台風直撃もあり大幅減少…熱中症による搬送者数は1週間で286人(2015年9月7日-9月13日)

2015/09/15 10:00

総務省消防庁は2015年9月15日、同年9月7日から9月13日の一週間における熱中症搬送人数が286人(速報値)であることを発表した。前回週の552人(速報値からの改定値)と比べると266人の減少となった。また今年の熱中症による搬送人数は、消防庁が今年カウントを始めた4月27日以降における累計人数としては5万5521人(速報値、一部改定値や確定値による累積)に達している。初診時に熱中症を起因とする死亡者は今回週では幸いにもゼロだったが、3週間以上の入院加療が必要な重症判定を受けた人は3人が確認されている(【消防庁:熱中症情報ページ】)。

スポンサードリンク


↑ 熱中症による救急搬送状況(週単位・速報値(一部確定値)・2015年・人)
↑ 熱中症による救急搬送状況(週単位・速報値(一部確定値)・2015年・人)

↑ 熱中症による救急搬送状況(該当週・日単位・速報値・2015年・人)
↑ 熱中症による救急搬送状況(該当週・日単位・速報値・2015年・人)

↑ 熱中症による救急搬送状況(年齢区分)(2015年)
↑ 熱中症による救急搬送状況(年齢区分)(2015年)

今夏の電力事情に関して政府発表を元に精査した記事【「今年も数値目標なし」…2015年夏の節電要請内容正式発表】などで解説の通り、今年夏も昨年同様、法的拘束力のある電力使用制限令、または数字目標のある節電要請は発せられることなく、数字目標無しの節電要請に留まることとなった。しかし震災から4年が過ぎた今なお、電力需給の観点で不安な状況が継続していることに違いはない。

さらに気象庁が今年春先に発表した中期予報では、気温は平年並み、あるいはやや低めで、7月から8月にかけては雨が平年よりは多くなるとの予想が出されていたが、6月は気温が高めに推移する可能性が高いとされ、熱中症への懸念も大きなものがあった。また昨年は気温の上昇が早めに生じ、5月から、特にゴールデンウィーク前後において、熱中症で救急搬送される人が多分に確認された。

そこで消防庁では【消防庁の熱中症搬送患者情報、今年は5月からだそうです】にある通り、昨年までは熱中症に係わる搬送車の調査とその結果報告について5月中旬以降に開始していたものを、今年は4月末から開始し、逐次報告を行うことになった。

↑ 消防庁の熱中症精査報告開始に関する前倒しの案内
↑ 消防庁の熱中症精査報告開始に関する前倒しの案内

今回発表された各種値は今年の分としては第20週目のものとなる。過去に発表された速報値も少しずつ確定値に切り替えられており、改定の際にはいくぶんの増加が確認されている。

今回計測週では台風17号・18号が相次ぎ日本列島に接近し、さらにその台風に刺激される形で秋雨前線も停滞。各地に大雨などをもたらすこととなった。とりわけ台風18号は日本に上陸した上で各地に豪雨をもたらし、関東から北日本にかけて記録的な大雨を観測させている(一部地域では大雨特別警報すら発令されている)。またこの大雨によって鬼怒川が各地で許容範囲を超えた水量となり、茨城県などでは大規模な水害が発生している。


↑ 鬼怒川の堤防決壊などにより水害が発生した栃木や茨城の様相を伝える報道。【直接リンクはこちら:鬼怒川の堤防決壊 自衛隊、取り残された住民救助中(15/09/10) 】

なお気象庁では9月10日付で【エルニーニョ監視速報(No.276)】を発表しているが、現在エルニーニョ現象が生じており、今冬までの間は継続する可能性が高いことを伝えている。気象庁から発表された9月10日付の1か月予報では、北日本においては平年以上の可能性が高めなものの、西日本ではむしろ低めとの予想が出ている。

地域別では東京都の27人をはじめ、鹿児島県の22人、愛知県の20人、埼玉県の18人などが上位についている。とはいえ多い地域でも30人/週を超えることは無く、何らかの集まり、イベントで事案が発生すれば、すぐに大きな変動が起きうる、ぶれが生じやすい順位動向には違いない。それだけ気候が秋めいてきた証拠でもある(もっとも今回週は秋そのものというよりは、台風によるところが大きいが)。

気温状況も東京・大阪共に猛暑日はゼロ、真夏日もゼロを計上している。晴れの日でも30度を超えておらず、夏の過ぎ去りし様相が見て取れる。

↑ 東京都の最高気温と天候(2015年9月7日-9月13日)
↑ 東京都の最高気温と天候(2015年9月7日-9月13日)

↑ 大阪府の最高気温と天候(2015年9月7日-9月13日)
↑ 大阪府の最高気温と天候(2015年9月7日-9月13日)

↑ 熱中症による救急搬送状況(2015年9月7日-9月13日)(搬送人数上位都道府県、人)
↑ 熱中症による救急搬送状況(2015年9月7日-9月13日)(搬送人数上位都道府県、人)

消防庁では今件熱中症の救急搬送者の統計ページにおいて、熱中症対策のリーフレットを配布している。また、関連省庁の熱中症に係わるページへのリンクも配し、さまざまな象徴の対策状況や情報を確認できる。各自治体でも情報提供を展開中(一例:【熱中症に注意しましょう(横浜市 健康福祉局)】)

↑ 熱中症の応急手当。上記記載の消防庁配布によるリーフレットから
↑ 熱中症の応急手当。上記記載の消防庁配布によるリーフレットから

環境省では熱中症対策の一環として発表している暑さ指数(WBGT)予想値・実況値の情報提供について、5月13日から開始している。今件情報はパソコン向けだけでなくスマートフォン用にも提供されている(【環境省熱中症予防情報サイト】【環境省熱中症予防情報サイト(スマートフォン用)】)。

↑ 環境省熱中症予防情報サイト
↑ 環境省熱中症予防情報サイト

今回発表されたリリースでは日付を合わせる形で同年同時期の搬送者数を参考値として提示しているが、それによると昨年の同時期における搬送者数(確定値)は481人。今年は速報値で比較すると6割ほどの値に留まっている。地域別詳細を見ると、大よそ昨年よりも今年の方が少ない値だが、東京都や神奈川県、埼玉県、千葉県、福島県など、関東地域で昨年を上回る値を示しており、これが全体値を底上げしたようだ。

他方累計搬送者数について、前年と比較できる期間(5月19日以降)に限って比較すると、2014年は4万0860人だったのに対し、今年はすでに5万4027人となり、1万人以上の増加が確認されている。今後残暑が到来することとなれば、さらに昨年以上の値が生じてしまう可能性は否定できない。ただし昨今の気象状況を見る限りでは、その確率はさほど高くない。

電力需給の観点では昨年の状況から進歩がほとんど見られないのが残念な話ではある(一応、九州電力管轄の川内原発が再稼働を行い、2013年9月に関西電力の大飯原発停止以降、原発による発電が無い状況からは1年11か月ほどぶりに脱することとなったが)。ちまたで電力不足が騒がれ、また電気代の高騰が続くと、冷房機器の利用を避ける心理が働き、ただでさえ気温の変化への反応が鈍い高齢者の熱中症のリスクが上乗せされることは容易に想像ができる(【熱中症とクーラー利用の関係、ちょっと見えてきた】【高齢者の熱中症のリスクは「エアコンあるけど使わない」が多分にあった、その調査結果を確認】との話もある)。

秋めいた気候が日々を過ごしやすいものとし、熱中症のリスクを忘れてしまいそうな油断が生じる。しかしまだ熱中症の症状を発する可能性は多分にある。引き続き、各自最善を尽くしたいものだ。


■関連記事:
【熱中症による救急搬送者の内情をグラフ化してみる】
【熱中症についてまとめてみる】
【熱中症経験者は1割足らず、予防対策は「水分補給」に冷房、帽子や日傘使用】
【車内火傷0.95%、車内熱中症・脱水症状0.63%という実態】
【高齢者の熱中症と「暑さを感じにくい」と室内での発症・救急搬送者の経年調査データと】
【30年前と比べて平均気温は上がっていないように見えるので今の「暑い」は単に我慢が足りないだけ...って本当なのか?!】

スポンサードリンク




▲ページの先頭に戻る    « 前記事|次記事 »

(C)2005-2016 ガベージニュース/JGNN|お問い合わせ|サイトマップ|プライバシーポリシー