年金暮らしをしているお年寄りのお財布事情を詳しくグラフ化してみる(2015年)(最新)

2015/10/12 10:15

人口構造の変化、高齢化の進行に伴い、さまざまな社会問題の要因、関連対象としてスポットライトが当てられる高齢者。中でも仕事から手を引き、年金や蓄財の切り崩しで生活を営むようになった無職高齢層は、今後さらに数を増加することが予想されるため、その生活様式には大いに注目が集まるところとなる。今回は総務省統計局が2015年9月30日に発表した【「2014年全国消費実態調査」】のうち【「単身世帯の家計収支及び貯蓄・負債に関する結果」】の公開値を元に、一人暮らしで仕事をしていない(無職)の高齢世帯(65歳以上)における、平均的なライフスタイルの現状を、主にお金の面から確認していくことにする。

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持家率は8割前後


今調査の調査要目は先行する記事【普通乗用車より軽自動車が所有される時代…自動車の車種・世帯種類別普及率をグラフ化してみる(2015年)(最新)】を参照のこと。今回取り上げる「無職」とは、勤労者(世帯主が会社、官公庁、学校、工場、商店などに勤めている人)ではなく、社長、取締役、理事など会社団体の役員である人でもなく、個人営業の人や自由業者でも無い人。年齢を65歳以上に限定しているため、実質的には年金生活をしている人となる。生活を支える主な収入は年金、そして財産収入。さらには貯蓄からの切り崩しで不足分を補っている。

まずは住宅事情。

↑ 65歳以上・単身・無職世帯の居住状況(2014年)
↑ 65歳以上・単身・無職世帯の居住状況(2014年)

持家に住んでいる人は男性78.0%、女性82.4%。女性の方がわずかに持家率は高い。また賃貸住宅暮らしの人は少数派で、持家に住んでいる人もほとんどはローンを完済しているため、平均的な住居コストも1万円以下となっている。

なお若年層では住居関連の値としてこの他に、現在居住地の広さや自動車の保有比率も計上されているが、無職世帯に関する項目ではこれらの値は非公開のため、詳細は不明。

また、持家居住者以外が「家賃・地代支払い世帯」と「その他」で仕切り分けされておらず一括でまとめられているのは、単純に「持家率」と「家賃・地代を支払っている世帯の割合」を足すと100%を超えてしまうため。現居住の家を持家として取得しながら、家賃・地代も同時に払っている一人暮らしの高齢者は、想像がしにくいものがある。詳細部分を確認すると75歳以上の世帯に限ってこの現象が起きているため、介護や子供・孫世帯による世話が関わっているのかもしれない。

一か月のお金のやりくりの中身


続いてお金のやりくりの内容。実収入(勤め先収入や事業収入、内職収入、財産収入、社会保障給付など実質的に資産の増加となる収入を集めた収入)と、実支出(税金や社会保険料などの支出を集めた「非消費支出」と、生活費を意味する「消費支出」、黒字(実収入から実支出を引いたもの)の合計)の内訳を、具体的金額と比率の面からそれぞれ見ていく。詳しい各用語の解説、関係は先行記事の【一人身で働く若者のお財布事情を詳しくグラフ化してみる】で確認のこと。

なお高齢無職世帯においては、実収入だけでは生活費をまかないきれないため、実支出と帳尻を合わせるために貯蓄の切り崩しが行われている。実収入の部分に「+不足分」が加わっているのはこのため。当然黒字の類はない。

まずは男性。

↑ 家計収支の構成(65歳以上・単身・無職・男性)(2014年)(円)(一か月)
↑ 家計収支の構成(65歳以上・単身・無職・男性)(2014年)(円)(一か月)

↑ 家計収支の構成(65歳以上・単身・無職・男性)(2014年)(比率)(一か月)
↑ 家計収支の構成(65歳以上・単身・無職・男性)(2014年)(比率)(一か月)

↑ 家計収支の構成(65歳以上・単身・無職・男性)(2014年)(円)(支出のみ)(一か月)
↑ 家計収支の構成(65歳以上・単身・無職・男性)(2014年)(円)(支出のみ)(一か月)

収入は年金(社会保障給付)やその他の収入(株式の配当などの財産収入、仕送り金)など。それだけでは実支出をカバーしきれず、不足分は貯蓄の切り崩しで補っている。これが約3万円、2割近く。

非消費支出は12.0%。住居費は8.6%と小さめだが、その分食費の割合は大きく22.4%を示している。支出の2割強が食費に充てられている次第。交通・通品費も負担が大きい。さらに医療費などは7000円近くに達しており、若年層と比べて数倍に及んでいる。「その他の消費支出」が大きめだが、これは交際費によるところが大きい。

女性になると大きく様変わりを見せる。

↑ 家計収支の構成(65歳以上・単身・無職・女性)(2014年)(円)(一か月)
↑ 家計収支の構成(65歳以上・単身・無職・女性)(2014年)(円)(一か月)

↑ 家計収支の構成(65歳以上・単身・無職・女性)(2014年)(比率)(一か月)
↑ 家計収支の構成(65歳以上・単身・無職・女性)(2014年)(比率)(一か月)

↑ 家計収支の構成(65歳以上・単身・無職・女性)(2014年)(円)(支出のみ)(一か月)
↑ 家計収支の構成(65歳以上・単身・無職・女性)(2014年)(円)(支出のみ)(一か月)

男性より実収入額は低めだが大きな違いは無い。大きな差異を示しているのは「その他の消費支出」の部分。男性が16.3%・2万7642円だったのに対し、女性は23.8%・3万8810円と1万円以上も上乗せしている。これは主に交際費が男性以上に大きいのが原因。また詳細は該当資料からは確認できないが、若年層における消費性向同様、理美容サービス、美容品、身の回り用品などがかさんでいることは容易に想像ができる。

食料の内訳も男女では大きな違いが見えてくる。

↑ 家計支出における食料詳細(65歳以上・単身・無職・男女別)(2014年、円)(一か月)
↑ 家計支出における食料詳細(65歳以上・単身・無職・男女別)(2014年、円)(一か月)

男性の外食額が女性と比べて大きいのは、居酒屋などの多用によるものだろう。また酒類、調理用品は男性が、魚介類や野菜・海藻、果物、菓子類は女性の方が多いのは若年層と変わらず、食に対する選択は歳を経ても変化がないことがうかがえる。一方で肉類は男性よりも女性の方が高額を支払っており、興味深いところではある。

蓄財の実情は…?


最後は貯蓄状況。高齢・無職の一人身世帯のお財布事情は、原則として貯蓄を切り崩してのそろばん勘定となるため、非常に重要な要素に違いない。言葉通り生命線。

↑ 貯蓄現在高詳細(65歳以上・単身・無職・男女別)(2014年、万円)
↑ 貯蓄現在高詳細(65歳以上・単身・無職・男女別)(2014年、万円)

男性は1500万円近く、女性は約1400万円。男性は定期が一番多く、次いで普通預貯金と有価証券(株式など)がほぼ同額。女性は定期の額がさらに多く、その分普通預貯金は少なく、有価証券はさらに少ない。他方保険は男性よりも多い。若年層同様高齢無職層でも、男性よりも女性の方が低リスクを強く意識した蓄財をしている印象が強い。



今件はあくまでも平均的な単身高齢無職のお財布事情。その歳に達するまでの過ごし方で、実情は大きな違いを見せる。今属性にあるすべての人が、同じような内情にあるわけではないことに注意が必要。

他方、今後ますます増加するであろう年金生活の単身高齢者の内部事情を推し量るのには、有益な値であることも変わりあるまい。

余談ではあるが先行記事で取り上げた、単身の若年勤労者のお財布事情との比較として、食料への支出額の違いを算出しておく。

↑ 家計支出における食料詳細(65歳以上・単身・無職・男女別)(2014年、円)(一か月)(30歳未満・単身・勤労者・男女別との差異)
↑ 家計支出における食料詳細(65歳以上・単身・無職・男女別)(2014年、円)(一か月)(30歳未満・単身・勤労者・男女別との差異)

お酒をのぞいたし好品は大よそ同じか減少、お酒は大幅に増加、外食は大幅に減少、そしてその他の素材系は大よそ増加している。特に魚介類や野菜・海藻、果物など、健康に良いイメージがある食材への額が大きく上乗せされている。健康に留意した食事を好むことによるものだろう。また、買い物の際に安い場所より、多少高くとも一度にまとめ買いできる場所を選びがちなのも、結果として高値が付く要因となっているのかもしれない。


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