たばこ減退、大きく伸びるファストフード…コンビニの商品種類別売上の変化をグラフ化してみる(2014年)

2014/10/08 14:00

ローソンは2014年10月7日までに、同社及び所属・周辺業界の状況を多方面から分析・解説したアニュアルレポートの最新版となる【アニュアルレポート2014】を公開した。そこで日本の大手コンビニでは売上で第2位の座を治めるローソンのデータを通して、コンビニの商品種類別における売上の変化を精査していくことにした。

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飛躍するファストフード…売上高動向


ローソンのアニュアルレポートでは商品群別の売上高構成比が掲載されている。昨今では「たばこ」の売り上げに注目が集まり、その動向に注視する必要があるため、「たばこ」を特別扱いし、一つの区分として計算する。ローソンでは決算が2月締めなので、「2014年」の場合は2013年3月から2014年2月末までのデータを意味している。なお今回も合わせコンビニの売上動向を推し量る際に、ローソンのレポートをデータ取得元として用いたのは、大手コンビニではローソンだけが「たばこ」も含めた詳細な売上構成比を公開していたからに他ならない。

まずは売上全体に占めるたばこも含めた、主要商品区分別の割合をグラフ化し、状況を確認する。

↑ 商品群別売上高構成比率推移(連結・チェーン全店、ローソン)
↑ 商品群別売上高構成比率推移(連結・チェーン全店、ローソン)

2010年の売上構成比で「たばこ」は前年比でやや減退している。これは金額そのものは伸びているものの、伸び率は前年ほどではなく、他の分野の伸び具合に比べて大人しかったため、相対的に比率が落ちている次第。その年以外はほぼ一様に「たばこ」の売上が占める比率は増加をしており、コンビニにとって「たばこ」は年々重要な商材として位置づけられていたのが分かる。また2010年の特異な動きとして「日配食品」が伸びているのが確認できるが、これは「ショップ九九」で該当項目商品が大いに伸びたのが原因。

震災直前となる2011年分(2010年3月-2011年2月)、そして震災を含む2012年(2011年3月-2012年2月)では多少のデコボコはあれど、中期的な動きに変わりはない。食品販売の占める割合が大きく、「コンビニエンス・フードストア」と表しても問題はなさそう。また、【値上げによる家計のたばこ支出金額推移への影響を過去二回分と合わせてグラフ化してみる】でも触れているが、2010年10月に大規模なたばこの値上げが実施され、これを受けて2011年以降の「たばこ」売上・シェアは確実増大。2012年では全売上の1/4に達している。

2013年に入るとこれまでとはやや変わった動きも確認できる。「たばこ」の伸び、「加工食品(たばこ除く)」「非食品」の減少は相変わらずだが、「ファストフード」(※ローソンではカウンターフーズの他にお弁当の類も「ファストフード」に該当させている点に注意)が大いに伸びを見せている。これはコンビニ関連の記事で何度となく解説しているフライヤー食品をはじめとした惣菜の積極的な展開によるもの。類似商品の「日配食品」(ベーカリー・デザート・アイスクリーム・生鮮食品など)は比率こそ落としているが、金額面では小さからぬ伸びており、中食需要に確実に応え、売り上げに反映しているのが確認できる。

そして直近の2014年ではいくつかの大きな動きが起きている。まず「ファストフード」の大きな伸び。これは詳しくは後述するが、カウンターフーズの躍進に加え、ドリップコーヒー(ローソンの場合はMACHI cafe)の導入店舗が増え、好成績を上げたため。

そして煙草の比率が大きく減退している。2010年の時には比率は減少したものの金額は増加したが、2014年では金額・比率双方ともに落ちている。2013年の時点で指摘されていた、たばこ販売実績の減退が、具体的な値として明確化した次第である(消費税率の引き上げに伴う駆け込み需要及びその反動は、ギリギリで今回の2014年分では反映されていない)。

続いて金額ベースで、積み上げ型のグラフにしたのが次の図。「たばこ」そのものはかなりの額で金額をふくらまして「いた」。

↑ 商品群別売上高推移(連結・チェーン全店、ローソン)(億円)
↑ 商品群別売上高推移(連結・チェーン全店、ローソン)(億円)

コンビニでお世話になっている人も多いであろう「ファストフード」だが、ローソンに限れば多様なブランド化やレジ横フライ物が堅調に推移し、2014年では前年比で9.5%ものプラスを計上した。「日配食品」は比率こそわずかに後退したが、売上額そのものは伸びている。

そして「たばこ」だが、ローソンに限定すれば直近では前年比380億円ほどのマイナス。手元にデータがある2004年以降でははじめての、前年比マイナスの金額を計上している。たばこ売上のトレンドはマイナスに転換したと見てほぼ間違いない。

各項目の前年比


各項目の進捗がよく分かるのが、次に示す前年比のグラフ。

↑ 商品群別売上高推移(連結・チェーン全店、ローソン)(前年比)
↑ 商品群別売上高推移(連結・チェーン全店、ローソン)(前年比)

「たばこ」のトレンド転換は事実上2013年から始まっていたことが分かる。日本全体におけるたばこの販売本数は漸減を続けていることから、今後価格の変動があろうとなかろうと、売り上げは厳しくなることが容易に想像できる。

一方「ファストフード」は2011年以降大きく切り返しを見せ、2014年においては2013年に続き伸び率の最高値を更新することとなった。これに連動する形で「日配食品」もプラス圏をキープしている。「ファストフード」について同レポートでは(あくまでローソン単体での話ではあるが)、

積極導入を進める挽きたて・淹れたてコーヒーMACHI cafe、ゲンコツメンチや黄金チキン等、新商品が好調なFF惣菜を中心としたカウンターファストフード・カテゴリー、惣菜やサラダ等のデリカ・カテゴリー、UCHI cafe SWEETS等のデザート・カテゴリーが売上を牽引しました。

とあり、カウンターコーヒーと続々投入される新商品がけん引役となったことが記されている。この構造は他の大手コンビニでも大きく変わるところはない。

「非食品」は昨年から転じてマイナス圏に。これについてアニュアルレポート側では(やはりローソン単体での話ではあるが)、

非食品カテゴリーでは、本・雑誌は業界全体の不振の影響を受けて売上低下が続いています

との解説をしている。本・雑誌単独のセールス動向の言及はこれ以上は無いものの、昨今話題に登っている出版業界の低迷や、コンビニにおける雑誌系スペースの縮小を裏付ける形で、本や雑誌の不調により、「非食品」が前年比でマイナスを示したことが分かる。同業大手他社ではセブン-イレブンが「街の本屋」と題して雑誌や書籍、コミックスなどの取扱いを行い、このような状況の打破を模索しているが、その結果が良いものとなれば、あるいはローソンも類似サービスを始めることも考えられよう。

たばこは儲かるのか? …粗利益動向


売上高の上昇が続いていた「たばこ」だが、【コンビニでは1日何箱たばこが売れているのかを計算してみる……(下)裏づけと「たばこが売れてハッピー」なのかを検証する】で解説している通り、他の商品と比べて「たばこ」の粗利益率は低い。言い換えれば「儲けが少ない」商品。同じ売上をお弁当とたばこで計上した場合、利益はおおよそたばこがお弁当の1/3前後との計算になる。人件費を考えると、色々と頭の痛い話に違いない。

↑ 商品別総粗利益率の推移(単体、チェーン全店、ローソン)
↑ 商品別総粗利益率の推移(単体、チェーン全店、ローソン)

他のカテゴリの粗利益率が改善(数字が増加=より効果的に儲けられる)しているのに対し、たばこを含む「加工食品」だけが元々の値が低く、しかも低迷を続けている。最新のレポート中ではたばこの粗利益そのものに関する直接的言及は無いものの、「加工食品カテゴリーにつきましては、主にたばこの売上高構成比が減少したことなどにより、前期より0.1%ポイントの改善となりました」とあり、たばこの粗利益率が他商品と比べて低い事がうかがえる。

実際、【たばこ税の推移をグラフ化してみる】の通り、たばこの販売店マージンは10.0%であり、他商品と比べて段違いの低さとなっている。「儲け」の観点では「たばこは儲かりにくい」と評しても問題はあるまい。たばこはむしろついで買い、リピート率の高さが魅力なのだが、その力がピークに達し、むしろ減じていることが今回のデータから明らかにされている。以前と比べて各コンビニ店でたばこのラインアップを増強したり、積極的な宣伝活動をしているのは、少しでもその減退の影響を薄めようとしていると考えれば、理解は出来る。



データの継続性・蓄積性や情報公開度合いを考慮し、ローソンのデータを基に精査を行ったが、他のコンビニでも状況に大きな変化はないものと考えられる。たばこ販売動向の月次データを見る限りでは、「値上げ分が売上本数減少分をカバーする」時期はすでに過ぎている。コンビニでもたばこの売上額は今後継続的に落ち込むことになるだろう。

はちゅねミクまん各コンビニとも商品単価の高いアイテム、さらには独自の付加価値を織り込むことで、粗利益率アップを模索している。ローソンの「ウチカフェスイーツ」に代表されるような自社ブランドによる甘味系新商品の大規模展、今やファミリーマートの看板的なキャラクタとなりつつある初音ミク関連のキャンペーンや、「艦これ」の関連商品のような、他分野で人気のあるアイテムとの共同開発・イベントの実施などが好例である。

また【ローソンで新和菓子シリーズ「あんこや」スタート】などでも触れているように、コンビニ大手ではシニア層にも大きな注力を注ぎ始め、得意分野であるスイーツの和菓子部門で攻勢をかけている。さらにこれらの商品にもいえることだが、プライベートブランドの販売性向を強め、競合他社との格差の演出、独自性の強化と、利益率の向上を推し量っていることにも留意すべきといえる。

そして見通しが立ちにくい状況となった「たばこ」の代替品として、ローソンも含めコンビニ大手ではドリップコーヒーの店頭販売を拡大している。さらに関連商品の積極開発やイートインコーナーの展開など、キャラクタアイテム、スイーツに続き、コンビニの集客・売上向上を支える大黒柱的存在としてドリップコーヒーを位置づけ、実際にコーヒー側もその期待に応える成果を上げている。

多種多様なサービスを集約し、地域社会に浸透した「よろずや」的存在感をますます強めつつあるコンビニ。高齢化社会の到来や「買物困難者問題」など、小売業に関わり合いのある問題への対応をも見せながら、各種コンビニの施策がどこまで功を成すのか。流行のアンテナ的な立場をも持つコンビニ各社の動向に、今後とも注目していきたい。


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