金融資産を持たない世帯、夫婦世帯は3割強・単身は4割近く(2014年)

2014/11/26 08:00

金融広報中央委員会の「知るぽると」は2014年11月5日、同会が毎年調査・発表している家計の金融行動に関する世論調査において、最新版となる2014年分を公開した。発表資料では主にお金のやりくりの視点から、一般世帯の動向を推し量れる数多くのデータが開示されている。今回はそのデータを基に、世帯ベースでの金融資産の保有の有無について、最新分、さらには経年変化を確認をしていくことにする(【知るぽると:調査・アンケート公開ページ】)。

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直近では単身61.1%、夫婦世帯は69.6%が金融資産持ち


今件における「金融資産」とは、預貯金・有価証券・保険などの金融商品を意味する。事業性の預貯金(家計で蓄財しているものとは別個)や、給与振込・振替などで一時的にしか口座に留まらない事業性の預貯金は「金融資産」には該当しない。また、土地や住宅、貴金属などの実物資産なども含まれない。その「金融資産」を有するか否かの問いに対し、「ある」と答えた世帯の推移が次のグラフ。「単身世帯」の調査は2007年以降であることから、単身・夫婦(二人以上)世帯の比較がしやすいよう、今世紀に限定したグラフも併記した。

↑ 金融資産保有率(単身・二人以上世帯)(1963-2014年)
↑ 金融資産保有率(単身・二人以上世帯)(1963-2014年)

↑ 金融資産保有率(単身・二人以上世帯)(2001-2014年)
↑ 金融資産保有率(単身・二人以上世帯)(2001-2014年)

個人のプライベートな事情、資産に関するポリシーなどもあり、100%はありえないものの、前世紀末までは9割台を維持していた二人以上世帯の「金融資産保有率」。しかし21世紀に入ってからは少しずつ減少し、特に今世紀初頭の不景気における低下は著しいものとなっている(約10%ポイント下がっている)。その後景気の持ち直しと共に、二人以上世帯では8割近くまで戻しているが、2011年では前年比で6.3ポイントもの急落が確認できる。この下げ幅は奇しくも2002年から2003年における不景気下でのものと同一で、少なくとも「二人以上世帯の金融資産保有率」の観点からは、景気後退の流れはほぼ同じレベルであることがうかがえる。

単身世帯では二人以上世帯よりも早く、金融資産保有率の上で、不景気の影響が出ている。グラフを見れば分かる通り、2010年から大幅な下落が確認できる。2009年からの2年間での下げ率は8.8%ポイント。2011年において単身世帯の4割近くは「金融資産を持っていない」との計算になる。

2012年では単身・二人以上世帯共にいくぶん値を戻したものの、その後も低迷感は否めない。直近の2014年において二人以上世帯は前年から0.9%ポイント増加したが、単身世帯は1.7%ポイント下落。単身世帯では2007年の計測開始以降では最低値を更新することとなった。

低所得世帯ほど低い金融資産保有率


金融資産の保有状況は、各世帯の年収と少なからぬ関係がある。次のグラフは世帯年収別の「金融資産保有率」を示したもの。単身世帯でややぶれが目立つものの(年収1000-1200万円未満世帯が一番「非」保有者率は低く、1200万円以上は大きく跳ねあがる)、全般的には「低年収ほど金融資産を持たない世帯が多くなる」傾向が確認できる。

↑ 金融資産「非」保有率(単身・二人以上世帯)(2014年)
↑ 金融資産「非」保有率(単身・二人以上世帯)(2014年)

今件調査の「収入」は就業に伴う収入、年金、不動産賃貸収入、利息収入などの税引き後収入を意味し、土地・住宅、株式などの資産売却に伴う収入は含まれない。無収入世帯では他世帯の世話を受けているか、売却益などを切り崩しているなどが想定されるが、年収300万円未満世帯同様、金融資産を持たない世帯が多いことが分かる。

また世帯構成別に見ると、単身世帯は二人以上世帯と比べ、金融資産非保有率が高い。収入の面で辛い面が多い、あるいは必要性を感じにくい点が影響していると思われる。単身世帯では子供が(原則的に)居ない世帯となるため、子供のための資産蓄積の必要性が無いと考えれば道理は通る。



直近の2014年における金融資産保有世帯率の減少だが、内部データを精査すると、低年収・若年層で有意に減少していることが確認されている。若年層は必然的に低年収となる場合が多く、この場合、低年収≒若年層による金融資産保有率が減少したことが分かる。この傾向は単身・二人以上世帯共に生じており、特に2011年以降の20歳代で顕著である。

これらの動きを見るに、若年層の金銭周りが厳しくなり、貯蓄の余裕が少なくなってきた人が増加した可能性はある。それと同時に上記の通り、金融資産の定義部分に「金融資産には、土地・住宅等の実物資産は含まない」とあることから、「金融資産にカウントされない実物資産の増加」、あるいは「一時的にしか口座に留めておかない預貯金(自らのために使うつもり)の増加」という動きなのかもしれない。


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