近所にヤバい空き家がある、どうしてほしいかどうすべきか

2015/12/08 12:40

過疎化や高齢化、都市部への人口集中化に伴い、また高度経済成長期に建てられた居住用建築物の老朽化も要因として、空き家の増加が社会問題化している。居住可能な住宅の需給バランスの問題だけでなく、実質的に人が居住不可能な、あるいは大規模な修繕をしなければ住居の意味を成さない物件、居住は可能だが周辺環境の悪化により入居者・買い取り希望者が望めないような物件が多々あるのも事実。そのような空き家が放置され続けると、その建物自身だけでなく、周辺の環境へも悪影響を及ぼしかねない。その際、いかなる対応を人々は望んでいるだろうか。今回は内閣府が2015年11月30日に発表した住生活に関する世論調査から、実情を確認していく(【発表リリース:住生活に関する世論調査】)。

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今調査の調査要項は先行記事【3/4は「自分の家、やっぱり欲しいね」、要らない人は「住み替え希望」「ローンが怖い」】を確認のこと。

冒頭でも触れた通り、人口構成比の変化などを受け、空き家の増加が社会問題化している。【空き家はいっぱいあるけれど、使える空き家は50万戸にも満たない】でも言及しているが、現在日本全土で多数(直近データでは820万戸)存在する空き家のうち、有効利用が容易な物件は50万戸足らずでしかないとの推計も算出されている。

↑ 社会資本整備審議会住宅宅地分科会(第42回)(国土交通省)資料より
↑ 社会資本整備審議会住宅宅地分科会(第42回)(国土交通省)資料より

そこで、老朽化による破損・倒壊や火災リスク、さらには防犯の観点などにより、その空き家だけでなく外部周辺に悪影響を及ぼしている空き家があると仮定した場合、(地域の価値を損なわないようにとの前提で)その空き家へどのような対応をするのが望ましいかを聞いた結果が次のグラフ。全体では半数が「持ち主責任で除却(建造物などの有形固定資産を取り壊して廃棄すること)」との意見を持つ形となった。行政による関与を伴った上での除却は4割。

↑ 自宅の周辺に外部に悪影響を及ぼしている空き家があると仮定した場合、その空き家の対処としてどのような方法が望ましいか(2015年10月)
↑ 自宅の周辺に外部に悪影響を及ぼしている空き家があると仮定した場合、その空き家の対処としてどのような方法が望ましいか(2015年10月)

自己責任論の意見が多数派だが、実際には持ち主が宙に浮いた形、持ち主も除却したいが資金繰りができない、むしろ空き家のままの方が節約できる場合もあり、持ち主責任では状況の改善が望めない場合も多い。それを認識した上での「行政が関わって」の回答なのだろう。他方「そのまま放置」との意見は少数でしかない。

性別に見ると女性の方が自己責任論の主張度合いが大きい。また男性はほぼ一定だが、女性は歳を経るほど自己責任による除却を求める声が大きくなる。20代では男女とも他年齢階層と比べ「そのまま放置」の意見が多めで、特に男性20代では12.0%が放置で構わないと主張しているのも注目に値する。

これを居住者=回答者の場所的観点から仕切り直したのが次のグラフ。

↑ 自宅の周辺に外部に悪影響を及ぼしている空き家があると仮定した場合、その空き家の対処としてどのような方法が望ましいか(2015年10月)(居住者位置別)
↑ 自宅の周辺に外部に悪影響を及ぼしている空き家があると仮定した場合、その空き家の対処としてどのような方法が望ましいか(2015年10月)(居住者位置別)

多少のぶれがあるものの、大よそ人口密集地帯ほど行政関与による処置を望み、地方ほど持ち主責任による除却を願っている。行政への仕事への期待の大小、空き家問題の実態として回答者の周辺で起きている事案に関し、持ち主が関与できるようなものか否かなど、それぞれの事情が数字的な差異として表れていると見て良いだろう。例えば東京都区部ではむしろ行政による除却を望む声の方が多いが、これは見方を変えれば持ち主責任による空き家問題の解決が難しいケースが増えていると読むことができる。

地域別では東北地方で行政関与による除却を望む声が大きい。これは震災に絡んだ空き家(直接の破損や周辺環境の悪化に伴い住居を退去した事例や、避難から長期間戻らずに放置された状態のものなど多様なケースが想定される)に関して、権利問題から持ち主責任に期待できる空き家が少ないことの表れと読める。逆に東海地域では持ち主責任での除却を望む声が6割近くに達しており、持ち主がはっきりした形での空き家が多いことがうかがえる。

あくまでも今件調査項目は住民の要望、意見であり、法的問題の根拠とはまた別のもの。とはいえ、「悪影響を及ぼす空き家を放置して構わない」とする意見はごく少数でしかないこと、持ち主の責任による問題解決が望ましいが、行政による関与を望む声も大きい実情などは、認識すべき動きだろう。


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