自動車トップ、バスや鉄道が続く…生活サービス施設との行き来には何を使うか

2015/10/26 11:43

高齢化や過疎化に伴う人口の地域による偏りに従い、地方では行政・民間を問わず公的、あるいは商用サービスの提供がままならない地域が生じる問題が深刻化している。面積当たりの人口が減れば、各種サービスを利用する人も少なくなり、商用施設は採算が取れなくなるため撤退を余儀なくされ、公的機関も同様の理由、あるいはリソースの無駄遣いを避けるため閉鎖の必要性を迫られることになる。生活上の便宜性が減少した地域からは人が去り、さらに過疎化が進む悪循環が生じている。このような状況下で【国土交通省の国土形成計画(全国計画)】として、構想の一つに商用・公的機関を一つのエリアに集約し、そのエリアに周辺の居住者が足を運び共用することで、過疎地域の生活便宜性を維持する「コンパクトシティ構想」(連携中枢都市圏の形成、小さな拠点の形成なども構成要素として挙げられている)が提示されている。この構想に従い、各種生活サービス施設が集約された場所が構築された際に、そこまての移動手段には何を使うかに関して、内閣府が2015年10月19日に発表した国土形成計画の推進に関する世論調査の結果を元に確認していくことにする(【発表リリース:国土形成計画の推進に関する世論調査】)。

スポンサードリンク


自家用車が一番便利


今調査の調査要件は先行記事【「自分の周りで人が減っていたり高齢化が進んでいる」85%が実感、最大理由は「周囲にお年寄りが増えた」】を参考のこと。

冒頭でも触れた通り、人口構成の変化、地域の人口減退や高齢化、それに伴う各種対人サービスの採算性・効率性の問題などを受け、複数の生活サービス施設を一か所に集めて集約拠点とし、その拠点に向けて公共交通機関などを通して周辺住民が共有できるような都市構造を模索する取組みが始まっている。

各居住者が住まう周辺それぞれに必要な施設が個々配されているのが一番だが、それが可能なほどの人口≒需要が単位面積では確保できなくなったため、共有することで採算性を確保する方法である。個々のサービス施設単位ならばすでにお馴染みの概念だが、それらを一つにまとめて単位化したのが既存の考え方と大きな違い。「シムシティ」をはじめとした都市経営型シミュレーションゲームで遊んだ経験がある人なら、既にゲームのテクニックとして見知っている手法ともいえる。

↑ 「小さな拠点の形成」の中身。各種行政・生活サービスを一か所に集約し、そこに複数の居住群がアプローチできるようにする(国土形成計画書類より抜粋)
↑ 「小さな拠点の形成」の中身。各種行政・生活サービスを一か所に集約し、そこに複数の居住群がアプローチできるようにする(国土形成計画書類より抜粋)

そこでこのような環境(設問上では「自宅からバス・電車や車などの交通手段を利用して30分程度の場所」との説明がある)が整備された際に、どのような交通手段で足を運ぶつもりかを尋ねた結果が次のグラフ。整備される交通機関次第でもある一方、現時点である程度の距離にある生活・行政施設へおもむく際に利用している手段と読み取ることもできる。

↑ 自宅と生活サービス施設が集まった場所を行き来する際に利用する交通手段など(複数回答、2015年8月)
↑ 自宅と生活サービス施設が集まった場所を行き来する際に利用する交通手段など(複数回答、2015年8月)

最大利用手段は自動車やバイク。大よそ7割強。今件には回答者自身の運転だけでなく、家族などに運転してもらい同乗する場合も含まれる。やはり徒歩では難しい距離にある場所への移動には、自家用車での移動がもっとも多く用いられる。

次いで多いのはバス、そして鉄道。自家用車と比べて機動力は低いものの利用ハードルは低く、廉価でもある。一方真逆なのがタクシー・ハイヤーだが、こちらは10%強でしかない。

属性別にみると……


これをいくつかの属性別に仕切り分けした結果が次以降のグラフ。まずは回答者自身の年齢階層別。

↑ 自宅と生活サービス施設が集まった場所を行き来する際に利用する交通手段など(複数回答、2015年8月)(年齢階層別、一部)
↑ 自宅と生活サービス施設が集まった場所を行き来する際に利用する交通手段など(複数回答、2015年8月)(年齢階層別、一部)

自動車の利用は60代まではほぼ横ばいで7割から8割を維持しているが、70歳以上になると5割に減少する。自身の運転の難しさ、周辺への依頼ができるか否かを考えると、納得のいく値ではある(70歳以上の人のうち5割以上が「自分自身で」運転する意向であることを意味しないので注意が必要)。

他方、歳を取るに連れて利用を好む公共交通機関が、電車からバスにシフトする動きを示しているのは興味深い。電車と比べてバスは揺れが大きいことなどで高齢者には敬遠されるとの話もあるが、少なくとも今件に限れば、むしろ好かれているようだ。

好かれているといえばタクシー・ハイヤーも歳を取るほど利用性向が増加する。特に70歳以上は1/4近くに達する。もっともこれは、自動車の運転は難しく、バスの停留場までの移動にも難儀するといった事情によるものと考えられる。

回答者の現在居住地別では次の通り。現時点で住んでいる場所で今件構想が成された場合を想定していると考えれば良い。

↑ 自宅と生活サービス施設が集まった場所を行き来する際に利用する交通手段など(複数回答、2015年8月)(居住地域別)
↑ 自宅と生活サービス施設が集まった場所を行き来する際に利用する交通手段など(複数回答、2015年8月)(居住地域別)

現在利用している手段が多分に反映される形となっている。都市部ほど公共交通機関の利用意向が高く、地方ほど自家用自動車の利用率が上昇する。今件構想の体現化に伴いバス路線の整備なども成されるはずだが、それらを利用する停留所やバスまでの移動を考えると、自前の車の方が便利であるとの認識が強いのだろう。



一部コンビニが試験運用的に行っている、特定コンビニを拠点化した移動売店の仕組みも、今件構想に近い、あるいは補完する役割を果たしている、それを見越した動きの雰囲気がある。生活サービス施設内部に拠点となるコンビニを配し、そこを根拠地として各居住地域に移動売店を周回させるというものだ。

今後小売業を絡んで大きな変化を見せる中で、小さからぬ注目を集め、焦点となるであろう今件構想には、大いに注視を払いたいところではある。


■関連記事:
【生鮮食料品の入手困難な理由、最多意見は「価格が高い」(国民健康・栄養調査2012年版)】
【買い物弱者と自動車運転の関係】
【栃木県でも移動コンビニ「ファミマ号」営業開始】
【高齢者の「買い物弱者」問題をグラフ化してみる(高齢社会白書:2015年)(最新)】

スポンサードリンク




▲ページの先頭に戻る    « 前記事|次記事 »

(C)2005-2016 ガベージニュース/JGNN|お問い合わせ|サイトマップ|プライバシーポリシー