2015年7月度外食産業売上プラス1.9%…洋風ファストフードも復調への兆し

2015/08/25 16:00

日本フードサービス協会は2015年8月25日付で、同協会の会員会社で構成される外食産業の市場動向調査における最新値となる、2015年7月度の調査結果を公開した。それによると同月の総合売り上げは前年同月比でプラス1.9%を計上した。ファミレス部門やファストフードの麺類、ディナーレストランなどが全体をけん引する形となり、全体値を底上げした。また前年同月は洋風ファストフードで大きなマイナスが生じた初月でもあり、それとの比較となるため、マイナス値も最小限に抑えられている(【日本フードサービス協会:発表リリースページ】)。

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今調査はファストフードやファミレス、パブレストランや居酒屋、ディナーレストラン、喫茶店などを対象としている。対象数は事業者数が194、店舗数は3万2562店舗。今月は前月と比較すると事業社数・店舗数共に減少している。

全業態すべてを合わせた2015年7月度売り上げ状況は、前年同月比で101.9%となり、1.9%の増加を記録した。これは先月から転じる形で2か月ぶりの増加となる。前年同月と比べると日取り(休日や土曜日の日数)の上では土曜日・日曜日の日数は変わらず、気温は東京・大阪共に前年とほぼ変わらないものの、雨天日は東京で1日少なく、大阪では5日も多いことから、ファミリー層に需要の多い業態ではマイナス要因と判断できる。ただし資料には無いが7月は後半から大いに晴れ、気温も上昇したことを受け、外食産業にはプラスと働いた面もある。

業態別に動向を見ると、ファストフードは全体では前月から転じて9か月ぶりのプラス(プラス0.1%)。ハンバーガーチェーン店がメインの洋風は、そのメイン企業となるマクドナルドが、昨年夏からの相次ぐトラブル、さらにはそれをきっかとした中長期に渡る問題点の露呈化や市場動向の変化に対応しきれない状況が継続しており、客数は大きく下落。客単価はプラス化しているものの、客数の減退ぶりは補いきれない状況となった。

ただし主軸となるマクドナルドで大規模な客の減少が生じた事案が発生したのは昨年の7月からで、その時のマイナス値との比較となるため、下げ幅は最小限に留まっている。とはいえ、マクドナルド単体の7月における営業成績はマイナス12.6%(売上、既存店、前年同月比)と芳しくないことに違いは無い。同業他社のモスバーガーではプラス12.7%(同)を示しており、いかにマクドナルドの影響が大きいかがうかがえる。

牛丼チェーン店を含む和風は、客数はマイナス7.5%、客単価は大きく上げてプラス11.7%と成し、売上もプラス3.4%とプラスを計上。大手の吉野家が牛丼など価格を昨年12月に引き上げたことや、鍋メニューをはじめ、他社も合わせて高単価商品を続々と展開したのが大きな要因。持ち帰り米飯・回転寿司は店舗数の減少に伴う客数減退も影響してマイナス(ただし店舗数はマイナス2.0%で客数減退はマイナス5.6%のため、店舗数は原因の一つでしかない)。

ファミリーレストラン部門は中華以外は特にマイナスとなる要素も無く堅調。特に7月の後半は厳しい暑さを見せたことを受け、スタミナのイメージがある焼肉が大きく伸びる形となった。パブ/居酒屋部門ではパブが天候の良好さを受けて客足が伸び、プラスに。一方で居酒屋は店舗数減退が響く形でマイナスを継続中。

ディナーレストラン(高級レストランに代表されるリッチスタイルな専門飲食店)は客数・客単価・店舗数すべてにおいて堅調となり、売上も前年同月比でプラス8.2%と大きな伸びを示した。

↑ 外食産業前年同月比・全店データ(2015年7月分)
↑ 外食産業前年同月比・全店データ(2015年7月分)

雨は多めとなったが
月後半の好天化から
客足は堅調。
スタミナ系の店舗や
ビアホールなども好調。
高級志向を受けて
ディナーレストランも
調子が良い。
昨年4月の消費税率改定に伴う消費性向の減退影響も直接的にはあまり生じなかった外食産業だが、昨夏における天候の悪化、そして中国産鶏肉食材問題と2つのイレギュラー的なマイナス要素が足を引っ張り、むしろ状況は昨夏以降は低迷感をぬぐえない状態が続いている。特に後者は食材問題自身の影響に加え、それをきっかけとして業界の一部部門(ファストフード・洋食)における根本的な問題が露呈する形となった。大きな社会問題化した異物混入事件まで加わり、昨年夏以降大きなシェアを有するマクドナルドに相次いでいる状況に、ファストフード部門、さらには外食産業全体が多分に振り回されている感はある。今回月からは軟調化開始から1年が経過することもあり、該当事業の「前年同月比における」マイナス幅は縮小しているものの、構造的な状況改善には至っていない。

もちろんこの動向を手をこまねいて見ているだけのはずがなく、同一業態内の洋食ファストフードの他チェーン店では自社の得意部門にさらなるリソース投入を行い、新商品・サービスを展開し、個性の強調・区別化を図る施策を実施している。またつまづきを見せたマクドナルド自身も「最悪期は脱した」とのコメントを発し、次々に施策を打ち出しているが、それが効果的なものとなるのか否かを見極めるにはしばらくの時間が必要に違いなく、今なお業績の上では小さからぬマイナス値を計上しているのが実態。

一方同じファストフード内の和風のメインとなる牛丼チェーン店だが、吉野家を中心にこれまでの廉価店の店舗イメージから少しずつ、そして確実に、ワンステップ上の価格帯における商品展開を行う業務スタイルにシフトする動きが見受けられる。客数の減退と客単価の上昇が連動して起きる状況が継続しており、中期的戦略転換が数字となって表れているように見える。

居酒屋の不調続きも要注意ポイント。こちらは食材の影響は無く、純粋にビジネススタイルそのものが時代の流れの中で歯車のずれを生じ、店舗数そのものも漸減してしまっている。現在は可処分所得の減少、中食へのシフト、お酒を飲む機会の変化など、居酒屋にはマイナスとなる環境の変化の真っただ中にある。複数人数が一緒に来店して会食をする点では、お酒を飲むこと以外は類似点が多いファミリーレストラン部門が大よそ堅調なのも対象的。

もっとも居酒屋の業態そのものが時代に取り残されたわけでは無い。牛丼チェーン店の吉野家が試験運用している「吉呑み」が堅調さを示し、ちょっと一杯飲みに行くスタイルでは先駆者ともいえる中華料理店の日高屋が好評を博しているとの報告が相次ぎなされ、その実態が明らかにされている現状を見るに(運営会社のハイデイ日高の月次売上を確認すると、ここ数年は前年同月比でほとんどの月においてプラスを呈している。ちなみに今回該当月にあたる2015年7月は既存店で客数プラス1.5%・客単価プラス0.8%、売上高プラス2.3%を計上している)、既存の居酒屋にも環境を直視した上で、何らかの変化が求められているように思える。

牛丼業界の動きやディナーレストラン、ファミリーレストランの動きの良さを合わせ見ると、外食産業でも消費の二極化が進んでおり、中庸的なポジションの市場が縮小している感は否めない。他部門がこれらの状況の波にうまく乗る中で、とりわけここ数か月不調が続くファストフードの洋風、そして居酒屋、この2部門が実のところ、この「中庸的ポジション」に当てはまるようにも見えてくる。そのままの座をあえて維持して回復を目指すのか、それともどちらかにかじ取りを試みるのか。外食産業全体の動向を精査するうえで、今後も注視すべき重要ポイントといえる。


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