主要国の家計資産の構成比率をグラフ化してみる(2015年)(最新)

2015/10/29 05:41

当サイトでは【日米家計資産推移】にある通り、日本銀行が定期的に発表している「資金循環の日米欧比較」を元に、日本とアメリカ合衆国、そして欧州全体の一般的な家計における、金融資産の内情を精査し、その違いを確認している。それぞれの経済状況に加え、国・地域の金融システムの相違や民族性などが良く現れており、非常に興味深い内容となっている。今回は同様のお財布事情を知るため、OECD(経済協力開発機構)の公開データベース【Household accounts】を元に、いくつかの国を選択し、「資金循環の日米欧比較」の公開値と同様に、各国の平均的な家計の金融資産の構成比率について確認していくことにする。

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OECDのデータベースを用いた主要国の家計金融資産の状況だが、確認出来る限りでは30か国あまりの値が収録されている。仕切り分けとしてはOECD加盟国、EU、ユーロ圏、G7、G20などが用意されているが、それらの区分内でもデータが無い国も多数ある。また中国など共産圏の国は残念ながら見当たらない。さらに現時点で収録されている国でも、最新データが2014年の国と2013年の国があり、すべての国が最新値で揃った年となっているわけでは無い。

その条件の上で、値を抽出可能な国から独断と偏見で、欧州地域からはイギリス、スウェーデン、フランス、ドイツ、スペイン、イタリア、ギリシャを、それ以外からはイスラエル、日本、韓国、カナダ、アメリカ合衆国を選び、それぞれの値を抽出・算出し、「日米家計資産推移」に極力合わせる形で生成したのが次のグラフ。なお「株式以外の証券」とは主に債券を意味する。また元データでは保険積立金と年金基金が別途用意されているが、やはり「日米家計資産推移」に合わせる形で一体化している。

まずはヨーロッパ諸国。

↑ 家計金融資産構成比率比較(欧州、2015年時点で直近データ)
↑ 家計金融資産構成比率比較(欧州、2015年時点で直近データ)

ヨーロッパ全体では「日米家計資産推移」などで繰り返し言及の通り、安全資産とリスク資産の比率が、日米の中間ぐらいとのイメージがあるが、国毎で見ると大きな違いが生じているのが確認できる。例えばギリシャは現金・預金がほぼ2/3を占めており、この比率は日本以上の値を示している。他方スウェーデンは株式・出資金の比率が高く、後述するアメリカ合衆国すら追い抜いている。フランスでも株式・出資金の比率が高めだが、投資家への税制上の優遇措置となるPEA(Plan d'epargne en actions。同口座で5年以上保有し続けると配当や売却益は非課税になる)が有効に使われているのが主要因。

イギリスでは保険・年金の値が6割近くと、今回挙げた国の中では最大の比率を呈している。これは同国では税制上の優遇措置によって、一時払いの個人年金などが個人の貯蓄の手法として広く普及していることに加え、公的年金が民営化されているのが原因。内情としては年金基金部分が48.2%となっている。

続いて日米その他。

↑ 家計金融資産構成比率比較(日米その他、2015年時点で直近データ)
↑ 家計金融資産構成比率比較(日米その他、2015年時点で直近データ)

日本の現金・預金の多さ、アメリカの株式などの多さはこれまで「日米家計資産推移」で繰り返し言及してきた通り。一方、先のヨーロッパ方面のグラフでも言えることだが、それぞれの国の税制、金融制度によって家計の金融資産構成はまちまちで、日本・アメリカいずれかのパターンに近いわけではない事が分かる。例えばカナダは「その他」が4割近くと大きな値を示しているが、これは特にデータベース上説明は無いものの、TFSA(Tax-Free Saving Account。非課税貯蓄口座)やRRSP(Registered Retirement Savings Plan。税制適格退職貯蓄制度)、さらにはRESPs(Registered Education Savings Plans。税制適格教育貯蓄プラン)など日本のNISA的な制度が山ほど整備されており、それらか該当するものと考えられる。

限られた国数ではあるが、諸国の家計金融資産の構成比を見る限り、日本の現金・預金の多さはそれなりに高い値であり、リスク性資産の比率は相当に低い値であることが分かる。あるいはイギリスのような個人年金を奨励する税制措置、フランスのような長期投資を優遇する措置、カナダのような多様で便宜を提供する制度の整備で、リスク性資産の選択肢を増やすのも、状況の変化には有効かもしれない。


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