大都市圏と地方都市で二分される希望居住地域

2015/10/25 12:07

衣食住の言葉で表されるように、食事や衣類同様、住居は人々の生活において欠かせない、できる限り自分の要望にかなった環境を整えたい要素である。人々はどのような場所に住むことを望んでいるのだろうか。今回は内閣府が2015年10月19日に発表した国土形成計画の推進に関する世論調査の結果を元に、地域的な区分、そして具体的な施設環境などの観点で確認していくことにする(【発表リリース:国土形成計画の推進に関する世論調査】)。

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今調査の調査要件は先行記事【「自分の周りで人が減っていたり高齢化が進んでいる」85%が実感、最大理由は「周囲にお年寄りが増えた」】を参考のこと。

まず最初に示すのは、どのような場所に住みたいかについて。期限や条件付けは無く、単純に「どのようなところに住みたいと思いますか」とのみ尋ねている。また現在居住地からの引っ越しを前提としているわけではないことに注意(今住んでいるところが最適だと考えてれば、その場所に合致した地域を回答することになる)。最多意見は人口20万人未満の市町村で26.2%、やや値を落として三大都市圏のおもな都市で24.5%との結果となった。

↑ どのような場所に住みたいか(2015年8月)
↑ どのような場所に住みたいか(2015年8月)

海外はごく少数派でしかなく、中途半端な都市圏や地方も回答率は低め。都市に住むなら極力中枢部、地方に住むなら思いっきり地方に住みたいとの意見で大きく二分されている。

これを属性別に確認したのが次のグラフ。

↑ どのような場所に住みたいか(2015年8月)(属性別)
↑ どのような場所に住みたいか(2015年8月)(属性別)

居住地別だが大よそ現在の居住地に合致する条件が最多回答となっている。特に東京都区部における、(ア)の回答率が8割に達しているのが印象的。また中都市から町村へと地方に移るに連れて、(ウ)から(オ)の地方都市・地方圏の回答率が高くなっているのも「今の場所が一番良い」との認識に合致する。他方、町村住まいの人でも2割近くは三大都市圏に居住したい意向を有していることも分かる。

年齢階層別では若年層ほど都市部、歳を経るにつれて地方に居住する意向が強くなる。ただし70歳を超すと(ア)の選択肢が大きな上昇を示す。これは自らの行動範囲の縮小と、公共機関などの充実による生活上の便宜性を見越したものだろう。

海外への移住を希望する人は20代で8.2%。この値が最大で、それ以外属性は多くて3%程度。やはりごく少数派でしかなく、全体値を底上げしたのは若年層であることが分かる。

どのような場所を選びたいか、条件編


住みたい都市サイズとしては大都市と地方に二分されているが、大よそ現在の居住地域に満足している。それでは具体的にはどのような条件を居住地選択の際に重視しているのか。単に人口が多ければ、閑散としていればよいわけではなく、他にも何らかの条件を想定した上で判断しているはずだが。

↑ 居住地域選択時の重視条件(複数回答)(2015年8月)
↑ 居住地域選択時の重視条件(複数回答)(2015年8月)

もっとも多くの人が重視しているのは治安の良さ。これが2/3に達している。次いで医療や介護関係の施設の充実、商業施設が充実して買い物に便利であることが続く。この3条件が抜きんでており、6割を超えている。自然災害のリスクが低い、自然に恵まれているが4割強、物価が安くて生計費が安上がりで済むが4割。教育や公共施設の環境整備などが続いている。医療などは健康面での安心・安全であることを考えれば、そして自然災害のリスクも合わせ、まずは安寧な生活環境であることが重要視されるようだ。

男女別では概して女性の方が回答率が高い。男性が高いのは趣味や文化などの施設の充実、地域活動の活発化など、娯楽系の要望ぐらい。特に買い物の便宜性や教育環境の充実、家族や親せきが居る(≒何かあった時に頼りになる人が身近にいる)などの値は男女の差が大きく、女性は日常生活時の住みやすさを重要視していることがうかがえる。

↑ 居住地域選択時の重視条件(複数回答)(2015年8月)(年齢階層別、一部)
↑ 居住地域選択時の重視条件(複数回答)(2015年8月)(年齢階層別、一部)

年齢階層別にみると、それぞれの年齢における生活への重視点の違いがはっきりと表れているのが分かる。治安の良好さは中堅層までが一層高いが、70歳以上になるとやや下がる、医療・介護環境は(今後頼る機会が増えるであろう)50代がもっとも高い、教育環境や子育て施設の充実は幼い子供がいるであろう30代から40代で高め、就業環境は50代までで一様に高いなどである。

世代が変われば必要とされる、重視する条件に違いが生じてくる。これはすなわち、高齢化に伴いその地域の住民の「多数派による」需要も変化しうることを意味する。行政や小売などの顧客サービスを行う企業は、その変化に頭を悩ませているに違いない


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