50年余りに渡る書籍のジャンル別出版点数動向をグラフ化してみる(2014年)

2014/12/03 11:00

総務省統計局に収録されている数々の時系列データのうち、年ペースで更新される【日本統計年鑑】にある出版関連データ(「出版・マスコミュニケーション」の項目)を基に、出版業界などの中期的な動向を推し量ると共に、今後の状況推測を行っている。今回は戦後における書籍のジャンル別出版点数の、中期的な動向を見ていくことにする。

スポンサードリンク


書籍は直近においては2005年以降、一時的な落ち込みを見せたものの、最近になって再び増加の兆しを見せる。このあたりはやはり年ベースでデータ更新が行われ出版されている、日本出版販売の「出版物販売額の実態」を元にした記事(【定期更新記事:出版物販売額の実態(日販)】)でも分析している。

↑ 書籍新刊点数推移(1948-2012年、「出版年鑑」ベース)(再録)
↑ 書籍新刊点数推移(1948-2012年、「出版年鑑」ベース)(再録)

それでは書籍のジャンル別の出版点数動向はどのような動きを見せているのだろうか。「総記」「哲学」「歴史」「社会科学」「自然科学」「技術」「産業」「芸術」「言語」「文学」「児童書」「学習参考書」と大別した上で、積上げ式、そして個別要素ごとに折れ線グラフに生成したのが次の図。「社会科学」や「文学」「芸術」関連の書籍が多いことが分かる。

↑ 書籍の出版点数(区分別)(-2012年、「出版年鑑」)
↑ 書籍の出版点数(区分別)(-2012年、「出版年鑑」)

↑ 書籍の出版点数(区分別)(-2012年、「出版年鑑」)(各区分別、点数)
↑ 書籍の出版点数(区分別)(-2012年、「出版年鑑」)(各区分別、点数)

目立つところでは1990年代前半に「芸術」の項目が急上昇している。色々な理由が想定されるが、1991年発売の写真集『Santa Fe』をきっかけとする写真集ブームが一因かもしれない(「芸術」項目に区分されたとすれば、だが)。2011年にも似たような現象が発生しているが、こちらは同年に発生した東日本大地震・震災の被害状況を撮影した写真を用いた、ビジュアル集的な書籍が数多く登場しており、それがカウントされた可能性はある。

また、項目中では数少ない減少傾向にある「総記」については、「主題が複数の分野あるいは全分野に及ぶものや逆にいずれの分野にも属しないもの」という定義を考えれば、百科事典の類の需要減少と合わせ、納得がいく。

良い機会なので今データから、子供に直接関係しうる項目「児童書」「学習参考書」の項目を抜き出し、グラフを再構築しておく。少子化問題の記事で、今後参照資料として役立つこともあるに違いない。

↑ 書籍の出版点数(区分別)(-2012年、「出版年鑑」)(児童関連、点数)
↑ 書籍の出版点数(区分別)(-2012年、「出版年鑑」)(児童関連、点数)

児童書は前世紀末から急増し、2005年あたりから失速傾向にあるが、中期的視点で見れば高い水準を維持している。一方で学習参考書は前世紀末から激しい変動を見せつつも、値としてはやや高めのまま。少子化問題が叫ばれ始めた前世紀後半からは、概してゆるやかではあるが増加の一途をたどっているのが分かる。



今件データで注意してほしいのは、あくまでも「出版点数」であり、「印刷証明部数」や「販売部数」では無い点。書籍点数が増えても1点あたりの販売数が伸び悩んだのでは、業界の拡大・発展が起きているとは言えない。逆に「粗製乱造」の状態とも受け止められかねない。そのあたりの業界動向・事情に関しては、毎年定期発刊の「出版物販売額の実態」などを随時見て行けば、理解は出来るはずだ。


■関連記事:
【電子書籍リーダー持ちも紙の書籍は結構読む、けれども……】
【新刊書籍・雑誌出版点数や返本率推移をグラフ化してみる】
【電子書籍利用者約25%、そのうち7割強は「今後紙の本を主に利用したい」】
【この4年間の電子書籍利用者推移を探る】

スポンサードリンク




▲ページの先頭に戻る    « 前記事|次記事 »

(C)2005-2016 ガベージニュース/JGNN|お問い合わせ|サイトマップ|プライバシーポリシー