貯蓄保有率は男性82.9%・女性91.0%…単身で働いている人達の貯蓄の詳細(最新)

2021/09/01 03:23

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2021-0826お金は物品やサービスなどの価値を数量化して保存できる道具であり、そのまま手元に置く他に、多様な形で専用の機関に預け入れ、財として積み増していくことができる。これを蓄財や貯蓄と呼んでいるが、一人暮らしの人は二人以上の家族生活をしている人と比べ、貯蓄により懸命にならねばならないとの話もある。何らかのトラブルが生じた際、頼りになる人、金銭面で生活を支えてくれる人がいないからだ。今回は総務省統計局が2021年5月18日までに発表した【2019年全国家計構造調査】の公開値を基に、一人暮らしのうち勤労者の立場にある人における、貯蓄動向の詳細を確認していくことにする。

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ほとんどの人は何らの形で貯蓄をしている


今調査の調査要目は先行する記事【食費の割合が減り、家賃負担が増加…一人暮らしをする若者のお金の使い道の実情(最新)】で確認のこと。今回対象となる属性は、単身世帯のうち世帯主=本人が勤労者である、具体的には会社、官公庁、学校、工場、商店などに勤めている人。無職はもちろんだが、会社役員など、個人営業の人、自由業者も該当しない。

また、今件における貯蓄とは金融資産を意味し、持家などは該当しない。貯蓄内容のうち「生命保険など」は養老保険をはじめとした積立型の保険を意味し、掛け捨ての保険は該当しない。「有価証券」は株式が主なものとなるが、他に投資信託、各種公社債も該当する。

まずは貯蓄、具体的には通貨性預貯金(普通預貯金)、定期性預貯金、生命保険など、有価証券、その他(金投資口座や共済組合など。内包されている要素が雑多になりすぎるので、今件では細部は取り扱わない)すべてを合わせた貯蓄スタイルに関して、いずれか一つでも行っている人の割合。ただしタンス預金は該当しない。また見方を変えれば今値に該当していない人は、一切の貯蓄を有していないことになる。

↑ 貯蓄保有率(単身勤労者世帯、男女別・年齢階層別)(2019年)
↑ 貯蓄保有率(単身勤労者世帯、男女別・年齢階層別)(2019年)

おおよそ8-9割台が貯蓄を有している。若年層だから、高齢者なのでといった年齢階層別の違いは無い。男女別では女性の方が貯蓄率は高い。

これを主要区分別に、保有状況を精査したのが次のグラフ。

↑ 貯蓄保有率(単身勤労者世帯、男性、種類別)(2019年)
↑ 貯蓄保有率(単身勤労者世帯、男性、種類別)(2019年)

↑ 貯蓄保有率(単身勤労者世帯、女性、種類別)(2019年)
↑ 貯蓄保有率(単身勤労者世帯、女性、種類別)(2019年)

通貨性預貯金はどの属性も保有率が高く6割から7割台。ただし高齢層はいくぶん減少する傾向にある。それ以外の項目では男女別の差が出ており、例えば定期性預貯金では男性がおおよそ年齢とともに増加していく一方、女性は60代をピークに減少していく。また全般的に有価証券は男性、定期性預貯金や生命保険は女性の方が高い値を示す。

リスク性が高い有価証券は、男性の方が概して高い値を示している。ただし女性も高齢層では高め、むしろ男性よりも高い値を示す年齢階層もある。男女間の貯蓄に対するスタンスの違いが見えてきて興味深い。

なお種類別の分散傾向だが、男性よりも女性、若年層よりも高齢層の方が分散度合いが大きい(種類ごとの保有率を単純合算した値について、大きい方が分散度合いが大きくなる。グラフ化は略)。余力、貯蓄できる余裕が出てくると、色々と分散できるようになるのが原因。

保有者の平均額を算出する


以上は各貯蓄の保有割合。1円でも1億円でも該当する貯蓄を所有していれば所有者としてカウントされる。一方、公開値では保有していない人も含めた平均額が提示されている。そこで保有者率と平均金額から、「保有者の」平均保有額を概算で算出したのが次のグラフ。男性は841万円、女性は719万円となっている。

↑ 保有者による貯蓄保有高(単身勤労者世帯、男性、種類別、万円)(2019年)
↑ 保有者による貯蓄保有高(単身勤労者世帯、男性、種類別、万円)(2019年)

↑ 保有者による貯蓄保有高(単身勤労者世帯、女性、種類別、万円)(2019年)
↑ 保有者による貯蓄保有高(単身勤労者世帯、女性、種類別、万円)(2019年)

男女とも29歳以下の貯蓄の低さが目にとまる。30代でもさほど多くはない。男性は通貨性預貯金の金額が年齢階層で大きく変化するが、女性は40代以降はほぼ一定金額になる、男性は50代で有価証券を大きな金額で持つようになる、女性の方がバランスの取れた配分をしている雰囲気がある(各種類別の金額の差異は男性の方が大きい)など、さまざまな傾向が見て取れる。また勤労者に限ればだが、70歳以上では男性よりも女性の方が貯蓄金額は大きく、その大部分は定期性預貯金であることもうかがえる。

今件はあくまでも単身者のうち勤労者による平均値で、無職の人や自由・自営業、役員の人までは含まれていない。とはいえ、単身世帯の貯蓄動向、とりわけ若年層や高齢層の懐事情の一端を知る上では大いに役立つに違いない。


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