銃所有権利は守るべきか規制強化をすべきか、そして犯罪被害防止に役立つかリスクを上乗せするか…アメリカの人達の考えの内情

2015/10/23 14:53

先行記事【銃所有の規制と権利主張、そのはざまでゆれるアメリカの心境】の通り、アメリカ合衆国の民間調査会社Pew Reseach Centerが2015年8月13日に発表した、同国の一般民間人における銃所有と規制問題に関する調査結果【Continued Bipartisan Support for Expanded Background Checks on Gun Sales】によると、今世紀初頭までは同国の民間一般人における銃保有には否定的な意見が多数を占めていたものの、ここ数年では否定・肯定派がほぼ同率を占める形に情勢が変化している。それでは現状において、個々の属性によってその心境はどのような違いが生じるのだろうか。また銃所有の理由として良く用いられる説明「犯罪被害から身を守る」はどの程度支持されているのだろうか。その実情を探る。

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今調査の調査要項は先行記事「銃所有の規制と権利主張、そのはざまでゆれるアメリカの心境」を参照のこと。その記事で詳しく説明しているが、直近となる2015年7月時点の調査結果では、個人の銃所有に関して、肯定派・否定(規制強化希望)派がほぼ均衡する状況にある。

↑ アメリカ合衆国の一般市民における銃所有に関する意見(アメリカ合衆国内)(2015年7月)(再録)
↑ アメリカ合衆国の一般市民における銃所有に関する意見(アメリカ合衆国内)(2015年7月)(再録)

そこでこの銃所有に関する権利の維持・制限の意見について、属性別で詳細を確認したのが次のグラフ。

↑ アメリカ合衆国の一般市民における銃所有に関する意見(アメリカ合衆国内)(2015年7月)(属性別)
↑ アメリカ合衆国の一般市民における銃所有に関する意見(アメリカ合衆国内)(2015年7月)(属性別)

ざっくばらんに表現すると、青は銃所有賛意派、赤は反対派となるのだが、性別では男性、学歴別では低学歴、支持政党別では共和党、居住地域別では地方、現在所有状況では所有世帯の方が、銃所有に賛成する人が多い状況となっている。男女の差異は武器アレルギー(肉体的ではなく精神的)な面もあるのだろう。居住地域別では必要性のあるなしが大きく関与しているのだろうし、世帯所有の有無ではズバリ、必要性がある・権利を行使しているからこそ、その権利を守るべきだとの認識が高いものと考えられる。

興味深いのは支持政党別で、現在の大統領が所属する民主党の支持者ではわずか1/4しかない賛意派が、共和党では7割を超していること。先行記事でも言及しているが、来年の大統領選挙の結果次第では、アメリカの銃規制に関して少なからぬ動き(もちろん緩和方向)が生じる可能性がある。

個人の銃所有の権利は先行記事の通り、アメリカ合衆国の憲法解釈の上で認められている権利であるとする他に、主に銃犯罪の被害を防ぐとの主張・認識がある。犯罪者が銃で武装しているのであれば、対抗措置を持たないといけない、一方的に被害を受けるだけだとするもの。あるいは対抗措置を有していれば、犯罪者も手出しを躊躇するかもしれないのと意見である。他方、そのような状況こそが銃犯罪そのもののリスクを上昇させるだけでなく、さまざまなトラブルの場面での銃利用を促進させ、人々を危険にさらしてしまうとの意見もある。

そこで銃の所有そのものについて、「犯罪被害を防ぐのに役立つ」「人々を危険にさらす」2つの効用・可能性に関して、どちらをより強く認識しているかを尋ねた結果が次のグラフ。大よそ予想している通り、上記の銃所有に関する意見と近しい値が出ている。

↑ アメリカ合衆国の一般市民における銃所有に関する意見「自国において銃所有は…」(アメリカ合衆国内)(2015年7月)(属性別)
↑ アメリカ合衆国の一般市民における銃所有に関する意見「自国において銃所有は…」(アメリカ合衆国内)(2015年7月)(属性別)

やはり男性、低学歴、共和党支持者、世帯銃所有者ほど、銃における犯罪抑止効果への期待の方が強く、女性、高学歴、民主党支持者、世帯銃非所有者ほど、銃の所有は人々をより危険にさらすと認識している。それらの信念を抱いているがために、銃を所有し、権利を主張すると考えれば、筋の通る結果であることが分かる。

性別や学歴、所有世帯か否かはともかく、支持政党でここまで大きな差が出ている状況は、やはり大いに注目すべきものといえる。その観点でも、来年の大統領選挙には注目したいところではある。


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