嬉しくもあり、寂しくもあり…親より子供の方が上手にこなせること

2015/11/30 05:13

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先行記事【子供の家事でのお手伝い、一番人気は「食後の食器下げ」】にある通り、保護者は子供にさまざまな期待を持ち家事などの手伝いをさせる、自主的にしてもらうものだが、時として、あるいは次第に修練を重ね、腕を磨いていく。場合によっては保護者の腕前以上の成果を見せ、上手にこなし、その出来栄えに驚かされるものである。今回は日本生活協同組合連合会が2015年10月6日に発表した調査結果【「小中学生のお手伝いに関する調査」】から、子供に手伝いをさせている行為を中心に、保護者以上の上手さを見せる物事について見ていくことにする。


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今調査の調査要項は先行記事【子供の手伝いどれぐらい? 小学生でも「毎日手伝い」は3割程度】を参考のこと。それら先行記事で解説の通り、調査対象母集団においては、子供がもっともよく行っている手伝いは食後の食器下げ、次いで食事の準備、弟や妹の世話だった。

↑ 子供が日頃手伝っている事(複数回答、上位10位抜粋)(再録)
↑ 子供が日頃手伝っている事(複数回答、上位10位抜粋)(再録)

これらの家事行為も含め、何度も繰り返して行っていくうちに、あるいは元々物事への柔軟性の高さから、次第に保護者よりも上手にこなしてしまう事柄が増えてくる(今件調査対象母集団の回答者が持つ子供は、小学生から中学生であることに注意)。そこで回答者自身=保護者より子供の方が上手にこなせることについて挙げてもらったところ、最上位についたのは「弟・妹の世話」だった。10.4%の人が、保護者より子供の方が、弟や妹の世話を上手にできると回答している。

↑ 自分よりも子供の方が上手にこなせること(複数回答、上位10位まで抜粋)
↑ 自分よりも子供の方が上手にこなせること(複数回答、上位10位まで抜粋)

元々子供の手伝いとなる対象の家事は、技術をほとんど必要としないため、上手も何もないのだが、その一方で「弟・妹の世話」は時間をこなす必要があり、しかも歳が近しい方が親近感を得られる場面も多い。保護者顔負けの世話ができるのも不思議では無い。

次いで多いのは「スマホやパソコンの操作」「テレビの録画」。家事方面の手伝いとは別だが、デジタル系機器の操作が続く。新しいものへの適応力の高さは、子供にかなうはずもない。パソコンやインターネット関連の調査結果でも「親より子供の方が良く操作をこなす」「リスク教育をしたいが、むしろ子供の方が良く知っている」との事例が少なからず見受けられるため、むしろこれらの値は少ない方では、とすら感じてしまう。

さらに「食後の食器下げ」「お風呂掃除」「ペットの世話」などが続くが、掃除やペットの世話はともかく、技術そのものを必要としないものも多い(「回覧板の配達」で上手下手はどのような基準で判断するのだろう)。回答率が低めなのも「何となく」レベルでの選択の結果かもしれない。

今件を回答者の子供、つまり具体的に上手にこなせる子供の学年別に見たのが次のグラフ。

↑ 自分よりも子供の方が上手にこなせること(複数回答、上位10位まで抜粋)(子供の学生別)
↑ 自分よりも子供の方が上手にこなせること(複数回答、上位10位まで抜粋)(子供の学生別)

案の定下位層は法則性がなく乱数的な感が強いが、上位陣はある程度法則性を有する動きを示している。「弟・妹の世話」は概して小さい子供の方が回答値は高い。幼い子供ほど弟・妹との年齢の差異が小さい可能性が高く、また子供自身の用事に振り回される機会も少ないことから、多分に同じ時間を過ごせるため、世話ができる機会が多くなるのだろう(例えば受験を控えた中学3年生に、小学6年生の世話をさせるのは少々難しいし、保護者以上に上手にこなせるパターンは稀と考えられる。無論幼いころからずっと仲良く過ごしていれば話は別だが)。

また、デジタル系機器は学年が上であるほど回答率も高くなる。子供自身がスポンジのような吸収力で新しい技術を習得し、保護者以上にそつなく操作をこなしてしまうのは容易に想像ができる。特に中学生に入ってからの伸び率が著しい。

デジタル系の「スマホやパソコンの操作」「テレビの録画」について、拡大し数字を明記したのが次のグラフ。

↑ 自分よりも子供の方が上手にこなせること(複数回答、上位10位まで抜粋)(子供の学生別)(デジタル系)
↑ 自分よりも子供の方が上手にこなせること(複数回答、上位10位まで抜粋)(子供の学生別)(デジタル系)

テレビ周りは利用者の幅広さを考慮して、操作系に配慮がしてあるものも少なくないが、やはり多数のボタン、複雑なメニュー内容に手を挙げてしまう人も多い。説明書と見比べながら、場合によっては説明書すら読まずにさくさくとメニューを選択して録画をしてしまう子供の姿を見て、感心、羨ましさ、感慨深さを覚える保護者もいるはずだ。

似たような状況はむしろスマートフォンなどで多いだろう。パソコンこそ「操作には技術が必要」との前提、認識があるが、スマートフォンは携帯電話からシフトして使い始めた人が多いこともあり、「電話の発展版なのに何故これほどまでに操作がややこしいのか」と頭を抱える人も多分にいる。それこそゲーム感覚で操作をしていく子供達に、自分より上の腕前であることを確証する人が多くなるのも当然の話。子供の年齢が中学3年生にもなると、実に3割超えの人が「自分より上手」と認識している。

今件は子供の学年が中学3年生までを対象としている。仮に高校生まで対象を広げたら、どのような結果が出るのだろうか。その結果を見てみたいものではあるのだが。


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