一人暮らしの買物生活はどのような変化をしてきたか…過去15年間の買物先の移り変わりをグラフ化してみる

2010/10/17 12:00

2010年9月30日、総務省統計局は長期的・継続的に実施している「全国消費実態調査」の最新版【「2009年全国消費実態調査」】のうち、【「単身世帯の家計収支及び貯蓄・負債に関する結果」】を発表した。一人暮らし世帯の日常生活を、お金の面から確認できる、貴重な資料・データが大量に盛り込まれている。このデータ群の中から今回は、先に【「高齢単身者のコンビニ離れ」……一人暮らしの買物先をグラフ化してみる】で示した「一人暮らしの買物先」の変化を、今回発表分も含めて都合4回分、過去15年間にさかのぼり、その変移をグラフ化してみることにする。

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「全国消費実態調査」は総務省が行っている、国民生活の実態に関して家計の収支及び貯蓄・負債、耐久消費財、住宅・宅地などの家計資産を総合的に調べ、全国、地域別の世帯の消費・所得・資産に係る水準、構造、分布などを明確にすることを目的とした調査。5年ごとに実施されており、今回発表された2009年分は11回目に相当する。

今回抽出・グラフ化するデータは、「表III-4 年齢階級,費目別支出金額の購入先別割合(単身世帯)」。直近単年分は先の記事にある通りだが、この表では今回と前回(5年前の2004年分)の数字も記載されている。さらに統計局のデータをさかのぼり、過去4回分、1994年・1999年・2004年・そして今回の2009年分の推移を見てみようという次第。

まずは30歳未満。

↑ 費目別支出金額の購入先別割合推移(単身世帯、30歳未満)
↑ 費目別支出金額の購入先別割合推移(単身世帯、30歳未満)

まず目に留まるのが「一般小売店の減少と、スーパーやディスカウントストア・量販店の増加」。大型スーパーやコンビニ、昨今ではディスカウントストアや100円ショップの進出と、消費性向の減退で、普通の小売店がビジネス的に立ち行かなくなり、近所の店がシャッターを閉じる場面が増えてきたのが一因。そしてそれらの店と比べて大型店などの方が安く、まとめて買物が出来るので、そちらに足を運ぶようになったのも大きな要因。

一方で同じまとめ買いが出来るのに百貨店の割合が減っているのは、価格的な問題に寄るところが大きいと思われる(近場に無いのも原因だろうが)。あるいは一人暮らしで必要な物品は、あまり百貨店には揃えられていないということか。

そして気になるのはコンビニに関する動き。世間一般には「若者はコンビニを積極活用している」という雰囲気がある。数年前の「深夜帯のコンビニ営業の是非問題」では、反対派は「若者の積極利用で深夜帯までたむろする。健全ではない」ことを反対理由に挙げていた。しかし今グラフを見る限りでは、利用金額の割合の面で見ると、昔も今もさほど変わらないことが確認できる。

続いて30歳-59歳。30歳未満とはやや違った動きが確認できる。

↑ 費目別支出金額の購入先別割合推移(単身世帯、30歳-59歳)
↑ 費目別支出金額の購入先別割合推移(単身世帯、30歳-59歳)

就職から間もない若年層でもなく、定年退職前後の高齢者でもない、単身赴任以外は微妙な立ち位置ともいえるこの世代の単身世帯。一般小売店の利用率減退とスーパーの増加は30歳未満と変わらない。スーパーの利用頻度はかなり高め。

一方でディスカウントストアなどの利用も年々増加しているが、若年層ではまちまちだったコンビニの比率が少しずつながらも確実に増加の一途をたどっているのが分かる。比率はまだ30歳未満より低いが、今後逆転することも十分にありえよう。

最後に、社会問題的及びマーケティング的には一番気になる60歳以上の単身世帯。多くは定年退職前後に配偶者と離別・死別した一人暮らしの人が該当する。

↑ 費目別支出金額の購入先別割合推移(単身世帯、60歳以上)
↑ 費目別支出金額の購入先別割合推移(単身世帯、60歳以上)

「一般小売店の減退とスーパーの伸長」という点では他世代と変わりはないが、この2系統だけで6割強の支出を占めているのが特徴的。これは【6年連続経常利益をはじき出す「ダイシン百貨店」のレポートから、デパート不況打開の糸口を考えてみる】などで説明している通り、高齢者は多店舗での買物を苦手とし、出来ることなら少数か所・短い距離で生活必需品を調達したいという需要があるため。一般小売店は近所の商店街(=短い距離で済む)を意味するが、商品の値引きがされにくい事に加え、閉店が相次いで通えない店が増えてきたことを考えれば納得がいく。

「長距離の移動が苦手なら、ネット通販を利用すればいいのでは」とも考えるものだが、インターネット絡みの仕組みの利用が苦手なのは他の多数の調査結果から明らかになっている通りで、今件でも計測項目がはじめて用意された2004年・直近の2009年共に0.4%でしかない。



概要を世代別にまとめると、単身世帯の消費生活上の買物先としては

●30歳未満
・一般小売店とスーパーで約半分。スーパーの利用は増加中。
・ディスカウントストアや量販店の利用も増加。
・コンビニ利用率は変化なし。

●30歳-59歳
・一般小売店とスーパーで6割近く。スーパーの利用は増加中。
・ディスカウントストアや量販店の利用も増加。
・コンビニ利用率は漸増。

●60歳以上
・一般小売店とスーパーで6割近く。スーパーの利用は大きな割合で増加中。間もなく一般小売店と逆転。
・ディスカウントストアや量販店の利用も増加しているが、60歳未満と比べるとかなり少なめ。
・コンビニの利用はほんの少し。

ショッピングカートという具合になる。意外なのは繰り返しになるが、若年層のコンビニ利用額比率に増加の傾向が見られないこと。この点において食料品の観点で見ると、若年層のコンビニ利用額比率はむしろ減少する傾向を見せている(この部分は後日別記事で詳しく分析する予定)。

若年層の生活が厳しさを増しているのは【食費の割合が減り、家賃負担が増加……一人暮らしをする若者のお金の使い道の変化をグラフ化してみる】をはじめ、これまで多数の記事でお伝えしている通り。ディスカウントストアや量販店の利用額率が2割近くを占めているところもあわせ、定価販売のコンビニの利用をためらうようになるほど、一人暮らしの若年層の生活が次第に厳しさを増していることがうかがいしれよう。

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