リスト上記にある「Crude Oil(原油)」から「WTI - Cushing, Oklahoma」を選び、「View History」ページに移行。その上で月次データを取得する。今件データはオクラホマ州のCushingに位置する売り手側施設での価格。現時点では2015年10月分までが確認できる。

↑ WTI価格(1バレルあたり、ドル、1986年1月-、月次)
↑ WTI価格(1バレルあたり、ドル、1986年1月-、月次)

直近の金融危機、いわゆる「サブプライムローンショック」後の資源価格高騰時における価格の急騰が一番目立つ(2008年中頃)が、それ以外でも中期的に原油価格は上昇傾向にあること、そして2009年以降は値を高値に戻した後、もみ合いを続けて100ドル内外での値を維持、さらに直近ではイレギュラー的な下げ方を示している事が分かる。後述するが2015年1月末辺りで原油価格は底値を打ち、反転の兆しを見せているものの、やもすれば直近の最安値、39ドル09セントを切るのではとの勢いで下落していた。そして直近では底値を打ち、リバウンド、そして再び失速したように見える。

月次ベースにおける最新の値は2015年10月分の46.22ドル。前月の45.48ドルよりは70セント強ほど値を上げているが、前年同月の84.40ドルからは半分強の値に留まっている。

続いて1946年1月から月次単位でWIT価格を保存している場所「Economagic.com」で取得したデータによるグラフ。【Price of West Texas Intermediate Crude; Monthly NSA, Dollars Per Barrel】から逐次データを取得していく。なお「年ベースでの最高値」「平均値」では無く「毎年の12月の値」を元にしている(直近2015年はEIAから取得した最新の10月分の値を反映)ため、例えば2008年の値は同年で最高値を付けた夏の130ドル強では無く、12月の40ドル強になっていることに注意。

↑ WTI価格(各年12月時点)(1バレルあたり)
↑ WTI価格(各年12月時点)(1バレルあたり)

1970年頃まではほとんど固定相場で非常に安価(例えば1950年なら2.57ドル)だったのが、オイルショック(石油危機)前からじわじわと上昇。1970年代のオイルショックで大きく値を上げていく。その後はやや安値となり小刻みな上下を見せつつも安定していたが、21世紀に入ってから再び大きく上向いている様子が分かる。また2008年以降の資源高騰とその後の反動による急落が、いかに異常な状況だったかも理解できよう。



昨今では冒頭にある通り原油価格の大きな変化が国内外で様々な動きを誘発しており、原油の影響力の大きさが理解できる。昨今の原油価格の急落の原因は最後にリストアップする関連記事でまとめてあるが、その変動の大きさをより詳しく確認するため、金融危機ぼっ発の2007年以降の月次(2015年10月分まで)、そして2014年頭以降の日次動向を取得できる範囲、さらには直近1年間の日次による動向をグラフ化しておく。

↑ WTI価格(1バレルあたり、ドル、2007年1月-、月次)
↑ WTI価格(1バレルあたり、ドル、2007年1月-、月次)

↑ WTI価格(1バレルあたり、ドル、2014年1月1日-、日次)
↑ WTI価格(1バレルあたり、ドル、2014年1月1日-、日次)

↑ WTI価格(1バレルあたり、ドル、直近1年間、日次)
↑ WTI価格(1バレルあたり、ドル、直近1年間、日次)

2014年以降に限れば、2014年6月20日に最高値107ドル95セントをつけ、その後はゆるやか、そしてやや加速をつけて下落。いくぶんのリバウンドを見せた後、2015年の3月17日に43ドル39セントの安値を示す。その後は勢いよく上昇するも60ドル台でブレーキがかかり、6月10日の61ドル36セントを高値として、数日のもみあいの後、急速に失速。8月下旬に底を打った後は40ドル後半で推移していたが、11月に入ってからは再び下落。直近となる11月16日は41ドル68セントで、直近の安値となる2015年8月24日につけた38ドル22セントに迫る雰囲気を見せている。

中東方面での米ソ緊張を受けて一時的に原油価格が上昇する気配を見せても、すぐに値は戻す動きが続いている。【中国経済、一般に言われているより悪い=渡辺JBIC総裁(ロイター)】では「米シェールオイル・ガスの損益分岐点が従来のバレル35ドル程度から25ドル程度まで下がっており、バレル50ドル程度という現在の低価格が「今後1年程度続くとの見方が増えている」」との指摘もあり、環境の劇的な変化が無ければ、この状況がしばらくは継続しそうではある。また中国の景況感の後退などもあり、原油は供給過剰感が続いており、今年いっぱいはこの状況が続くとの観測が支配的。しばらくは40ドルを挟んだ攻防戦が見られそうだ。

ここ1、2年で生じている急激な変化により、原油の輸出入が経済に大きく関与している国では、対応が難しくなるのは必然。原油価格動向が昨今の国際情勢、そして原油産出国の思惑も多分に影響していることを思い返せば、今後の動きにも大いに注目しなければなるまい。


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