ネットショッピング動向の詳細をグラフ化してみる(2015年9月分)

2015/11/07 11:00

総務省統計局が定点観測的に実施している調査の一つ【「家計調査状況調査」】は、元々「家計調査」の補完として、消費性向をより詳細に確認するために実施されている。昨今のインターネットを用いた商品やサービスの購入(ネットショッピング)機会の増加状況に合わせ、同調査でもその動きを詳しく追いかけるため、2015年1月実施分からネットショッピング支出に関し、大幅に調査項目を増やしている。今回はその調査項目の結果をもとに、ネットショッピング支出の詳しい現状を確認していくことにする。同調査の以前からのデータを用いた、大まかな動向を眺められる【ネットショッピング動向をグラフ化してみる】と合わせて読み進めることをお勧めする。

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直近月の支出詳細…宿泊料や食料品、家電が多い


まず最初に示すのは、主要項目別のインターネットを利用した支出の明細。月次データを元にしているので、今回は2015年9月(速報値)における月次の平均額となる。区分される項目は、他人向けが「贈呈品」、本人向けが「食料品」「飲料」「出前」「家電」「家具」「紳士用衣服」「婦人用衣服」「履物・その他衣類」「医薬品」「健康食品」「化粧品」「自動車等関係用品」「書籍」「音楽・映像ソフト、パソコン用ソフト、ゲームソフト」「電子書籍」「ダウンロード版の音楽・映像、アプリなど」「保険」「宿泊料、運賃、パック旅行費(ネット上での決済)」「宿泊料、運賃、パック旅行費(上記以外の決済)」「チケット」「前述に当てはまらない商品・サービス」の全部で22種類。

あくまでもインターネットを利用している世帯・いない世帯を合わせた、そしてインターネットを利用していてもネットショッピングをしていない世帯も含めた全世帯における平均値であること、さらに今件は二人以上世帯に限定した値であることに注意しなければならない。一人世帯(単身世帯)、さらには一人世帯と二人以上世帯を合わせた総世帯の動向は四半期以上のペースの公開となる。それらの支出性向は別の機会に精査を行う。

また参考値として、インターネットを通じて注文をした世帯比率、さらにはその世帯に限定した場合の総支出額の推移も示しておく(主要項目別の値までは公開されていない)。

↑ インターネットを利用した支出明細(2015年9月、円、二人以上世帯、非利用世帯も含めた平均)
↑ インターネットを利用した支出明細(2015年9月、円、二人以上世帯、非利用世帯も含めた平均)

↑ インターネットを通じての世帯注文動向(二人以上世帯、2015年1月-)
↑ インターネットを通じての世帯注文動向(二人以上世帯、2015年1月-)

後者のグラフにおける最新値は先行記事の「ネットショッピング動向をグラフ化してみる」で記した通り(世帯比率は四捨五入をするケタが異なっているため、表示上の違いが生じている場合もある)。

他方前者の詳細グラフだが、こちらは支出金額の平均で、利用件数・頻度までは分からない。各商品の平均的な単価から推測するしかない。宿泊関係は単価が高いことから、平均値の算出の際にも大きな値が出てしまっている。とはいえ利用率も相応のものであることは容易に想像できる。

また食料品は旅行関連・その他諸々的な項目以外ではもっとも高い金額を示している。旅行のような非定期・イベント的な利用では無く、定期的・日常的な利用としては食料品の購入がネットショッピングでは多用されている実態が改めて確認できる。もっとも今件の対象世帯全体の平均的な月次総支出食費額は8万1506円(速報値)。比率としては1.00%程度でしかない。

それ以外では単価が比較的高い家電や婦人用衣服、化粧品、保険なども高めの値が出ている。一方で健康食品、履物・その他衣類なども高め。「音楽・映像ソフト、パソコン用ソフト、ゲームソフト」も結構高い値に属するが、アマゾンや楽天などを高頻度で利用している人には納得のいく結果ではある。

書籍やゲームソフト、電子書籍などの変移は……


せっかく詳細な区分が行われたこともあり、いくつかの注目項目に関する平均支出金額の時系列的変移を見ていくことにする。他の分析記事との連動性を考慮し、「書籍」「音楽・映像ソフト、パソコン用ソフト、ゲームソフト」「電子書籍」「ダウンロード版の音楽・映像、アプリなど」の4項目に的を絞り、その変移を見たのが次のグラフ。

↑ インターネットを利用した支出明細動向(円、二人以上世帯、非利用世帯も含めた平均)(一部項目)
↑ インターネットを利用した支出明細動向(円、二人以上世帯、非利用世帯も含めた平均)(一部項目)

商品単価はさほど変わりないはずの「書籍」と「電子書籍」間に大きな差異があり、インターネット経由で購入されるにも関わらず、双方の消費性向には大きな違いがあることが、改めて確認できる。あるいは電子書籍は割引機会が多いので、その機会が多用されているのだろうか。

また、音楽や映像データ、アプリの支出金額も小さめ。デジタル系の支出は利用者が少ない上に、購入単価も低いため、全体平均としては値が低く抑えられてしまうと考えられる。

地域別の違いを見ていこう


「家計調査状況調査」の月次公開値では全体の値以外に、回答者の居住地域や居住都市規模別の集計結果も公開されている。インターネット通販の利用性向を推し量る上で興味深い違いが確認できるので、こちらも一部を精査しておく。

まずは地域、居住都市規模別の直近月におけるインターネットショッピング支出平均額と、利用世帯比率。支出平均額は非利用世帯も含むことに注意。要は、インターネットそのものを使っていない世帯や、ネットショッピングをしていない世帯の割合に、少なからぬ影響を受けることになる。また各区分の構成要素については【家計消費状況調査の用語の説明 支出関連項目】を参考のこと。

↑ 地域・都市規模別インターネットを通じて注文をした世帯比率(二人以上世帯、2015年9月)
↑ 地域・都市規模別インターネットを通じて注文をした世帯比率(二人以上世帯、2015年9月)

↑ 地域・都市規模別インターネットを通じて注文をした支出平均額(二人以上世帯、非利用世帯含む、円、2015年9月)
↑ 地域・都市規模別インターネットを通じて注文をした支出平均額(二人以上世帯、非利用世帯含む、円、2015年9月)

インターネットそのものの利用性向、ネットショッピングの利用性向が高い若年層の比率の違いなども影響し、地域区分では関東、都市規模区分では大都市における利用性向が高く、当然平均支出額も高めの値が出ている。

地域別の推定総支出金額を試算するには、今件の二人以上世帯では無く総世帯で勘案する必要があり、さらに各地域の世帯数を乗じねばならないため、単純に上記の世帯比率や金額からのみでは判断できない。しかし関東地域の人口が多いことを考えると、やはりインターネットによる支出総額も、概して関東地域によるものがかなりの比率を有していると考えても良さそうだ。

具体的な項目だが、やはり今サイトの他記事との関連性も考慮し、「書籍」「電子書籍」の2項目を確認する。もっとも「電子書籍」は金額そのものが少額となるため、多分にぶれが生じるリスクがあることを前提に見る必要がある。その懸念が無い位に支出額が増える=利用されるようになるのが好ましいのだが。

↑ 地域・都市規模別インターネットを通じて注文をした支出平均額(二人以上世帯、書籍、非利用世帯含む、円、2015年9月)
↑ 地域・都市規模別インターネットを通じて注文をした支出平均額(二人以上世帯、書籍、非利用世帯含む、円、2015年9月)

↑ 地域・都市規模別インターネットを通じて注文をした支出平均額(二人以上世帯、電子書籍、非利用世帯含む、円、2015年9月)
↑ 地域・都市規模別インターネットを通じて注文をした支出平均額(二人以上世帯、電子書籍、非利用世帯含む、円、2015年9月)

インターネットの普及率や世帯所得の違いなども影響していると思われるが、やはり大都市圏の方が支出額は大きい。また地域別では書籍は関東が最大値、電子書籍でも関東が最大値となった。もっとも今件は単月ベースで金額も2ケタ3ケタ程度であることから、ぶれが生じている可能性は否定できない。ある程度まとまった計測機会による平均値の算出が必要なのだろう。


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