2015年8月の熱中症での病院搬送者は2万3925人、6月からの累計数では過去2番目の多さ

2015/09/24 10:00

総務省消防庁は2015年9月15日付で、同年8月の熱中症を起因とした全国の救急搬送の状況(確定値)を発表した。それによれば同年8月における熱中症による救急搬送者は2万3925人となった。前年の同月の値である1万5183人と比較すると、8742人の増加となる。消防庁では特記事項として上旬(10日)までに絞った搬送数が1万7661人となり、前年の8月全体の搬送数すら上回っていることを挙げ、8月上旬が特に厳しい暑さのために搬送者が大いに上振れしたことを言及している。また例年9月に入っても真夏日(一日の最高気温が30度以上)が観測される日があることから、引き続き熱中症への警戒が必要であるとコメントしている(【消防庁:発表リリース一覧ページ】)。

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今年の8月は上旬においては太平洋高気圧の影響により北日本から西日本にかけて気温が高くなった日が多く、各地で猛暑日(一日の最高気温が35度以上)が観測された。中旬に入ると低気圧や前線の影響を受ける形で、曇りや雨の日が増え、下旬に入るとオホーツク海から高気圧が張り出したことにより、北東から冷たい空気が流れ込み、北日本や東日本では気温が低下した。また台風15号の影響も少なからず気温の低下に影響している。東北の太平洋側では日照時間が統計開始の1961年以降でもっとも少ない記録(1964年とのタイ記録)を示している。

今回の発表によれば、2015年8月の全国における熱中症による救急搬送人員は2万3925人。昨年2015年は1万7661人、よって58%もの増加となる。

↑ 熱中症搬送人員(2008-2015年、各8月、人)
↑ 熱中症搬送人員(2008-2015年、各8月、人)

↑ 熱中症搬送人員(2008-2015年、各8月、人数比)
↑ 熱中症搬送人員(2008-2015年、各8月、人数比)

昨年同時期と比べるとすべての年齢区分で人数は増加。特に今年は高齢者(プラス76%)で大きな増加が確認できる。高齢者の人数そのものは増加の一途をたどっているが、その増加状況をはるかに超えた搬送者数の増加であり、屋内外を問わず(高齢者は屋内における熱中症リスクが他年齢階層と比べて高い)当事者はもちろんだが周辺関係者のさらなる警戒が求められる(新生児と乳幼児の合計はプラス93%だが、元々の数が少ないため誤差によるぶれがありえるため、検証からは除外する)。

搬送時の初診傷病程度は次の通り。人数はすべての区分で増加している。特に重症(プラス125%)、死亡(プラス300%)の増加度合いが著しい。患者の発生数そのものの減少だけでなく、発生・状況確認時の症状の軽減もまた、熱中症対策の上では求められる要素であり、今後も中長期的な視点から、油断することなく早期発見・早期対策が求められる。

↑ 熱中症搬送人員初診時傷病程度(2008-2015年、各8月、人)
↑ 熱中症搬送人員初診時傷病程度(2008-2015年、各8月、人)

↑ 熱中症搬送人員初診時傷病程度(2008-2015年、各8月、人数比)
↑ 熱中症搬送人員初診時傷病程度(2008-2015年、各8月、人数比)

ちなみに各症状の具体的内容は次の通りとなる。

軽症:入院を必要としない程度

中等症:重症または軽症以外の病状

重症:3週間の入院加療を必要とするもの以上

死亡:医師の初診時に死亡が確認されたもの

「軽症」と「重症」の容体を比較した上で勘案すると、「中等症」とは「3週間未満の入院を必要とするもの」と判断できる。つまり「重症ほどではないが、搬送時には相当状態が悪化しており、入院措置が必要な状況」。本人の無理がたたった、または他に誰もいない環境下で気を失い、第三者による発見が遅れたことが想定できる。見方を変えると2015年8月の該当期日においては、ほぼ6割の熱中症による救急搬送者は入院をせずに済んだことになる。

自分自身への注意を怠りなくするのと共に、異常を感じたらすぐに水分補給、涼しい場所への移動、楽になる姿勢を保つなど各種対応を行うのは常識論のレベル。それと同時に身の回りに体力の不安な人(療養中や病症で通院中の人)、身体の衰え(老化)などの理由から適切な反応が期待できない人が居る時には、積極的に声をかけるなどして、熱中症の発生を極力防ぐ姿勢を望みたい。

なお今回の確定報により、2015年6月1日から8月31日における搬送者数総計は5万1524人となった(6月以降の観測値が計上されているのは2010年以降)。5月分から合わせると、2015年は5万4428人となる。

↑ 夏期熱中症救急搬送人員(2010-2015年)(各年6月-8月の累計)
↑ 夏期熱中症救急搬送人員(2010-2015年)(各年6月-8月の累計)

単純比較が可能な2010年以降分の値で勘案すると、今年は2013年の5万5596人に続く高値をつけており、留意が必要になる。

直近として9月17日に発表された気象庁の一か月予報によると、北日本では平年並みの気温だが、東日本から西日本にかけては平年と比べて低めの気温、特に西日本では低くなる確率が6割に達しており、冷え込みの見通しが出ている(【全国 1か月予報(9月19日から10月18日までの天候見通し)】)。ここしばらくの気温動向から察するに、8月中旬位までが夏の暑さのピークで、それ以降は残暑も特になく秋めいた感が強い。とりわけ9月に入ってからは相次ぐ台風の到来により、残暑的な機運まで吹き飛ばしたような雰囲気がある。とはいえ熱中症による搬送者数が無くなったわけでは無い。

熱中症への対策は、多分に身体の健康管理そのものにもつながる話。体調管理の視線で自分の、そして周囲の体を気遣い、その中で熱中症に対する注意と配慮をしてほしいものである。


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