2.3%ポイント前年同期から改善…大学生の2015年3月末時点での就職率は96.7%に

2015/05/20 05:00

厚生労働省は2015年5月19日、2014年度(平成26年度、2014年4月1日から2015年3月31日)における大学や短期大学、高等専門学校、専修学校の新卒者就職状況に関する最新調査結果を公開した。その発表資料によれば2015年4月1日(3月末)時点の大学卒業予定者の就職率(就職希望者に対する就職者の割合)は96.7%となり、昨年同時期と比べ2.3%ポイントの改善が見られたことが明らかになった(【発表リリース(平成26年度「大学等卒業予定者の就職内定状況調査」)】)。また、同日発表された【平成26年度「高校・中学新卒者の求人・求職・内定状況」取りまとめ】によれば、高校新卒者の就職内定率は98.8%となり、昨年同期から0.6%ポイントの増加(改善)を示している。

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高専は100%で変わらず、それ以外は全部門で改善した就職率


公表された調査結果によると、2015年4月1日時点で大学の就職内定率は96.7%となり、前年同期の94.4%と比べて2.3%ポイントのプラスとなった。つまりそれだけ同じ時期における就職状況が改善されたことになる。

↑ 中卒-大卒予定者の就職(内定)率(2015年3月末時点と2014年同時期)
↑ 中卒-大卒予定者の就職(内定)率(2015年3月末時点と2014年同時期)

短期大学の就職率は大学や高等専門学校と比較して低めに出てしまう。今回調査の就職率もそれに習う形で、差が生じている。もっともこれでも前年同期と比べると1.4%ポイントと上昇を示している。

唯一変わらないのは高等専門学校だが、こちらは前年同期が100%でこれ以上上昇は不可能であることから、仕方がない。高等専門学校生は不況時には即戦力として頼られる傾向が強かったが、景況感の回復に伴い他の学校種類の生徒と比べて企業側の需要が相対的に低下した可能性が懸念されたものの、今回期では幸いにも前年と同じ値にまで至ることとなった。

なお中学新卒者の選考・内定開始期日は、全国高等学校長協会、主要経済団体(一般社団法人日本経済団体連合会、日本商工会議所、全国中小企業団体中央会)、文部科学省及び厚生労働省において検討を行い、2015年1月1日(積雪指定地域では2014年12月1日以降)と申し合わせている。元々それほど高くはない就職内定率だが、他学校種類と比べて就職活動期間が短いこともあり、中学生においては一段低い値となるのも仕方がない。もっとも中学新卒者でも、前年同期比で11.2%ポイントのプラスと大幅な状況改善が確認できる。

国公立と私立大学、男女別で確認


このうち大学(国公立・私立の合計、個別)にスポットライトを当て、男女別にその動向を確認したのが次のグラフ。

↑ 国公立・私立大の男女別就職(内定)率(2015年3月末時点と2014年同時期)
↑ 国公立・私立大の男女別就職(内定)率(2015年3月末時点と2014年同時期)

今グラフで対象とした区分においては、前年同期比で低下を示したのは皆無となった。最初のグラフからも分かる通り実際に就職率が増加しなかったは高等専門学校のみで、比較対象となる前年同期が上限値であることから、論理的に無理な話ではある。

男女別に見ると男性の方が前年同期で上昇率が大きいが、これはグラフの通り元々女性の方が上限値に近く、伸びしろが少ないため。今回の上昇ぶりで男女差は縮まりつつあるが、それでもなお女性の方が就職率は高い。

中期的な内定率推移から就職戦線の動きを推し量る


厚生労働省が定期的に発表している今件就職(内定率)において、過去のデータを逐次抽出し、過去10年間における動向をグラフ化したのが次の図。リーマンショック後下げ続け、2011年3月卒分を底とし、それ以降は少しずつ回復基調にある状況が容易に把握できる。それと共に、金融危機さらにはリーマンショックに通じる直近の金融不況で生じた内定率下落以前の水準、今回期ならば96.9%と比べると、もうほんの少しだけ、回復基調が望まれることが分かる。

↑ 就職(内定)率の推移(大学・全体)(-2015年4月1日)
↑ 就職(内定)率の推移(大学・全体)(-2015年4月1日)

大学生などの就職(内定)率は、その時の経済状態や企業の景気判断、とりわけその時点の景況感では無く、今後の見通し的なものと深い関係にある。現在景気が良くても、今後の見通しに不安があれば、わざわざ人材を増やしてリスクを底上げする酔狂さを持つ企業はさほど多くない。逆に企業の先行きが明るければ、それを見越して事業拡大を図るため、人材の追加確保に勤しむことになる。つまり学生諸子の就職率を底上げし、安定化させるには、(非常に大雑把な話ではあるが)景気回復こそが一番の対策となる。



冒頭にある通り、同日付で中学・高校卒業予定者の内定率も発表されている。その値も大卒予定者同様上昇を示している。高校新卒者の各種データは次の通り。

■高校新卒者
・求人数は31.6万人。前年同期で23.7%増
・求職者数は17.1万人。前年同期で4.1%増
・就職(内定)者は16.9万人。前年同期で4.8%増

■中学新卒者
・求人数は1662人。前年同期で4.7%増
・求職者数は936人。前年同期で14.0%減
・就職(内定)者は675人。前年同期で1.8%増

高校新卒者では求人数が大きく増加する一方、求職者数(求職率)はそれに比べて低めの増加に留まっている。求人倍率も1.85倍となり、前年同期比で0.29ポイントと大幅な上昇を見せている。求職者にとっては好ましい環境下に違いない。もっとも求職者全員が内定をもらったわけでは無く、企業・求職者双方のマッチングを考えれば、さらなる状況改善に期待がかかる。ただしあまりにも求人倍率が上がりすぎると、今度は企業側の人材不足が深刻化してしまうので、そのバランス感覚が難しいのだが。

他方中学新卒者も内定者数・内定率は増加し、求職者数は減少している。高校進学者が増え、中学卒業で就職する選択をした人が減っていることになる。

中学・高校卒業者は大学卒業者と比べて短期間での離職率が高いことでも知られている(【学歴別・就職後の離職状況をグラフ化してみる(2014年)(最新)】)。内定率そのものは高くても、定着率が低ければ、企業も学生も双方とも不幸となる。企業側の人手不足が深刻化する昨今、「仕方なくこの企業を選ばざるを得ない」といった状況も減りつつあるのが幸いなところ。定着率も上昇し、より健全な、雇用・被雇用双方が望む状況に移行しながら、就職内定率が上がるよう、望みたいものだ。


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