定額制動画配信サービス、ネット利用者の7.2%が利用中、11.5%は「観てもいいかな」

2015/11/24 11:14

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博報堂DYメディアパートナーズ メディア環境研究所は2015年11月18日、定額制の動画配信サービスに関する利用状況などの調査結果を発表した。それによると調査対象母集団においては、7.2%が定額制動画配信サービスを利用していることが分かった。現在は使っていないが今後利用したいと考えている人は11.5%に達している。女性よりも男性、高齢層よりも若年層の方が利用性向・利用意向は強い結果が出ている(【発表リリース:定額制動画配信サービスの潜在利用者は全体の約2割】)。


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現時点では最大2割近くにまで増加の可能性


今調査は2015年10月17日から19日にかけてインターネット経由で15歳から69歳までの男女に対して行われたもので、有効回答数は3400人。男女比は1対1、世代構成比は15歳から19歳までが310人、20歳以上は10歳区切りで618人ずつ。調査実施機関はマクロミル。

インターネットを利用できる機器の高性能化、インターネットそのもののブロードバンド化・回線のさらなる高速度化、そして動画配信に係わる技術の発展に伴い、インターネット経由の動画をテレビやビデオと同様の映像として管理配信するサービスが多々登場している。

中でもデータの蓄積・検索性を活かし、定額制の動画配信サービスが注目を集めている。これは月額で500円から1000円程度の対価を支払うことで、多種多様なライブラリに収録されている動画を何度でも繰り返し閲覧できるもの。また(サービスにも寄るが)パソコンだけでなく、テレビやタブレット型端末、スマートフォンなどでも利用できる。

今調査対象母集団においては、質問時点で定額制動画配信サービスを利用している人は7.2%となった。インターネット利用者を母体としており、世間一般全体としての普及率は大よそ5%ぐらい、20人に1人辺りと見れば良いだろうか。

↑ 定額制動画配信サービスの利用性向(2015年10月)
↑ 定額制動画配信サービスの利用性向(2015年10月)

あくまでも今件は現時点での話。今後もっとインターネットへのアクセスが容易になる、リアルタイム放送によるテレビ番組への興味関心が薄らぐ、定額制動画配信サービスの魅力が底上げされコストパフォーマンスが改善されるなどの状況変化があれば、利用意向者はもっと増えるであろうし、逆の事態が起きれば利用意向者は減ることは容易に想像できる。とはいえ書く状況は急激な変化を迎えるとは考えにくく、ここしばらくは「インターネット利用者に限れば」このような意向状況にあると見て良いだろう。

男女別では10代はあまり変わりは無いものの、20代以降になると概して男性の方が利用者・利用意向者は多くなる。映像コンテンツへの興味関心は男女で差異はさほど無く、むしろ女性の方が強い意欲を見せる場面もあるはずだが、やはり入会や利用時の操作に係わるハードルが影響しているのだろう。

男性では20代までは、女性では10代が利用中+利用意向者で約3割、男性は30代、女性は20代から30代までが利用中+利用意向者で2割の結果が出ている。今後環境が改善されれば、少なくともこれだけの値が、定額制動画配信サービスの利用者となる可能性がある。

他方高齢者は利用中・利用意向者共に低め。さらに今調査がインターネット経由で、かつ高齢者はインターネット利用率が低めであることを考慮すると、実際の全高齢者層に占める利用中の人の割合、利用意向者は良くて1割程度ではないかと予想される。もっとも現時点では定額制動画配信サービスで提供されているコンテンツの多くが若年層から中堅層向けのものであるため、高齢層がさほど興味を抱かないのも納得できる。

「対象作品が多い」が最大の魅力


それでは定額制動画配信サービスにはどのような魅力がある・あると見られているのか。評価できる点を挙げてもらい、その上位陣を列挙した結果が次のグラフ。

↑ 定額制動画配信サービス利用者/利用意向者の評価点(複数回答、上位のみ、2015年10月)
↑ 定額制動画配信サービス利用者/利用意向者の評価点(複数回答、上位のみ、2015年10月)

現在利用中の人、今後利用したいと考えている人、双方ともトップの評価点は「観られる作品が多い/多そう」。図書館ならば蔵書が多数に及ぶ、食堂ならばメニューが豊富。選択肢が多く、しかも時間内なら何度でも好きなだけ好きな種類数を閲覧できるとあれば、数が多いにこしたことはない。ビデオレンタルのように「貸出し中」の札を恨めしく思う心配も要らない。

次いで多い評価点は双方とも多様な機器で閲覧可能。これはサービスに寄るが、パソコンの大画面だけでなく、さらに大きな画面で家族そろって楽しめるテレビ画面で、さらには一人で、そして移動先でも閲覧できるスマートフォンでの利用がメリットである点。閲覧できる環境を制限されないのは非常にありがたい。

第3位はこれもまた利用者・利用意向者共に「一人でじっくりと閲覧可能」。言葉のニュアンスが曖昧だが、再生端末を制限されないことで、閲覧場所が固定されず、自室などでもじっくり観られるのを意味すると考えれば良い。他人の視線を気にすることなく、時間にもとらわれず、くつろぎ環境を自前で創り、好きなだけ閲覧できる。王様・女王様気分で映像コンテンツを楽しめるのだから、これほど素敵なサービスは無い。

第4位・第5位も利用者・利用意向者で大きな差異は無く、結局のところ多方面での柔軟性の高さ、これまでの映像コンテンツの提供サービスができなかったことが可能になった点に大きな魅力を覚えていることになる。



定額制による無制限利用可能なサービスとしては、音楽の「聴き放題」的なサービスが先行する形で大いに普及し、スタンダードとなりつつある。現在はまだ少数派の映像方面の定額制サービスだが、今後少しずつ、そして確実に利用者は増えていくに違いない。


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