セカンドオピニオン利用者1割、理由は「病気が治らなかった」「一度の診察では不安だった」

2015/10/21 11:07

連合は2015年8月20日、診療明細書に関する患者調査の結果を発表した。それによると直近一か月に診療所(入院定員数19床以下あるいは入院設備が無い医療機関)に受診経験を持つ調査対象母集団においては、同一の病症などに対して複数の医療機関で受診を行う、いわゆる「セカンドオピニオン」をした人は10.5%に達していることが分かった。その理由としては「病気が治らなかった」がもっとも多く4割強、次いで「1度の診察では不安だった」が1/3強で続いている(【発表リリース:診療明細書に関する患者調査 [2015年8月20日掲載]】)。

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セカンドオピニオン利用者1割強、理由は病気が治らない・診察が1度では不安


今調査は2015年6月22日から24日にかけて直近一か月に診療所(病院にあらず)で受診した経験がある30歳以上の男女に対しインターネット経由で行われたもので、有効回答数は1000件。男女比は1対1、世代構成比は30代・40代・50代から60代前半・60代後半から70代前半・700代後半で均等割り当て。調査実施機関はネットエイジア。医師に診察を受けてもらった人全員ではなく、あくまでも診療所での診療経験者に限られていることに注意。

今調査対象母集団に対し、異なる病症ではなく、同一の病気・病床に関して、複数の医療機関で診察を受けた経験がある人は全体の10.5%に達していた。うち3.7%は複数回受診している(合計3件以上の医療機関の場合以外に、当初の医療機関以外の医療機関に複数回通う場合もある)。

↑ 同じ病気・病状などを理由に複数の医療機関で診察を受けたか(2015年6月、直近一か月で診療所にて受診した30歳以上対象)
↑ 同じ病気・病状などを理由に複数の医療機関で診察を受けたか(2015年6月、直近一か月で診療所にて受診した30歳以上対象)

同一病症で複数の医療機関での受診を行う事例は、何も珍しい話ではない。該当する医療機関では治療施設が不十分、あるいは対応しきれない病症の場合などにおいて、病症の詳細などを記載した紹介状を書いてもらい、より良い条件の医療機関を紹介してもらった上で、受診することになる(当方も複数回経験済み)。

しかし今件は後述の通り、いわゆる「セカンドオピニオン」的な、一つ目の医療機関での受診では何らかの理由で満足できなかった、つまり患者の意志による行動がほとんどを占めている。原文では「直近1か月間に、同じ病気(または症状など)を理由に、複数の医療機関で診察を受けたか」とあり、3.7%の人は1か月の間に少なくとも2か所の医療機関で、当初通っていた医療機関も合わせ、3回以上の診察を受けていることになる。

ではなぜそのような行動に至ったのか。44.8%は「病気が治らなかったから」と回答している。

↑ 複数の医療機関で受診を受けた理由(複数回答、複数診察経験者限定)
↑ 複数の医療機関で受診を受けた理由(複数回答、複数診察経験者限定)

これまである程度特定の医療機関に足を運んだが、治癒の気配が無いので仕方なく他の医療機関の扉を叩いたのが、たまたま調査時の一か月以内だったのか、一か月以内にある医療機関に足を運んで治療してもらったが治らずに、すぐに別の医療機関に足を運んだのか。そこまではこの回答からだけでは判断ができない。また治療対象となる病気・病症も問われておらず、それが本当に治るものなのか、それとも治療を続けることで悪化を防げるもの(つまり治ることはない)なのかも分からないことから、最初の医療機関における診察・治療が適切だったのか否かも判断は難しい。とはいえ、セカンドオピニオンを行った人の4割強は「病気が治らなかった(ので治してもらうべく他の医療機関に足を運んだ)」ことに変わりはない。

次いで多い「1度の診察では不安だった」は、診察結果では自身の不安を解消できなかったことによるもの。例えば自分はがんかもしれないと思って診察したが、単なる胃かいようと診断されたものの、不安になってもう一度他の医療機関で診察を受けてみるといった具合である。医療機関の診察に不満・不信を抱いているとの意味では、トップの「病気が治らなかった」と同じ方向性の回答と言える。

問題なのはむしろ「薬が欲しかった」かもしれない。薬の処方は必要な際に必要なだけ行われる。余計な量や不必要な種類の薬は処方されない。一方、高齢者を中心に「薬を持っていること」「もらうこと」「服用すること」をステータスのように覚え、薬を処方してもらわないと不安を覚える、診察に不信感を抱くことも少なくない。診察結果にでは無く、薬が出ないことへの不満からセカンドオピニオンを受けるケースは少なからず伝えられているが、今調査で具体的に数字となって確認ができたことになる。

気になる薬の服用度合い、あまった薬の使い方


それでは薬の服用状況はどのようなものだろうか。

↑ この1か月間に受けた診察で処方された薬をどの程度服用したか(2015年6月、直近一か月で診療所にて受診した30歳以上対象)
↑ この1か月間に受けた診察で処方された薬をどの程度服用したか(2015年6月、直近一か月で診療所にて受診した30歳以上対象)

受診をしても薬を処方してもらわずに済んだ場合もあり、そちらは「全部服用した」に含まれるため、病症程度が軽い人もこの区分に含まれることから、8割近くは「全部」と回答している。

少し余ったとする人は16.1%。少々多いように見えるが、薬の処方数はある程度切りの良い数で行われること、次の診察までの間の日数の調整などもあり、多少数を上乗せして処方されることが多く、数%位は余っても不思議では無い。その類の余剰もこの回答に含まれるのだろう。

一方、半分ぐらい余ったとする人は2.8%、7割以上になると2.2%。あわせて5.0%が半分程度以上の薬を余らせたとしている。単に服用を忘れてしまったからか、自己判断で服用数を調整してしまっているのか、上記にある通りセカンドオピニオンでの受診結果を元にした処方で、事実上薬を重複取得してしまっているのか。そこまでは今調査からは分からないが、受診者の5%、20人に1人が、直近一か月でもらった薬の半分以上を余らせている実態の把握は、注目に値する。

余った薬はどうするのだろうか。

↑ 余った薬はとうしたか・どうするか(服用しきれなかった人限定)
↑ 余った薬はとうしたか・どうするか(服用しきれなかった人限定)

後日同じような病状になった時に服用した・するつもりとする人が61.1%。これはケースバイケースで、医者からそのように薦められる場合もあれば、破棄を求められることもある。ただし常備薬同様、処方薬もまた使用期限があるため、たとえ医者から了承を受けても、長期間の保存はお勧めできない。引き続き通院・治療を行うのであれば、ところてん式に繰り延べで使えばよいまでの話。

問題なのは3番目以降の「家族に使う」「友人にあげる」の回答。それぞれ12.8%・0.9%と少数だが、ゼロでは無い。処方薬は対象となる患者を診察した上で判断し、最適な薬として処方されたもので、家族も含め第三者にも同様の効用が期待できる大衆薬的なものではない。自分にとって痛み止めとして処方されたから、似たような痛みを感じたら家族に使っても、知人にあげても良いとする考えは大間違いどころか危険ですらある。



【お薬手帳は欠かさずに持ち歩きましょう、絶対に。服用している薬の名前と量、全部覚えられるわけはないからね】【お薬手帳のあれこれ、必要性の有無を考える】などで言及しているが、心療系の患者、あるいは高齢者において、処方薬の効用が魔法的なものであることから斜め上的な解釈をし、自分の能力を蓄積、底上げするマジックアイテム的な扱いをする事例が多々伝えられている。意図的に多数の薬を保有し、その保有自身で満足してしまい服用をしなかったり、知人に「ゲームにおける回復魔法の呪文」がごとく手渡して優位性を満喫する。また高齢者を中心に、薬の受領・服用を忘れてしまうことで、薬がたまるばかりの事例も問題視されている。

セカンドオピニオンに関しては一般的には最終的には患者の判断によることから、事の是非はさておくとしても。それが薬の多数取得のために行われるのは、やはり問題であろう。また薬の不必要なまでの蓄積、さらには他人への譲渡は、医療事故リスクはもちろん、医療費問題もあわせ、慎むべき行為に違いない。高齢者を中心に、そのような状況に陥らないよう、分かりやすい、効果のある仕組みの創設も求められているのかもしれない。


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