2015年8月度外食産業売上プラス3.2%…1年越しで洋風ファストフードもプラスに

2015/09/26 04:00

日本フードサービス協会は2015年9月25日付で、同協会の会員会社で構成される外食産業の市場動向調査における最新値となる、2015年8月度の調査結果を公開した。それによると同月の総合売り上げは前年同月比でプラス3.2%を計上した。ファミレス部門、回転寿司などを除くファストフード、ハブ、ディナーレストランなどがとりわけ堅調で、不調さを見せた業種は一部に限られた。軟調さが続いていた洋風ファストフードも、トラブルで大きく下げた時期から1年が経過しており、その下げ値との比較になることや、回復基調が幸いし、前年同月比はプラスに転じる形となった(【日本フードサービス協会:発表リリースページ】)。

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今調査はファストフードやファミレス、パブレストランや居酒屋、ディナーレストラン、喫茶店などを対象としている。対象数は事業者数が201、店舗数は3万2817店舗。今月は前月と比較すると事業社数・店舗数共に増加している。

全業態すべてを合わせた2015年8月度売り上げ状況は、前年同月比で103.2%となり、3.2%の増加を記録した。これは先月から継続する形で2か月連続の増加となる。前年同月と比べると日取り(休日や土曜日の日数)の上では土曜日・日曜日の日数は変わらず、雨天日は東京で6日多く、大阪では1日少なかった。ファミリー層に需要の多い業態ではマイナス要因と判断できる。もっとも資料に言及のある通り、大いに晴れた上旬を中心に需要が堅調に推移し、中旬以降のぐずついた天候や台風の到来による客足の鈍り具合も十分カバーして有り余るほどの盛況ぶりを示す形となった。

業態別に動向を見ると、ファストフードは全体では前月に続き2か月連続のプラス(プラス4.1%)。ハンバーガーチェーン店がメインの洋風は、そのメイン企業となるマクドナルドが、昨年夏からの相次ぐトラブル、さらにはそれをきっかとした中長期に渡る問題点の露呈化や市場動向の変化に対応しきれない状況が継続しており、客数は下落が継続。しかしその下げ幅は限定的で、客単価が大きくプラス化しており、売り上げはプラスに転じている。

主軸となるマクドナルドで大規模な客の減少が生じた事案が発生したのは昨年の7月からで、8月も大きなマイナス値を示していた(ファストフード洋風の売上高は前年同月比でマイナス16.3%だった)。その時のマイナス値との比較となるため、反動によるプラスとも評価できる。マクドナルド単体の8月における営業成績はプラス2.8%(売上、既存店、前年同月比)と久々にプラスを計上しており、これがファストフード洋風全体にも影響を与えたことになる。なお同業他社のモスバーガーではプラス9.3%(同)を示している。

牛丼チェーン店を含む和風は、客数はマイナス0.3%、客単価は大きく上げてプラス10.6%と成し、売上もプラス10.3%とプラスを計上。大手の吉野家が牛丼など価格を昨年12月に引き上げたことや、鍋メニューをはじめ、他社も合わせて高単価商品を続々と展開したのが大きな要因。持ち帰り米飯・回転寿司は店舗数の減少に伴う客数減退も影響してマイナス(ただし店舗数はマイナス1.2%で客数減退はマイナス3.9%のため、店舗数は原因の一つでしかない)。

ファミリーレストラン部門は特にマイナスとなる要素も無く堅調。8月の後半は天候悪化が客数の上でマイナスとなったが、客単価の好調さが売上を底支えしている。焼肉は特に夏休みの家族連れが大いに賑わせたと特記事項にある。パブ/居酒屋部門ではパブが上旬における天候の良好さを受け、下旬の客足の停滞をカバーし、売上もプラスに。一方で居酒屋は店舗数減退が響く形でマイナスを継続中。

ディナーレストラン(高級レストランに代表されるリッチスタイルな専門飲食店)は客数・客単価・店舗数すべてにおいて堅調となり、売上も前年同月比でプラス4.9%と大きな伸びを示した。

↑ 外食産業前年同月比・全店データ(2015年8月分)
↑ 外食産業前年同月比・全店データ(2015年8月分)

月前半の天候の良さで
後半の悪天候分を
カバーする堅調さ。
洋風ファストフードは
大きく下げた前年同月の
反動が多分に作用し
プラスに転じる。
昨年4月の消費税率改定に伴う消費性向の減退影響も直接的にはあまり生じなかった外食産業だが(今件各種計上値は税抜比較で行っているため、消費税率引き上げに伴う「税込の」売上上昇は、業績動向には直接は影響を与えない)、昨夏における天候の悪化、そして中国産鶏肉食材問題と2つのイレギュラー的なマイナス要素が足を引っ張り、むしろ状況は昨夏以降は低迷感をぬぐえない状態が続いていた。特に後者は食材問題自身の影響に加え、それをきっかけとして業界の一部部門(ファストフード・洋食)における根本的な問題が露呈する形となった。大きな社会問題化した異物混入事件まで加わり、昨年夏以降大きなシェアを有するマクドナルドに相次いでいる状況に、ファストフード部門、さらには外食産業全体が多分に振り回されている感はあった。2015年7月からは軟調化開始から1年が経過することもあり、該当事業の「前年同月比における」マイナス幅は縮小。業績そのものも回復、少なくとも下落の勢いにブレーキがかかりつつあり、今回月ではようやくプラスに転じた。

一方で同一業態内の洋食ファストフードの他チェーン店では、マクドナルドの事案を他山の石としているように見えるがごとく、自社の得意部門にさらなるリソース投入を行い、新商品・サービスを展開し、個性の強調・区別化を図る施策を実施している。

同じファストフード内の和風のメインとなる牛丼チェーン店だが、吉野家を中心にこれまでの廉価店の店舗イメージから少しずつ、そして確実に、ワンステップ上の価格帯における商品展開を行う業務スタイルにシフトしつつある。客数の減退と客単価の上昇が連動して起きる状況が継続しており、中期的戦略転換が数字となって表れているように見える。

居酒屋の不調続きも要注意ポイント。こちらは食材の影響は無く、純粋にビジネススタイルそのものが時代の流れの中で歯車のずれを生じ、店舗数そのものも漸減してしまっている。現在は可処分所得の減少、中食へのシフト、お酒を飲む機会の変化など、居酒屋にはマイナスとなる環境の変化の真っただ中にある。複数人数が一緒に来店して会食をする点では、お酒を飲むこと以外は類似点が多いファミリーレストラン部門が大よそ堅調なのも対象的。

もっとも居酒屋の業態そのものが時代に取り残されたわけでは無い。牛丼チェーン店の吉野家が運用している「吉呑み」が堅調さを示し、ちょっと一杯飲みに行くスタイルでは先駆者ともいえる中華料理店の日高屋が好評を博しているとの報告が相次ぎなされ、その実態が明らかにされている現状を見るに(運営会社のハイデイ日高の月次売上を確認すると、ここ数年は前年同月比でほとんどの月においてプラスを呈している。ちなみに今回該当月にあたる2015年8月は既存店で客数プラス1.6%・客単価プラス0.3%、売上高プラス1.9%を計上している)、既存の居酒屋にも環境を直視した上で、何らかの変化が求められているように思える。

牛丼業界の動きやディナーレストラン、ファミリーレストランの動きの良さを合わせ見ると、外食産業でも消費の二極化が進んでおり、中庸的なポジションの市場が縮小している感は否めない。外食産業全体の動向を精査するうえで、店舗数動向もあわせ、今後も注視すべき重要ポイントといえる。


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