諸外国の可処分所得(最新)

2020/11/02 05:18

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2020-1023先行記事【主要国の家計資産の構成比率】などで、OECD(経済協力開発機構)が公開し逐次値を最新値に更新しているデータベース【Household accounts】を基に、当サイトの定点観測記事【日米家計資産推移】をベースとした、主要国の家計内における金融資産構成比率の現状を確認した。今回はそのデータベースを用い、諸外国の世帯ベースでの生活水準の指針の一つとなる可処分所得の状況を見ていくことにする。

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最大値はアメリカ合衆国の5.31万ドル


まず可処分所得の定義だが、これは【一人身で働く若者のお財布事情を詳しく】でも解説の通り、実収入から非消費支出(支払いを義務づけられている税金や社会保険料など)を引いたもの。要は自分自身が自由に使えるお金。この可処分所得を、生活に必要な消費となる消費支出や、貯蓄などの黒字に割り当てることとなる。世間一般にはこの可処分所得を手取り(収入)とも呼んでいる。

まずは先の「主要国の家計資産の構成比率」に習う形で該当国、さらには可処分所得ならば値が取得可能な国をいくつか追加し、最新値(2019年分。無い国は2018年以前の分でもっとも新しい値)を取得した結果が次のグラフ。地域別に並べたものと、高い順に並べたものを併記した。なお単位はグラフ中にある通り米ドル。あくまでも他国との比較のために換算したもので、為替レートによって多分に変動することを考慮に入れる必要がある。

↑ 主要国世帯あたり平均可処分所得(米万ドル換算、2020年時点での最新年値)
↑ 主要国世帯あたり平均可処分所得(米万ドル換算、2020年時点での最新年値)

↑ 主要国世帯あたり平均可処分所得(高値順)(米万ドル換算、2020年時点での最新年値)
↑ 主要国世帯あたり平均可処分所得(高値順)(米万ドル換算、2020年時点での最新年値)

今回選択した諸国の中では、アメリカ合衆国がトップで5.31万ドル。収入ではなく可処分所得であることに注意。同国の馬力をうかがえる数字ではある。次いでヨーロッパ方面ではもっとも高い値を示すドイツ、北米に戻ってカナダ、再びヨーロッパ方面でスウェーデン、フランス、イギリス、イタリアと続く。日本はイタリアの次で2.98万ドル。

今値について、取得可能な限り過去にさかのぼって、その推移を見たのが次のグラフ。国によっては今世紀以降しか値が無い場合もあり、折れ線が一様の長さを示していない。また繰り返しになるが、あくまでも米ドル換算の結果で、各年・各国の対米ドル為替レートによる変動も多分にあることを考慮しておく必要がある。

↑ 主要国世帯あたり平均可処分所得(米ドル換算)
↑ 主要国世帯あたり平均可処分所得(米ドル換算)

直近年分でも明らかだったが、アメリカ合衆国が群を抜いて可処分所得が高いことが改めて分かる。次いで高い値を示し続けているのはドイツやフランス。日本は中庸のポジションを維持し続けている。

おおよその国では右肩上がりを示しているが、気になるのは今回確認した国の中では唯一失速、一時期ながらも右肩下がりに転じたギリシャ。両国の経済状況を容易に想起させる動きとなっている。また横ばいを維持していたスペイン、イタリアも、数年前までの欧州債務危機ではよく名前が挙がった国で、それぞれの国で施策として行われた財政の緊縮政策が、国民生活にはプラスとならなかったことがうかがえる(ここ数年、ようやく上向きを示し始めているが)。特にギリシャの下げ方は、失業率の高さも合わせ考えると、一般市民の生活の大変さが容易に想像できる。プライマリーバランスの調整を強要すると、国が不幸になることも多分にありうるとの好例ではある。ここ数年ようやく持ち直しを見せているのは幸い。

他方日本もここ数年は頭打ち、下げ基調の気配が見られる。こちらは為替変動の影響に加え、社会保障費の重圧で可処分所得が削られているのが要因。

過去からの増加分で計算すると


可処分所得が家計の良し悪しを推し量る指標のすべてではなく、また米ドル換算なので為替レートの問題や、それぞれの国の物価・インフレ率も考慮する必要があるのだが、一つの指標と割り切り、1999年からの伸び率を算出する。

ここで基準を1999年にしたのは、それ以前にすると値が公開されていない国が多くなってしまうため。逆にそれ以降にすると比較する経過年数が少なくなってしまう。

↑ 主要国世帯あたり平均可処分所得(米ドル換算)(1999年以降のデータがある国限定、1999年の値を1.00とした時の比率)
↑ 主要国世帯あたり平均可処分所得(米ドル換算)(1999年以降のデータがある国限定、1999年の値を1.00とした時の比率)

↑ 主要国世帯あたり平均可処分所得(米ドル換算)(1999年以降のデータがある国限定、1999年の値を1.00とした時の比率、2020年時点での最新年値)
↑ 主要国世帯あたり平均可処分所得(米ドル換算)(1999年以降のデータがある国限定、1999年の値を1.00とした時の比率、2020年時点での最新年値)

基準年次第との話もあるが、1999年を基準とした場合、もっとも高い成長率を示しているのはスウェーデンで2.18倍。可処分所得が20年近くで2倍強に増加した計算になる。次いでアメリカ合衆国、カナダ、ドイツと続き、日本は1.66倍。ギリシャは欧州債務危機で同じく名前を挙げられているイタリアやスペインと比較すると、やはり低めの値に留まっている。

なお韓国は現時点ではなぜか2010年以降の値しか公開されていないため、算出はできなかった。



今件可処分所得は先行記事における家計内金融資産の構成比率同様、各国の一般世帯におけるお財布事情を知る上では、貴重な値となる。他国情勢を知って自分の懐が潤うわけではないが、何かのきっかけで参照値として用いられた際、その実態を確認する上で役立つに違いない。


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