大型連休は秋晴れ、ほどよい気候で搬送者も減少…熱中症による搬送者数は1週間で225人(2015年9月21日-9月27日)

2015/09/29 11:00

総務省消防庁は2015年9月29日、同年9月21日から9月27日の一週間における熱中症搬送人数が225人(速報値)であることを発表した。前回週の236人(速報値からの改定値)と比べると11人の減少となった。また今年の熱中症による搬送人数は、消防庁が今年カウントを始めた4月27日以降における累計人数としては5万6005人(速報値、一部改定値や確定値による累積)に達している。初診時に熱中症を起因とする死亡者は今回週では1人が、3週間以上の入院加療が必要な重症判定を受けた人は1人が確認されている(【消防庁:熱中症情報ページ】)。

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↑ 熱中症による救急搬送状況(週単位・速報値(一部確定値)・2015年・人)
↑ 熱中症による救急搬送状況(週単位・速報値(一部確定値)・2015年・人)

↑ 熱中症による救急搬送状況(該当週・日単位・速報値・2015年・人)
↑ 熱中症による救急搬送状況(該当週・日単位・速報値・2015年・人)

↑ 熱中症による救急搬送状況(年齢区分)(2015年)
↑ 熱中症による救急搬送状況(年齢区分)(2015年)

今夏の電力事情に関して政府発表を元に精査した記事【「今年も数値目標なし」…2015年夏の節電要請内容正式発表】などで解説の通り、今年夏も昨年同様、法的拘束力のある電力使用制限令、または数字目標のある節電要請は発せられることなく、数字目標無しの節電要請に留まることとなった。しかし震災から4年が過ぎた今なお、電力需給の観点で不安な状況が継続していることに違いはない。

さらに気象庁が今年春先に発表した中期予報では、気温は平年並み、あるいはやや低めで、7月から8月にかけては雨が平年よりは多くなるとの予想が出されていたが、6月は気温が高めに推移する可能性が高いとされ、熱中症への懸念も大きなものがあった。また昨年は気温の上昇が早めに生じ、5月から、特にゴールデンウィーク前後において、熱中症で救急搬送される人が多分に確認された。

そこで消防庁では【消防庁の熱中症搬送患者情報、今年は5月からだそうです】にある通り、昨年までは熱中症に係わる搬送車の調査とその結果報告について5月中旬以降に開始していたものを、今年は4月末から開始し、逐次報告を行うことになった。

↑ 消防庁の熱中症精査報告開始に関する前倒しの案内
↑ 消防庁の熱中症精査報告開始に関する前倒しの案内

今回発表された各種値は今年の分としては第22週目のものとなる。過去に発表された速報値も逐次確定値に切り替えられており、改定の際にはいくぶんの増加が確認されている。

今回計測週は秋の大型連休、俗にいうシルバーウィークの真っただ中で、幸運にも行楽日和が続く晴れ模様となった。一部でにわか雨が降る地域もあったが、概して連休中はほどほどな気温で過ごしやすい日々が続いた。ところが連休明けとなると前線の影響もあり、広い地域で雨が降り、24日には高知県で記録的短時間大雨情報が発令されるなど、荒れた天候となる場面も。週末になると再び天候は回復し、もはや本格的な秋模様を思わせる気温を示す地域も見受けられた。週末はいわゆる「中秋の名月」だったが、北海道や関東の一部を除くほぼ全国で晴れ渡り、やや肌寒さを覚えるものの、よいお月見ができる環境だった。

8月中旬以降残暑のようなものもほとんど感じられず、夏の暑さがどこかへ旅立ったような状況が続いているが、気象庁は9月18日付で、8月中旬以降の天候不順が続く状況に関して報告書を発表している(【平成27年(2015年)8月中旬以降の不順な天候】)。それによれば8月上旬までのゆだるような暑さから一転して冷夏を思わせる気温の低下ぶり、さらには不安定な天候状況・日照時間の少なさに関して、直接的な要因は前線の停滞と相次ぐ台風の到来を挙げている。前線の停滞の理由としては上空の偏西風の南への偏りと蛇行が関連し、その理由はエルニーニョ現象の影響によるものとしている。

そのエルニーニョ現象だが、気象庁では9月10日付で【エルニーニョ監視速報(No.276)】を発表している。それによると、現在エルニーニョ現象が生じており、今冬までの間は継続する可能性が高いことを伝えている。気象庁から発表された9月24日付の1か月予報では、北日本では平年並みの気温が予想されるものの、東日本から西日本にかけては平年と比べて低めの気温となる可能性が多分にあり、冷え込みの見通しが出ている。実際、搬送者数は漸減しているが、ゼロではない以上リスクが皆無となったわけでは無いことはご承知の通り。

地域別では広島県の17人をはじめ、愛知県の16人、兵庫県の12人、東京都の11人などが上位についている。とはいえ多い地域でも20人/週を超えることは無く、何らかの集まり、イベントで事案が発生すれば、すぐに大きな変動が起きうる、ぶれが生じやすい順位動向には違いない。それだけ気候が秋色に染まりつつある証拠でもある。

気温状況も東京・大阪共に猛暑日はゼロ、真夏日もゼロを計上している。晴れの日でも30度を超えておらず、夏の過ぎ去りし様相が見て取れる。また温度の高低を見れば分かる通り、少なくとも東京や大阪では、きれいに「休みの日は晴れ」「連休合間の平日は悪天候」の形となっており、まさに天啓的状況が展開されたことが分かる。

↑ 東京都の最高気温と天候(2015年9月21日-9月27日)
↑ 東京都の最高気温と天候(2015年9月21日-9月27日)

↑ 大阪府の最高気温と天候(2015年9月21日-9月27日)
↑ 大阪府の最高気温と天候(2015年9月21日-9月27日)

↑ 熱中症による救急搬送状況(2015年9月21日-9月27日)(搬送人数上位都道府県、人)
↑ 熱中症による救急搬送状況(2015年9月21日-9月27日)(搬送人数上位都道府県、人)

消防庁では今件熱中症の救急搬送者の統計ページにおいて、熱中症対策のリーフレットを配布している。また、関連省庁の熱中症に係わるページへのリンクも配し、さまざまな象徴の対策状況や情報を確認できる。各自治体でも情報提供を展開中(一例:【熱中症に注意しましょう(横浜市 健康福祉局)】)

↑ 熱中症の応急手当。上記記載の消防庁配布によるリーフレットから
↑ 熱中症の応急手当。上記記載の消防庁配布によるリーフレットから

環境省では熱中症対策の一環として発表している暑さ指数(WBGT)予想値・実況値の情報提供について、5月13日から開始している。今件情報はパソコン向けだけでなくスマートフォン用にも提供されている(【環境省熱中症予防情報サイト】【環境省熱中症予防情報サイト(スマートフォン用)】)。

↑ 環境省熱中症予防情報サイト
↑ 環境省熱中症予防情報サイト

今回発表されたリリースでは日付を合わせる形で同年同時期の搬送者数を参考値として提示しているが、それによると昨年の同時期における搬送者数(確定値)は181人。今年は速報値で比較すると2割強ほど増しの値となっている。地域別詳細を見ると、多数の地域で前年を上回る値を示しており、特に宮城県や埼玉県、愛知県などで差異が大きい。もっとも大阪府や沖縄県、岡山県など昨年より大きな減退を示しているところもあり、多分に誤差の領域内での動きであることが分かる。

他方累計搬送者数について、前年と比較できる期間(5月19日以降)に限って比較すると、2014年は4万1349人だったのに対し、今年はすでに5万4511人となり、1万人以上の増加が確認されている。

電力需給の観点では昨年の状況から進歩がほとんど見られないのが残念な話ではある(一応、九州電力管轄の川内原発が再稼働を行い、2013年9月に関西電力の大飯原発停止以降、原発による発電が無い状況からは1年11か月ほどぶりに脱することとなったが)。ちまたで電力不足が騒がれ、また電気代の高騰が続くと、冷房機器の利用を避ける心理が働き、ただでさえ気温の変化への反応が鈍い高齢者の熱中症のリスクが上乗せされることは容易に想像ができる(【熱中症とクーラー利用の関係、ちょっと見えてきた】【高齢者の熱中症のリスクは「エアコンあるけど使わない」が多分にあった、その調査結果を確認】との話もある)。

相次ぐ台風の到来で、すっかり夏は来年までお休みの状況となり、秋の気配を多分に感じる日々が続いている。とはいえ熱中症の症状を発する可能性はゼロでは無い。引き続き、各自最善を尽くしたいものだ。


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