子供の手伝いどれぐらい? 小学生でも「毎日手伝い」は3割程度

2015/11/29 05:27

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食事の後片付けやゴミ捨て、お使い、お風呂掃除など、普段は主に母親が行う家事を子供が行う「お手伝い」。単純に保護者の家事負担を減らすだけでなく、自身が家族の一員であることの認識や他人の役に立つことの必要性を学ぶ情緒教育として、将来の一人暮らしの際に役立つ知恵や経験を得るための訓練としてなど、さまざまなメリットがあるが、当然子供自身の自由時間は削られ、労力を必要とするため、子供からは敬遠されることもある。今回は日本生活協同組合連合会が2015年10月6日に発表した調査結果【「小中学生のお手伝いに関する調査」】から、いまどきの子供のお手伝い事情を確認していくことにする。


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今調査は長子が小中学生の20代から50代の女性に対し、2015年8月28日から31日にかけて、インターネット経由で行われたもので、有効回答数は1000件。子供の性別、子供の学年(小学校は低中高、中学生は一括)の区分で均等割り当て。調査協力会社はネットエイジア。

今調査対象母集団に対し、自分の子供のお手伝いの頻度を聞いたところ、全体ではおよそ2/3が少なくとも週一以上で行う、1/4がほぼ毎日行うと回答した。見方を変えると1/3近くは週に一度も手伝いをしていないことになる。

↑ 子供がお手伝いをする頻度(2015年7月)
↑ 子供がお手伝いをする頻度(2015年7月)

お手伝いの中身はまた別の話で、単にしているか否かのみの仕切り分けだが、大よそ小学6年生、あるいは中学1年生までは意欲的にお手伝いを行う子供も、中学2年生になるとややその頻度を減らしていく。今調査は保護者の立場からのもので子供自身には問い合わせておらず、その心境までうかがうことはできないが、気恥ずかしさや時間そのものの不足で、お手伝いの優先順位が下がってしまうのだろう。

これが単なるお手伝いでは無く、「自発的に」行うものとなると、頻度はかなり下がる。同時にこの設問があることから、上記の「お手伝いをする頻度」におけるお手伝いには、保護者側が半ば強制的に行わせているケースが少なからず存在することになる。

↑ 子供が「自発的に」お手伝いをする頻度(2015年7月)
↑ 子供が「自発的に」お手伝いをする頻度(2015年7月)

自分の子供が自発的なお手伝いを週一以上で行うとした人は約半数。毎日の場合は12.8%。こちらも小学6年生から中学1年生が一つの仕切り分けで、それ以降になるとお手伝いの頻度は小さなものとなる。

お手伝いには多種多様な種類があるが、いずれにせよ子供に強要させたのではモチベーションも下がるであろうし、効果もあまり期待できない。「トムソーヤの冒険」における壁のペンキ塗りの話ではないが、自発的なお手伝いの方が行為そのものの結果も期待でき、子供が習得できるものも多い。何より子供自身が楽しい時を過ごせる。

そこで子供が自発的にお手伝いをするために、どのようなことを保護者がすべきか、複数回答で聞いたところ、もっとも多くの人が同意を示したのは「お手伝いの後に『ありがとう』と感謝の意を述べること」だった。8割の人が大切だと考えている。

↑ 子供が自発的にお手伝いをするようになるために大事だと思うこと(3つまでの複数回答)(2015年7月)
↑ 子供が自発的にお手伝いをするようになるために大事だと思うこと(3つまでの複数回答)(2015年7月)

第2位の「お手伝いをしたら褒める」もほぼ同意で、要は子供の自発的な献身活動に対し、保護者側がその行為を認め、感謝を示している事実を子供に分からせる。子供自身はお手伝いを通して自分が保護者、そして世帯において価値ある存在であることを認めてもらえる。自分の世界がまだ狭い子供自身にとって、存在意義、価値の承認ほど、意義のある、嬉しいことは無い。

もちろん子供の手伝いでは失敗してしまうこともある。何とかこなしたと子供自身は思っていても、保護者がやり直しをしなければならないケースも多々あるだろう。それでも保護者の技術水準でその出来栄えを叱るのではなく、子供の視線で判断し、むしろそれを糧として技術を高めるべく教え諭すことが求められる。失敗を繰り返して学び、腕を磨くのは、誰もが歩んできた道であり、その過程で自分の腕の向上を認識できれば、お手伝いへの積極さもさらに増すに違いない。

保護者がすべて家事をこなしてしまうのではなく、子供の手伝いの余地を残しておく、保護者側の家事の頑張り具合を見せて(できれば楽しそうにするのが良い)、子供に真似をしたくなる、手伝いたくなるように誘導するのも一つの手。他方、子供の手伝い周りでは良く聞く「ごほうび」「ゲーム要素」は少数意見でしかないのが、意外といえば意外。



お手伝いをする・しないは具体的なお手伝いの種類によるところも大きいため、今件はあくまでも一般論の範囲でしかない。とはいえ、子供のお手伝いの頻度の世間一般的な実情、さらにはより好ましいお手伝い状況といえる「子供の自発的なお手伝い」をうながすために保護者がどのような手を打っているかが把握できる。

もっとも今件の「自発的なお手伝い」をうながすための手立ては、何も子供に対する話に限らない。会社などの組織内における自発的作業を後押しするのにも、欠かせない要素といえよう。


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