婚活、イクメン、女子力、デパ地下、大人買い…その言葉、聞いたことある? 使ったことある!?

2015/09/23 11:40

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人々の意志疎通に使われるツールとなる言葉においては、多様な事情から複数の言葉をつなぎ合わせて合成される複合語や、長すぎるなどの理由で短縮化される省略語が登場することがある。多くは一過性のもので時の流れと共に廃れていくが、中には長きに渡り使われ続け、由来が不確かに伝承されて単独に産まれ出た言葉のように認識される場合もある。今回は昨今耳にする機会があるそれらの「新設造語」の中からいくつかの言葉に関して、その周知利用状況について、文化庁が2015年9月17日に発表した「平成26年度 国語に関する世論調査」の概要から、確認していくことにする(【発表リリース:平成26年度「国語に関する世論調査」の結果について】)。


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「大人買い」は案外周知されていない


今調査は2015年1月から2月にかけて全国の16歳以上の男女に対して個別面接調査方式によって行われたもので、有効回答数は1942人。男女比・世代構成比などは今概要書では非公開。

次に示すのは今回の調査にあたり、調査側が独自に選んだ新設造語の類に関して、回答者が「聞いたことが有り、使ったことも有る」「聞いたことは有るが、使ったことは無い」「聞いたことは無い(=当然使ったことも無い)」「分からない」の中から一つを選んでもらった結果。青系統は少なくとも認識していることを意味するものだが、今回提示された言葉に限れば、ほとんど周知されていることになる。

↑ 次の言葉を聞いたことがあるか、使ったことがあるか(2014年度)
↑ 次の言葉を聞いたことがあるか、使ったことがあるか(2014年度)

小見出しで言及の通り、「大人買い」がやや「聞いたことが無い」との人が多いが、それでも8割近くは知っている。「デパ地下」と「クールビズ」は他の言葉と比べれば歴史もあることから、聞いたことがあるだけではなく実際に使っている人も4割を超えている。これならひとときの流行言葉では無く、新しい言葉として認識されそうだ。

他方「婚活」「イクメン」「女子力」は認知こそされているものの、使用率はさほど高くない。言葉の意味そのものに汎用性・普遍性があるとはいえず、特定の場面に限られるのも、使用率が低い要因なのだろう。

世代別で変わる周知度と使用度


次に示すのはそれぞれにおける年齢階層別の使用状況。「聞いたことが有り、使ったことも有る」「聞いたことは有るが、使ったことは無い」の二つに限り集計している。赤い数字は「ともあれ知っている」人の割合である。

↑ 次の言葉を聞いたことがあるか、使ったことがあるか「婚活」(2014年度)
↑ 次の言葉を聞いたことがあるか、使ったことがあるか「婚活」(2014年度)

↑ 次の言葉を聞いたことがあるか、使ったことがあるか「イクメン」(2014年度)
↑ 次の言葉を聞いたことがあるか、使ったことがあるか「イクメン」(2014年度)

男女関係に絡んだ用語だが、「イクメン」の70歳以上をのぞけば大よそ9割に認知はされており、高い認識率を示している。一方使用度合いに関しては、「婚活」が20代から60代で2割超え、特に30代では4割超えの値を示し、年齢的によく使われているであろう歳であることが容易に理解できる(50代でやや上昇しているのは回答者自身では無く、その子供に対する発言の際に使うのだろうか)。

「イクメン」は30代から50代で高めの使用率。やはり実際に回答者自身、あるいは周辺の人が対象となりうる年齢で、良く使われるようである。

↑ 次の言葉を聞いたことがあるか、使ったことがあるか「女子力」(2014年度)
↑ 次の言葉を聞いたことがあるか、使ったことがあるか「女子力」(2014年度)

「女子力」は使う人、場面によって意味合いが多分に異なる言葉としても知られているが、世間一般に利用されるようになったのはこの10年ぐらいのもの。認知そのものは60代でも85%に届いているが、使用率となるときれいな形で若年層ほど高い値を示している。10代では57.6%と半数以上、20代ではジャスト半数が使用ありとの回答。使いどころを考えると、若年層ほど高い値となるのも当然かもしれない。

↑ 次の言葉を聞いたことがあるか、使ったことがあるか「デパ地下」(2014年度)
↑ 次の言葉を聞いたことがあるか、使ったことがあるか「デパ地下」(2014年度)

↑ 次の言葉を聞いたことがあるか、使ったことがあるか「大人買い」(2014年度)
↑ 次の言葉を聞いたことがあるか、使ったことがあるか「大人買い」(2014年度)

ほぼ同じ時期、前世紀末から今世紀初頭にかけて広まり始めた「デパ地下」「大人買い」だが、言葉が表す意味、利用状況の違いもあり、前者は年齢階層を問わずに周知されているものの、後者は60代以降になると周知率が大きく下がる。

利用率もやはり言葉の意味、利用場面に係わる形で上下しており、「デパ地下」はその場をよく使うであろう30代から50代でもっとも高く、70歳以上になって初めて大きな減少を示す。「大人買い」はといえば20代がピークで40代まではほぼ同率、50代になると利用率が大きく下がる。あくまでも一つの仮説、推論だが、行為としての大人買いは、40代ぐらいまでは一般的なものとして了承・肯定されているのかもしれない。

↑ 次の言葉を聞いたことがあるか、使ったことがあるか「クールビズ」(2014年度)
↑ 次の言葉を聞いたことがあるか、使ったことがあるか「クールビズ」(2014年度)

「クールビズ」は就業中の人が用いる事例が多いことから、20代で使用率がグンと跳ね上がり、50代まで続く。60代でも高めの値が維持されるが、70歳以上では大きく下がる。言葉の意味と利用される場面が、言葉自身の使用率に大きく反映される実例といえる。



今回取り上げた「新設造語」はいずれも歴史が浅く、また社会状況の変化次第ではあっという間に古語的扱いに追いやられてしまう可能性もある。「国語に関する世論調査」でこれらの言葉の継続調査を行うか否かは不明だが、例えば5年後、10年後に同様の調査をした場合、どのような周知度・使用度の変化が生じているだろうか。興味深い話ではある。


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