コンビニの出版物販売額をグラフ化してみる(番外編)(2014年)

2014/10/22 08:00

先に【コンビニの出版物販売額をグラフ化してみる(前編:各社編)】【コンビニの出版物販売額をグラフ化してみる(後編:全体編)】で、日販による『出版物販売額の実態』最新版(2014年版)のデータを基に、コンビニ(コンビニエンスストア)における出版物の販売動向の精査を行った。今回はそれらの記事に続く番外編的なポジションとして、コンビニ毎の経年推移を確認し、状況の変化を推し量ることにした。

スポンサードリンク


先程の「コンビニの出版物販売額をグラフ化してみる(前編:各社編)」で解説した通り、コンビニでの出版物取扱額は漸減傾向にある。

↑ コンビニにおける出版物売上高(総売上高1000億円以上、2012年-2013年、億円)(再録)
↑ コンビニにおける出版物売上高(総売上高1000億円以上、2012年-2013年、億円)(再録)

この額と、コンビニ全体の売上そのものに対する比率の推移を、もう少しチェック範囲を広げて確認するのが今記事の主旨。とはいえ、値が記録されている『出版物販売額の実態』はまだ当方(不破)の手元に5冊(=5年分)しかないため、都合5年分、つまり2009年-2013年の推移となる。

まずは金額そのものの変化。上記グラフに過去のデータを足した形となる。また、以前の記事にあったスリーエフは、2012年以降は総売上高が1000億円を切ったため、今件からは除外されていることに注意。

↑ 主要コンビニの出版物取扱額(億円)
↑ 主要コンビニの出版物取扱額(億円)

額面の大小はあれど、掲載したすべてのコンビニで継続的な減少を示している。一見すると特にローソンの減り方が顕著。そこで2009年から2013年に至る減少率を計算し、その実情を確認したのが次のグラフ。

↑ 主要コンビニの出版物取扱額変移(2009年から2013年)
↑ 主要コンビニの出版物取扱額変移(2009年から2013年)

セブン-イレブン、ファミリーマート、ミニストップがほぼ同率で16-17%の減少に留まっているのに対し、ローソンのマイナス35.3%をはじめ、サークルKサンクス、セイコーマートは3割強の減少を示している。単なる偶然とは考えにくく、各コンビニにおける出版物に対する戦略の違いが値として出ているものと考えられる。各社とも「一番くじ」をはじめとしたくじ引き系のアイテムやタイアップ商品の展開など、エンタメ系素材との共同企画には積極的で、出版物をそこに絡めるか否かの姿勢が一因にあるようだ。

また2012年時点においては3割超の大きな減少比率を示したのはローソンだけで、サークルKサンクスとセイコーマートは2割台に留まっていたが、今回の2013年では3社がほぼ横並びの形となった。デイリーヤマザキがどちらの極に付くかが微妙だが、少なくとも売上高の面で大手に属するコンビニでは、出版物の取扱い方針においては、二極化する動きにあると見ることもできる。

一方で各コンビニの売上高全体に占める出版物売上高比率を計算すると、違った側面が見えてくる。

↑ 主要コンビニの売上高全体に占める出版物取扱い額比率推移
↑ 主要コンビニの売上高全体に占める出版物取扱い額比率推移

どのコンビニでも取扱額比率が一様に減少している。元々低いセイコーマートはともかく、その他大手のコンビニでは、額面の減少ぶりと比較すると、コンビニ間の差異があまりないように見える。ただしデイリーヤマザキだけは別で、むしろ直近2013年においては割合を積み増ししている。これは売上額全体こそ減少したものの、店舗数が大きく減ったのがその主要因で、店舗当たりの売上高は増加している実態を反映している。

そこで比率の減退状況を算出したのが次のグラフ。元の値が小数点1ケタまでしかなく、その値で計算しているため、多少のぶれが懸念されるが、概算的な動きは把握できる。

↑ 主要コンビニの売上高全体に占める出版物取扱い額比率変移(2009年から2013年)
↑ 主要コンビニの売上高全体に占める出版物取扱い額比率変移(2009年から2013年)

額面そのものでは大きな減退ぶりを見せていたローソンも、売上高全体比率で見れば他コンビニとの違いはそれほどまでに顕著な違いを見せているわけではない。そして多くのコンビニが3割前後の下げ幅を示している中で、デイリーヤマザキがマイナス13%に留まっているのが逆に目立つ。明らかに他コンビニとは異なるかじ取りを見せているように見える。

つまり「コンビニの出版物販売動向は、そのコンビニの売上高全体に占める比率の縮小率で見れば、どのコンビニも大きな違いは無く、一様に減りつつある」(一部例外あり)と判断して良い。コンビニにおける印刷物の額面上でのシェア縮小は、特定コンビニにおける現象では無く、コンビニ全体の流れという次第である。

なお今年は売上高の点でギリギリ考査対象外となったNEWDAYSだが、その地の利の良さから出版物の取扱比率・1店舗当たりの出版物売上高共に大きな値を示している。店舗数そのものは少ないものの、今後注目すべき対象となるかもしれない。



コンビニから出版物が完全に無くなることは考えにくい。展示物として、そして立ち読み客の存在による外部からの見た目による集客効果は、出版物ならではのもの。一方でコンビニの立ち位置の変化(今まで以上の多様化、地域密着型店舗化、マルチメディア化)を見ると、今後さらに出版物の取扱額が減少する可能性は否定できない。長所の「集客効果」ですら、最近ではコンビニ内で販売されるスタンドコーヒーと、それをたしなむためのイートインコーナーに代替される場面も出てきている。

「時代の流れ、変化」という言葉で片付けるには少々もの悲しい部分もあるが、事実として受け止めねばなるまい。


■関連記事:
【コンビニの商品種類別売上の変化をグラフ化してみる】
【コンビニコーヒーのリピート率8割超え】
【たばこ・雑誌からコーヒー・カードへ…今年の一年のコンビニ動向を振り返ってみる(2013年)】


※各グラフで最新年度以外の数字が表記されていませんが、これは資料提供側の指示によるものです。何卒ご理解ください
(C)日販 営業推進室 書店経営支援チーム「2014 出版物販売額の実態」

スポンサードリンク




▲ページの先頭に戻る    « 前記事|次記事 »

(C)2005-2016 ガベージニュース/JGNN|お問い合わせ|サイトマップ|プライバシーポリシー