79%は「5年前と比べて少年重大事件は増えている」と思っている

2015/10/13 08:08

少年(14歳から19歳までの少年・少女)による犯罪行為は、軽微な物、重大なもの、いずれも数、対人口比で大よそ減少傾向にある。社会環境の整備や各方面の努力の結果によるものだが、一方で世間一般ではむしろ「少年による重大事件は増加している」との認識は強い。その実情を内閣府が2015年9月24日に発表した世論調査【少年非行に関する世論調査(平成27年7月調査)】から確認していく。

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年上ほど増える「少年重大事件は増加している」


今調査は2015年7月23日から8月2日にかけて、層化2段無作為抽出方によって選ばれた全国の日本国籍を有する20歳以上の人に対して、調査員による個別面接聴取法によって行われたもので、有効回答数は1773人。世代構成比は20代129人、30代204人、40代352人、50代322人、60代434人、70歳以上332人。

調査調査対象母集団に対して「少年」の定義を行い、さらに「少年非行」に関して「少年が行った犯罪と、喫煙や飲酒、深夜はいかいなどの不良行為を含めたもの」と説明した上で、「少年非行に関するご意見をうかがいます」との前提で、回答者の実感として5年前と比べて少年による重大な事件が増えていると思うか否かを尋ねたところ、78.6%もの人が増えているとの回答を示した。「かなり増えている」とした人だけでも4割を超えている。減っているとの認識を示した人は2.6%でしかない。

↑ 実感としておおむね5年前と比べて、少年による重大な事件が増えていると思うか(2015年7月)
↑ 実感としておおむね5年前と比べて、少年による重大な事件が増えていると思うか(2015年7月)

どの世代でも「少年重大事件は増加している」との認識は圧倒的多数派。事実通りの「減少している」と理解している人はごく少数に留まっており、20代でも4.7%でしかない。

男女別では男性よりも女性、年齢階層別では若年層よりも高齢層の方が「かなり増加」の値が大きく、「分からない」「減少している(強度を問わず)」の値が小さくなっており、年上の人ほど少年による重大犯罪の増加を(誤)認識している実態が確認できる。この状況はかねてから語られていた話ではあるが、今回統計値として確認ができたことになる。

属性別に見る「少年による重大事件は増加」の認識


男性より女性、若年層より高齢層が多い「少年重大事件は増加している」の誤認識状況だが、切り口を変えてみると別の一面が見えてくる。

↑ 実感としておおむね5年前と比べて、少年による重大な事件が増えていると思うか(2015年7月)(居住地域別)
↑ 実感としておおむね5年前と比べて、少年による重大な事件が増えていると思うか(2015年7月)(居住地域別)

回答者の居住地域別では、大都市、中でも東京都区部に住んでいる人ほど、「変わらない」の回答率は高く、増加派の回答率は低い。これが人口密集度が低い地域になるほど増加派、中でも「かなり増えている」の回答率が高くなる。町村になると46.7%の人が「かなり増えている」との回答を示す形となる。上記のグラフの通り、高齢層ほど増加派が多いこともあり、高齢者比率が高い地方ほど、結果として増加派の回答率が高いものとなってしまうのかもしれない。

↑ 実感としておおむね5年前と比べて、少年による重大な事件が増えていると思うか(2015年7月)(回答者の子供の有無別)
↑ 実感としておおむね5年前と比べて、少年による重大な事件が増えていると思うか(2015年7月)(回答者の子供の有無別)

回答者に子供がいるか、居る場合はその年齢による違いでは、中学生でややイレギュラーな動きを示しているが、それ以外は大よそ子供の年齢が上になるほど増加派の回答率が増え、変わらないとの意見が減っている。子供がいない回答者では増加派は7割までに減ってしまうのが印象的ではある。



今回抽出した各属性における、「少年による重大事件は増加している」との認識を示した人の割合をまとめると次の通りとなる。

↑ 実感としておおむね5年前と比べて、少年による重大な事件が増えていると思うか(2015年7月)(増えている派合計)
↑ 実感としておおむね5年前と比べて、少年による重大な事件が増えていると思うか(2015年7月)(増えている派合計)

事実と異なる「少年による重大事件は増加している」との理解を持つ人がいずれの属性でも2/3を超えていること、男性より女性、年上や子供が居る、しかもその子供が年上になるほどその認識が強くなることが確認できる。

「なぜそのような認識に至ったのか」に関する設問は無いため、原因は今調査からは確認できない。しかし「重大」の回答者における認識の違い、事実啓蒙の不足、情報伝達量の変化、さらに歳を重ねるに連れて過去の事案は忘却してしまい、近しい時期の事案のみ記憶に残ることなど、理由は多数推測できる。また昨今では過去には生じ得なかった、生じにくい事件、例えばスマートフォンやインターネット関連の事案が生じる、報じられることが多々あるため、「過去には無く、今ではある」との認識が「増えている」の結論に結びついているのかもしれない(過去には原因事象そのものが無かったのだから、該当事案のみに限定すれば確かに増えているが、少年事件としてのくくりでは減少していることに違いは無い)。

事件のさらなる減少を目指して多方面の施策を打ち出すこと自体は望ましい話に違いないが、一方で事実と異なる認識のもとに判断が下されることは、極力避けたいものではある。


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