直近四半期では10.49万キロリットル…豆乳の生産量動向(最新)

2024/01/12 05:07

このエントリーをはてなブックマークに追加
2024-0112以前姉妹サイトで【豆乳の売れ行き結構伸びてるらしい、マジで】などで取り上げたように、昨今豆乳市場が堅調な状況にあるとの話を見聞きするようになった。スーパーの飲料・乳製品コーナーでも豆乳飲料を配する場所の面積は増え、続々と新商品が登場し、その活況ぶりをうかがうことができる。自炊の素材としてもよく使われるようになったとの話もあり、実際に各レシピサイトでも多様なメニューを目にする機会が増えている。今回は日本国内の豆乳などの生産量動向に関して、日本豆乳協会が定期的に情報を更新・公開している【豆乳の生産量・出荷量・大豆使用量調査】を基に、その現状を確認していくことにする。

スポンサードリンク


年ベースでの動向


日本豆乳協会の公開データベースでは1983年(昭和58年)以降年次、および四半期単位での豆乳関連商品の生産量・出荷量・大豆使用量の状況が確認できる。そこでまずは年次(現時点では1年分全体が収録されている値としては2022年分が最新)の動向を確認する。

なお豆乳の種類についてだが、【豆乳について | 豆乳の作り方と商品の分類】の説明にある通り、日本農林規格(JAS規格)による厳密な分類が行われている。

・豆乳…大豆固形分8%以上(大豆たんぱく質換算3.8%以上)

・調整豆乳…大豆固形分6%以上(大豆たんぱく質換算3.0%以上)

・豆乳飲料…
  果汁入り:大豆固形分2%以上(大豆たんぱく質換算0.9%以上)
  その他:大豆固形分4%以上(大豆たんぱく質換算1.8%以上)

「大豆固形分」とは製品から水分を除いた残りの成分。各製品パッケージに明記されている。

また同ページに歴史も記載されているが、豆乳は1970年代に入って初めて近代的な脱臭方法が確立され、その後独立した商品として登場するようになった。それ以前にも豆乳は栄養価が高い製品として存在していたものの、青臭さやえぐみのある味であまり飲まれていなかったそうである。

まずは年ベースで直近となる2022年の年間豆乳生産量。

↑ 豆乳などの生産量(万kl)(2022年)
↑ 豆乳などの生産量(万kl)(2022年)

店頭では(無調整)豆乳と調整豆乳が並べて販売されている場面をよく見かけるが、生産量は調整豆乳が豆乳の2倍近く。詳しい検証は省略するが、当然出荷量≒消費量もほぼ同率の状況にある。多様でユニークな味わいのものも多い豆乳飲料の類は、果汁入りが1.59万キロリットル、その他諸々の豆乳飲料が5.58万キロリットル。

続いてこれを経年変化の動きで見たのが次以降のグラフ。豆乳全体と、各種類別の動向を確認する。当然最新値は2022年分。

↑ 豆乳などの生産量(年ベース、全体、万kl)
↑ 豆乳などの生産量(年ベース、全体、万kl)

↑ 豆乳などの生産量(年ベース、主要種類別、万kl)
↑ 豆乳などの生産量(年ベース、主要種類別、万kl)

総量はバブル時代からするりと落ち(この減退傾向はそれ以前に生じていた豆乳ブームに関して、粗悪品が市場に出回り、豆乳全体のイメージが落ちたことが原因とされている)、その後は低迷していたが、前世紀末から漸増。ITバブル前後までには健康志向への対応や調整豆乳の堅調ぶりを受けて大きく飛躍したが、大豆イソフラボンの過剰摂取問題が話題に上るに連れて需要が冷え込み、特に調整豆乳の分野で減退著しく、数年間は低迷を続ける形となった。

2008年を底とし、調整豆乳の復調とともに総量も増加に転じ、以降は他の種類も併せ順調な伸びを示している。特に(無調整)豆乳はそのまま飲用するだけでなく、冒頭で触れたように料理の素材としての用いられ方が浸透しはじめ、生産量が大きく伸びている。ただここ数年は頭打ちになっている感は否めない。

↑ 豆乳などの生産量(年ベース、主要種類別、対総量比率)
↑ 豆乳などの生産量(年ベース、主要種類別、対総量比率)

総生産量に占める比率では、(無調整)豆乳の伸び具合、果汁入り豆乳飲料がじわりと値を伸ばしていたなどがうかがい知れる。ただし上記の折れ線グラフからも受け止められるが、ここ数年ではさらに豆乳・調整豆乳が伸びる一方で、果汁入り・その他はおおよそ横ばいのままの動きを示している。

四半期単位の動向


続いて四半期単位の動向。現時点では2023年第3四半期(7-9月、Q3)までの動向が確認できる。そこで直近1年分の主要種類における具体的生産量、および前年同期比を算出し、グラフにしたのが次の図。

なお具体的な資料に目を通してもらうと分かるのだが、2018年までは四半期単位で数十kl程度の量しかなかった「その他」(豆乳クリームをはじめ、豆乳ヨーグルトや豆乳鍋などの原材料としての豆乳)が2019年に入ってから大幅な伸びを示し、今期でも3678klと大きな値を示している。

これについて2019年Q3の動向発表と同時に公開された報告書では「2019年より集計を開始した「その他」のカテゴリー(豆乳クリームをはじめ、豆乳ヨーグルトや豆乳鍋などの原材料となる豆乳)の7-9月期における生産量は、4644klとなりました」とあり、「その他」は2019年から新たに計測を始めたことが確認できる。なお「その他」については2018年以前は量が少なく、2019年以降も絶対量が少ないため前年同期比が大きくぶれてしまうことから、前年同期比のグラフでは除外している。

↑ 豆乳などの生産量(四半期ベース、主要種類別、万kl)(直近1年)
↑ 豆乳などの生産量(四半期ベース、主要種類別、万kl)(直近1年)

↑ 豆乳などの生産量(四半期ベース、主要種類別、前年同期比)(直近1年)
↑ 豆乳などの生産量(四半期ベース、主要種類別、前年同期比)(直近1年)

年ベースでは堅調な伸びを示していた各種豆乳だが、四半期ベースで直近動向を見ると、落ち込んでいることが分かる。特に豆乳飲料(果汁入り)と豆乳飲料(その他)は大きな落ち込みを示している。この落ち込みについて日本豆乳協会の報告書などを確認すると、「社会情勢やエネルギー問題などの外部環境の影響、消費者マインドの低下、買い控えなどが影響している」との説明を見つけることができる。説明の前半部分は間接的ながら値上げを意味しているのだろう。2020年には新型コロナウイルスの流行で内食の需要が高まり豆乳などの需要が活性化し、その翌年となる2021年は前年の反動で下落、そして2022年以降は値上げや消費マインドの低下による生産量減少が生じているようだ。

最後はこの四半期動向に関して、値が取得可能な2009年以降のものを算出する。当然前年同期比は2010年分以降となる。

↑ 豆乳などの生産量(四半期ベース、主要種類別、万kl)
↑ 豆乳などの生産量(四半期ベース、主要種類別、万kl)

↑ 豆乳などの生産量(四半期ベース、主要種類別、前年同期比)
↑ 豆乳などの生産量(四半期ベース、主要種類別、前年同期比)

四半期単位の生産量も中長期的にはおおよそ右肩上がり。特に(無調整)豆乳は上昇ぶりが著しく、豆乳飲料(その他)に追いつき追い越せ追い越した状態であるのが分かる。

また調整豆乳で顕著だが、毎年第3四半期(7-9月期)には大いに生産量≒消費量が伸びる。これは清涼飲料水的な飲み方をして涼を取るスタイルが浸透しつつあるからだろう。

前年同期比動向では豆乳飲料(果汁入り)の動きがやや大きいが、おおよそプラスマイナスゼロのラインより上にある。つまりそれだけ生産量が増加傾向にあることを示している。特に青線=(無調整)豆乳の動きが好調なのが改めて把握できよう。他方、最近の前年同期比の動きから、この1、2年ほどの間では、豆乳以外は成長が止まった、さらには落ち込んでいるように見える。これは上記にある通り、値上げや消費マインドの低下による生産量減少の結果によるものだろう。ようやく直近四半期で、回復への兆しが見え始めたか、というところだろうか。


■関連記事:
【紀文の豆乳がキッコーマンの豆乳になっていたよ】
【くら寿司、アレルゲンを使わない「豆乳アイス」にココア味を追加】
【原材料・商品そのものを知らない大豆商品のトップは?】
【キッコーマン、今度はジンジャーエールな豆乳飲料を市場へ投入】

スポンサードリンク


関連記事


このエントリーをはてなブックマークに追加
▲ページの先頭に戻る    « 前記事|次記事 »

(C)2005-2024 ガベージニュース/JGNN|お問い合わせ|サイトマップ|プライバシーポリシー|Twitter|FacebookPage|Mail|RSS