新聞を読まない理由は何だろう(2015年)

2015/01/20 11:00

情報取得が可能なメディアの多様化による相対的な優先順位の低下、配信する情報の信頼性における問題、購入機会の減少など、紙媒体の新聞は少しずつその購読率・閲読率を低下させつつある。それでは具体的に、新聞を読んでいない人はいかなる理由で読まないのだろうか。財団法人新聞通信調査会が2015年1月12日までに発表したメディアに関する全国世論調査から、新聞を閲読していない人における、その理由について確認していく(【発表リリース:2014年メディアに関する世論調査結果】)。

スポンサードリンク


今調査は2014年9月に住民基本台帳からの層化二段無作為抽出法によって抽出された18歳以上の男女5000人に対し、専門調査員による訪問留置法によって行われたもの。有効回答数は3270人。また今調査対象母集団において頻度は問わず、朝刊・夕刊まで含めた新聞を読んでいる人は77.3%。さらに無回答者をのぞくと22.5%が新聞を読んでいない計算になる。

その新聞非閲読者に、なぜ新聞を読まないかに関して尋ねたところ、直近の2014年では「テレビやインターネットなど他の情報(源)で十分だから」とする意見がもっとも大きく、72.7%に達することとなった。

↑ 新聞を読まない理由(読まない人限定、複数回答)
↑ 新聞を読まない理由(読まない人限定、複数回答)

次いで多いのはそもそも論として「新聞を取っていない」で43.1%。もちろん自宅で新聞を定期購読契約していなくても、通勤や通学中に購入したり、会社内や学校、図書館などで読む機会は得られるが、元々読む気概がさほどなく、積極的に行動して読む気が起きないというところ(「新聞を読みたい」との心持ちが多分にあれば、新聞を購読している人も少なからずいるはず)。

次いで「新聞は高い・お金がかかる」が入っているが、元々新聞は有料で購読することを考えると、自分が支払っても良いと考えている対価以上の価格である、読みたい気持ちはあるが支払う金額分ほどの価値は見いだせないなどが、具体的な理由だろう。

単純比較できる期間内で経年比較をすると、唯一漸増しているように見えるのが「テレビやインターネットなど他の情報で十分」。代替されうるメディアの有益性が漸次増加し、新聞離れが進んでいると読むことが出来る。

もっとも、例えば「新聞を読む習慣が無い」ので「新聞を取っていない」、「新聞は高い・お金がかかる」から「新聞を取っていない」、元々「新聞を取っていない」ので「新聞を読む習慣が無い」など、複数の項目が重なって新聞非閲読者になっている可能性は多分にある。例えば「テレビやインターネットなど他の情報で十分」情報は取得できるので、新聞から得られる情報に価値を見いだせず、相対的に「新聞は高い・お金がかかる」と判断せざるを得ない。また、テレビやネットで時間を取られて「新聞を読む時間が無い」ので「新聞を取っていない」から新聞を読まない、という人も多数いるに違いない。

回答項目のうち上位回答率を示したものについて、属性別で仕切り分けした結果が次のグラフ。

↑ 新聞を読まない理由(2014年度、読まない人限定、複数回答)
↑ 新聞を読まない理由(2014年度、読まない人限定、複数回答)

若年層はテレビやインターネットなど他メディアからの情報取得で十分であり、新聞をわざわざ読む必要が無いと考えている人が多く、新聞を取っていない・コスパが悪いなどの理由はそれほど多くない。ところが中堅層になると、テレビ・ネットからの情報による満腹感と共に(見方を変えるとそれだけテレビやインターネットから、新聞から取得できるのと同じような情報を積極的に仕入れているのだろう)、コスパの悪さを理由に上げる人が増え、「新聞を取っていない」にほぼ並ぶ形となる。他方、60代以降はテレビやネットの情報で満足する率はグンと減り、「新聞を取っていない」との回答が増え、70歳以上になるとテレビやネット情報での満足さすら抜いてしまう。

他メディアからの情報で十分とする、金銭的問題、時間や習慣”以外”で新聞を取らない理由は想像が難しいが、「邪魔になる」「新聞配達エリアに無い」「身体的な事情で新聞を読むのに難儀する」などが考えられる。あるいは新聞に書かれているような情報そのものに、興味関心が薄れてしまっているのかもしれない。

現時点では新聞を閲読しない人のうち、50代位までは主にテレビやインターネットの情報で十分で新聞を読む必要が無いとする人が多分を占めている。過半数との仕切りで考えれば60代も含まれる。今後さらにインターネットを利用する人が増えるに連れて、テレビやインターネットの情報で十分だから、紙媒体の新聞を取らない人も増えていくのだろう。

もっともインターネット経由の情報は多分に、新聞社自身も配信しており、内容的に「紙の上に刷られたもの」か「インターネットという媒体で見る」かの違いでしかないとの考え方もある。どうしても紙媒体としての新聞を売り続けたいのなら話は別だが、情報そのものの対価を新聞社が求めたいのであれば、テレビやインターネット経由で「紙媒体としての新聞」ならぬ「新聞に掲載されている情報をインターネット経由で」売る施策を、これまで以上に積極化する必要があるのかもしれない。

もちろんインターネットを用いて情報を取得する人たちは、無料の情報に慣れている。紙媒体の新聞読者以上に、情報に求める対価の物差しは厳しい。紙媒体の新聞と同じような路線、発想、方針、品質で同等の対価をインターネット経由の読者に求めていたのでは、多くの人が見向きもしないに違いない。より厳しい品質チェックと自らを律する心構え、さらには価値を見出してもらえるような仕組み・工夫が求められよう。


■関連記事:
【欧米主要五紙に見るリーマン・ブラザーズ破綻の衝撃】
【大手二紙が群を抜く…米新聞の電子版登録者数をグラフ化してみる(SNM2014版)】
【FT誌曰く「『ビジネスウィーク』には1ドルの価値しかありません」】

スポンサードリンク




▲ページの先頭に戻る    « 前記事|次記事 »

(C)2005-2016 ガベージニュース/JGNN|お問い合わせ|サイトマップ|プライバシーポリシー