出版物の売り場毎の販売額推移をグラフ化してみる(番外編:電子出版独自追加版)(2014年)

2014/10/22 14:00

先に掲載した【出版物の売り場毎の販売額推移をグラフ化してみる】を皮切りに、日販による『出版物販売額の実態』最新版(2014年版)をベースに多方面からの切り口で、出版業界の現状・出版物の販売動向を精査している。今回は一連の記事の締めくくりとして、最初に掲載した「販売額推移」について、電子出版を加味した当サイトなりの試算によるグラフ生成と、状況の把握を行うことにする。

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『出版物販売額の実態』最新版(2014年版)ではいわゆる「電子書籍」、そして「電子雑誌」も合わせた「電子出版」は数字には反映されていない。「インターネットルート」との項目はあるが、定義は「インターネット専業店を経由して販売された(紙媒体による)出版物推定販売額」。電子出版は該当しない(出版元へ確認済み)。

一方で日本国内の電子出版そのものの動向だが、【雑誌も含めて市場規模1000億円超え…「電子書籍ビジネス調査報告書2014」発売】で解説している通り、2013年度では約1013億円という推定値が出ている(電子書籍が936億円、電子雑誌が77億円)。

↑ 日本国内電子出版市場規模(億円)(インプレス総合研究所)(再録)
↑ 日本国内電子出版市場規模(億円)(インプレス総合研究所)(再録)

2013年度において総額は大きく増加している。これは構成比からも分かる通り、スマートフォンやタブレット型端末の大幅な普及率向上が最大の要因。そして国内における電子書籍の認知度・利用度の増加、さらには出版側の電子書籍などの刊行(主に紙媒体誌の焼き直しだが)の増加によるところも大きい。

ともあれこの発表リリースを元に「公開値」を拾い、『出版物販売額の実態』最新版(2014年版)のデータに当方で独自に加算し、いくつかのグラフを創り直すことにする。

まずは販売ルート別推定出版物販売額。

↑ 販売ルート別推定出版物販売額(2009-2013度年)(億円)(電子出版追加版)
↑ 販売ルート別推定出版物販売額(2009-2013度年)(億円)(電子出版追加版)

あくまでも金額ベースでの話だが、「電子出版」はすでに「生協ルート」を超えて第4位の立ち位置にある。ほぼ同一ツールを使う点では「インターネットルート」と競合、あるいは相乗効果を生み出す点もあり(しかも両者とも売り上げは伸びている)、今後両者の関係が気になる。

続いてこれを比率グラフにしたもの。「電子出版」の立ち位置が分かりやすいように、項目の並びを一番右にしてある。

↑ 販売ルート別推定出版物販売額(2009-2013年度)(比率)(電子出版追加版)
↑ 販売ルート別推定出版物販売額(2009-2013年度)(比率)(電子出版追加版)

金額はそれなりに大きいものの、シェアとしては「その他大勢」のレベルでしかない。ただし「インターネットルート」同様、確実にそのシェアを伸ばしているのも事実。「インターネットルート」と「電子出版ルート」を合わせると、すでに「コンビニルート」を抜いている。

最後は経年データによる積上げグラフ。

↑ 販売ルート別推定出版物販売額(億円)(電子出版追加版)
↑ 販売ルート別推定出版物販売額(億円)(電子出版追加版)

一番上、直近年の2013年度では総額を示す赤い数字の直下にあるのが電子出版。総額が減る中でインターネット同様に増加傾向を示す数少ない項目であると共に、全体に占める割合は微細なのが改めて認識できる。まるで音楽業界におけるインターネット経由での楽曲販売額の立ち位置のようでもある。

一方、「インターネットルート」が間もなく単独で「コンビニルート」を抜きそうな立ち位置であることが分かる。2012年分時点では「インターネットと電子出版を足したインターネット経由の書籍が、コンビニを抜く日もそう遠い日の話ではない」と言及したが、今回2013年分では早くもそれを果たしており、さらに「インターネットルート」単独でこの数年のうちに追い抜きそうな勢いを示している。さすがに来年度は難しいだろうが、このままいけば早くて2015年度ぐらいには両者順位は逆転しそうだ。



今件データは組み合わせた両者で調査機関も方法も異なるため「精密な情報」には程遠く、参考値レベルのものでしかない。しかし電子出版の実態と今後の可能性を推し量るには、十分なものといえる。今後「出版物販売額の実態」の対応とあわせ、電子出版の動きも注視していきたい。

世間一般には電子出版の普及は紙媒体の出版物のシェアを奪い取るだけのようなイメージが強い。しかし例えば【絶版マンガ図書館】【アルファポリス】のように、電子出版から紙媒体の出版物への呼び水となるアプローチを積極的に行うところも見受けられる。販売額という実数値の上で、紙と電子の競合、そして相乗効果がどのような結果をもたらしているのか、今後も逐次確認をしていきたいところだ。


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※各グラフで最新年度以外の数字が表記されていませんが、これは資料提供側の指示によるものです。何卒ご理解ください
(C)日販 営業推進室 書店経営支援チーム「2014 出版物販売額の実態」

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