入居率は9割台…賃貸住宅の入居率状況をグラフ化してみる(2020年12月発表分)(最新)
2021/01/11 05:36


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各種調査要項などに関しては先行する記事【メディア別賃貸住宅業者への反応の変化をグラフ化してみる】にて記載済み。そちらで確認してほしい。
次に示すのは直近となる2020年度上期(2020年4月-2020年9月)における賃貸住宅の平均的な入居率。例えば委託管理の首都圏では92.3%とあるので、100世帯分の賃貸住宅があれば約92世帯分は利用者がいる、約8世帯分が空き室との計算になる。もちろんこの数字が高い方が運営側はハッピーとなれるし、貸し手側優勢の市場動向と見ることができる。
なお「委託管理」と「サブリース」の違いだが、前者は賃貸住宅運営の際に必要なあれこれの一部を業務委託の形で業者にお願いするもの、後者は一定手数料が差し引かれるものの物件のほぼすべてを管理業者に任せるもの。後者の場合、物件の持ち主が業者に物件を貸し、その物件を入居者が業者から借りる事になる(つまりまた貸し状態)。株式取引なら、自前でポートフォリオを作るか、投資信託を購入するかの違いのようなもの。

↑ 入居率(2020年度上期)
委託管理の場合は全国で92.6%。多数管理で多様なノウハウを駆使できるサブリース物件になると、もう少し入居率は上昇し、全国では96.9%となる。一方で一般的には100%からこの入居率を引いた値が空き室率となるため、全国では数%の賃貸物件が空き室状態となっていることも事実ではある。
続いて過去データが取得できる限りのものを確認した上で、その推移を示したのが次のグラフ。なおグラフにも注意事項として記載してあるが、2016年度下期分から、「算定基準が今回から管理戸数ベースになったことによる」ものである。従ってその前後の値の単純比較はできない、事実上連続性は無いグラフとなっている。

↑ 入居率(委託管理(集金管理含む))

↑ 入居率(サブリース)
地域別では大きな違いは無いものの、それでも多少は存在していた「首都圏・関西圏以外ほど空き室率が高い」現象が少しずつ収まり、地域差が縮小している感はある。また委託管理の入居率が高まる一方で、サブリース側はほんのわずかだが(関西圏で特に)減少傾向にあるように見える。ただし2016年度下期からは算出方法が変わったためか、関西圏の下落傾向は収束し、再び「首都圏・関西圏以外の地域ほど空き室率が高い」現象が生じているようにも解釈できる動きをしている。
以前のリリースでは委託管理とサブリースの差異に関して「滞納率アップ、管理業務の複雑化による経費の増加、加えて空室率の上昇に伴うサブリースのリスク回避も背景にあると思われる。仕入れ増を優先すると、希少価値のある物件を見送って人気薄の物件を多く仕入れてしまい、さらに空室率が悪化することもある」と解説。さらに滞納率との関係に絡めて「無理に空室率改善を図ると、入居者の審査レベルを落とすことになるため、家賃債務保証契約によってカバーする傾向が増加する」とも言及していた。賃貸物件の管理に関するさじ加減の難しさをかいま見ることができる。
また直近期に限ると首都圏と関西圏で大きな下落の動きが確認できる。これに関して報告書では「コロナ禍の影響によって、特に首都圏における転居が減少し、既存物件への継続入居が増えた」「首都圏・関西圏の微減は、実家へのUターンの増加、新規転入の減少なども要因と推測される」と説明している。新型コロナウイルス流行の影響は、入居率にも確実に影響を与えているというわけだ。
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