コンビニの出版物販売額をグラフ化してみる(前編:各社編)(2014年)

2014/10/21 14:00

店舗数は増加の一途を続け、取扱商品・サービスの領域も次々に拡大し、ますます日常生活に深く浸透しつつあるコンビニ(コンビニエンスストア)。一方、かつてはそのコンビニで客引きの重要商品であった雑誌をはじめとする出版物も、その立ち位置を少しずつ変えつつある。今回はコンビニ大手各社それぞれにおける出版物の販売動向を、【出版物の種類別売上の変化をグラフ化してみる(前年比)】でも用いた、日販による『出版物販売額の実態』最新版(2014年版)のデータをベースとして精査を行うことにした。

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今資料には34位までのコンビニ各社の直近データが一堂に会され、記述されている。これを元にまずは年間売上1000億円以上のコンビニ「7社」のグラフを生成しよう。

↑ コンビニ売上高(2013年、1000億円以上)
↑ コンビニ売上高(2013年、売上1000億円以上)

コンビニの売上額上位4社を評した表現「四天王」(セブンイレブン、ローソン、ファミリーマート、サークルKサンクス)に偽りはないことがあらためて確認できる。もっともさらに良く見るとセブンイレブンが群を抜いており、ローソンとファミリーマートが競り合い、サークルKサンクスがそれらの後を追う形。この図式も数年来お馴染みのもの。なお今回は精査対象外となるが、JR東日本関連のコンビニ「NEWDAYS」が間もなく年間売上1000億円に届きそうな領域にあり、来年は8社に増えるかもしれない。

それでは各コンビニにおける出版物売上高(全店舗総額)を計算の上、グラフ化する。店舗数も多く全体売上も段違いなセブンイレブンがトップであることに変わりは無い。今年も去年分データを(グラフ上のみ)併記し、変移も確認できるようにした。なお直上のグラフと比較しやすいよう、あえてコンビニの名前順は同じにしてある。とはいえ、結局のところ売上高の順位と変わらないのだが。

↑ コンビニにおける出版物売上高(総売上高1000億円以上、2012年-2013年、億円)
↑ コンビニにおける出版物売上高(総売上高1000億円以上、2012年-2013年、億円)

「セブンイレブン」「ローソン」「ファミリーマート」「サークルKサンクス」の「四天王」がそれより下位のコンビニと比べると、売上高で大きく勝っていることに違いは無い。順位も同じ。これは後述するように、セイコーマートをのぞけば1店舗あたりの売上に大きな違いは無く、店舗数の差異がそのまま大きく反映されているからに他ならない。

その店舗あたりの売上について、単純に「出版物販売額」を「店舗数」で割り、1店舗あたりの年間出版物売上額を算出し、グラフにしたのが次の図。並びは2013年時点での店舗単位の売上高順に入れ替えてある。やはり、あるいは当然のごとく、セイコーマートの店舗当たり売上額が低めなのが分かる。またコンビニ間の順位に少しながらも動きが見られる。

↑ コンビニにおける1店舗あたりの出版物売上高(全店で総売上高1000億円以上、2012年-2013年、万円)
↑ コンビニにおける1店舗あたりの出版物売上高(全店で総売上高1000億円以上、2012年-2013年、万円)

まず最初に目に留まるのはコンビニ各社とも「店舗当たりの売上額」においても昨年2012年から減少していること。【少年・青年雑誌の無いコンビニ雑誌コーナー】で解説している通り、そして冒頭でも触れているが、昨今ではコンビニにおける出版物の立ち位置も変わり、ウエイトが随分と軽いものとなっている。随分と陳腐な表現だが「コンビニの出版物離れ」、あるいは「コンビニ客の出版物離れ」は確実に進んでいる。

唯一前年比でプラスを示したデイリーヤマザキが稀有な存在に見える。昨年2012年においても同社はもっとも下げ幅が小さかったこともあわせ、注目に値する流れではある(順位も前年では5位だったものが今回は2位にまで上昇している)。

前年比を試算したのが次のグラフ。デイリーヤマザキをのぞけば軒並み10%ポイント前後の減少を示しており、急速に売り上げが落ちている(ミニストップはマイナス5.3%に留まっているが)。もっともこの減少率は昨年から変わりなく、「出版物離れ」はこの数年のトレンドとなりつつある。

↑ コンビニにおける1店舗あたりの出版物売上高(全店で総売上高1000億円以上、2012年-2013年、前年比)
↑ コンビニにおける1店舗あたりの出版物売上高(全店で総売上高1000億円以上、2012年-2013年、前年比)

またコンビニそのものの総売上ではファミリーマートの上を行くローソンが、1店舗あたりの出版物売上では先を譲っている点など、各社の出版物に対する姿勢の微妙な違いが透けて見えてくる。例えば【ファミマでコンプティーク2013年10月号確保】でレポートしているように、ファミリーマートでコンプティークを取り扱うようになったのが象徴的ではある。

一方今件記事では総売り上げ1000億円超のコンビニのみ取り上げているため、精査対象からは除外されているが、スリーエフは2013年における1店舗あたりの出版物売上は233.2万円に留まってしまっている。同社では2012年まで大手コンビニの中では1店舗当たりの最大出版物売上高を示していただけに、その変貌ぶりには大きな驚きを隠せない。

同社の決算短信資料や実店舗へ足を運んだ人のレポートによれば、まるで書籍専門店……というよりは本屋そのものと評しても過言では無いほどの「本の強化店舗」などの展開も実施しており、出版物の売上高が急速に落ちるとは考えにくいのだが(総店舗における出版物売上高、1店舗当たりの売上高共に、前年比で7割ほどもの減少が確認できている)。あるいはこの「準本屋」的店舗はコンビニとしてのカウントから外れているのかもしれない。

また上記でも触れているNEWDAYSだが、その立地の特殊性もあり、店舗当たりの売上高は大きなものとなっている。来年以降はグラフへの反映と共に、具体的に言及できる機会も得られよう。



純粋なコンビニで、という意味でトップに立つセブンイレブンの出版物売上高は年間480万円。つまり1日あたり1万3000円強という計算になる。同じくセブンイレブンの売上総額から1店舗当たりの金額を計算すると2億3170万円。一日約63.5万円。出版物が占める比率は2%強。少ないか多いかは微妙なところだが、これについては後編で精査していくことにしよう。


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※各グラフで最新年度以外の数字が表記されていませんが、これは資料提供側の指示によるものです。何卒ご理解ください
(C)日販 営業推進室 書店経営支援チーム「2014 出版物販売額の実態」

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