前線の停滞続き天候も崩れ搬送者数も減少続く…熱中症による搬送者数は1週間で528人(2015年8月31日-9月6日)

2015/09/08 10:00

総務省消防庁は2015年9月1日、同年8月24日から8月30日の一週間における熱中症搬送人数が632人(速報値)であることを発表した。前回週の2403人(速報値からの改定値)と比べると1771人の減少となった。また今年の熱中症による搬送人数は、消防庁が今年カウントを始めた4月27日以降における累計人数としては5万4552人(速報値、一部改定値や確定値による累積)に達している。初診時に熱中症を起因とする死亡者は今回週では幸いにもゼロとなったが、3週間以上の入院加療が必要な重症判定を受けた人は6人が確認されている(【消防庁:熱中症情報ページ】)。

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↑ 熱中症による救急搬送状況(週単位・速報値(一部確定値)・2015年・人)
↑ 熱中症による救急搬送状況(週単位・速報値(一部確定値)・2015年・人)

↑ 熱中症による救急搬送状況(該当週・日単位・速報値・2015年・人)
↑ 熱中症による救急搬送状況(該当週・日単位・速報値・2015年・人)

↑ 熱中症による救急搬送状況(年齢区分)(2015年)
↑ 熱中症による救急搬送状況(年齢区分)(2015年)

今夏の電力事情に関して政府発表を元に精査した記事【「今年も数値目標なし」…2015年夏の節電要請内容正式発表】などで解説の通り、今年夏も昨年同様、法的拘束力のある電力使用制限令、または数字目標のある節電要請は発せられることなく、数字目標無しの節電要請に留まることとなった。しかし震災から4年が過ぎた今なお、電力需給の観点で不安な状況が継続していることに違いはない。

さらに気象庁が今年春先に発表した中期予報では、気温は平年並み、あるいはやや低めで、7月から8月にかけては雨が平年よりは多くなるとの予想が出されていたが、6月は気温が高めに推移する可能性が高いとされ、熱中症への懸念も大きなものがあった。また昨年は気温の上昇が早めに生じ、5月から、特にゴールデンウィーク前後において、熱中症で救急搬送される人が多分に確認された。

そこで消防庁では【消防庁の熱中症搬送患者情報、今年は5月からだそうです】にある通り、昨年までは熱中症に係わる搬送車の調査とその結果報告について5月中旬以降に開始していたものを、今年は4月末から開始し、逐次報告を行うことになった。

↑ 消防庁の熱中症精査報告開始に関する前倒しの案内
↑ 消防庁の熱中症精査報告開始に関する前倒しの案内

今回発表された各種値は今年の分としては第19週目のものとなる。過去に発表された速報値も少しずつ確定値に切り替えられており、改定の際にはいくぶんの増加が確認されている。

今回計測週では日照時間の少なさと気温の低下が話題を呼んだ8月も終わり9月に入ったものの、前線が本州付近に停滞する日が続き、低温が継続される兆しも。地域によっては記録的な大雨に襲われ、また雷も観測されている。しかし週半ば以降は暑さが戻り、時期的には残暑の到来ともいえる状況が確認されている。ただし気象上の不安定感は強く、複数の地域で竜巻の目撃情報が寄せられるほど。また一週間の気温差が大きく、体調不良への留意は先月同様に必要となっている。


↑ 竜巻的現象を伝える報道映像。【直接リンクはこちら:相次ぐ突風に竜巻・・・夏と秋の板挟みで列島に前線停滞(15/09/07)】

なお気象庁では8月10日付で【エルニーニョ監視速報(No.275)】を発表しており、今冬まで継続する可能性が高いことを伝えている。気象庁から発表された9月3日付の1か月予報では、すべての地域において気温は平年並み、むしろ低めとの予想が出ている。実際、計測週の気温も比較的穏やかなものとなり、搬送者数も抑えられる形となっている。

地域別では埼玉県の47人をはじめ、愛知県の33人、千葉県・東京都・神奈川県の32人、大阪府の29人と、人口が多めの地域で上位計上が確認できる。とはいえ値そのものは3ケタどころか50人すら割り込んでおり、かつての勢いはない。気温も猛暑日はゼロ、真夏日も東京では3日、大阪では2日のみの観測で、天候でも雨の日がちらほら確認できる。

↑ 東京都の最高気温と天候(2015年8月31日-9月6日)
↑ 東京都の最高気温と天候(2015年8月31日-9月6日)

↑ 大阪府の最高気温と天候(2015年8月31日-9月6日)
↑ 大阪府の最高気温と天候(2015年8月31日-9月6日)

↑ 熱中症による救急搬送状況(2015年8月31日-9月6日)(搬送人数上位都道府県、人)
↑ 熱中症による救急搬送状況(2015年8月31日-9月6日)(搬送人数上位都道府県、人)

消防庁では今件熱中症の救急搬送者の統計ページにおいて、熱中症対策のリーフレットを配布している。また、関連省庁の熱中症に係わるページへのリンクも配し、さまざまな象徴の対策状況や情報を確認できる。各自治体でも情報提供を展開中(一例:【熱中症に注意しましょう(横浜市 健康福祉局)】)

↑ 熱中症の応急手当。上記記載の消防庁配布によるリーフレットから
↑ 熱中症の応急手当。上記記載の消防庁配布によるリーフレットから

環境省では熱中症対策の一環として発表している暑さ指数(WBGT)予想値・実況値の情報提供について、5月13日から開始している。今件情報はパソコン向けだけでなくスマートフォン用にも提供されている(【環境省熱中症予防情報サイト】【環境省熱中症予防情報サイト(スマートフォン用)】)。

↑ 環境省熱中症予防情報サイト
↑ 環境省熱中症予防情報サイト

今回発表されたリリースでは日付を合わせる形で同年同時期の搬送者数を参考値として提示しているが、それによると昨年の同時期における搬送者数(確定値)は838人。今年は速報値で比較すると6割ほどの値に留まっている。地域別詳細を見ると、大よそ昨年よりも今年の方が少ない値だが、一部地域、例えば茨城県や埼玉県、沖縄県、長崎県、大分県などで昨年を上回る値が出ており、これが全体値を底上げしたようだ。

他方累計搬送者数について、前年と比較できる期間(5月19日以降)に限って比較すると、2014年は4万0379人だったのに対し、今年はすでに5万3717人となり、1万人以上の増加が確認されている。今後残暑が到来することとなれば、さらに昨年以上の値が生じてしまう可能性は否定できない。

電力需給の観点では昨年の状況から進歩がほとんど見られないのが残念な話ではある(一応、九州電力管轄の川内原発が再稼働を行い、2013年9月に関西電力の大飯原発停止以降、原発による発電が無い状況からは1年11か月ほどぶりに脱することとなったが)。ちまたで電力不足が騒がれ、また電気代の高騰が続くと、冷房機器の利用を避ける心理が働き、ただでさえ気温の変化への反応が鈍い高齢者の熱中症のリスクが上乗せされることは容易に想像ができる(【熱中症とクーラー利用の関係、ちょっと見えてきた】【高齢者の熱中症のリスクは「エアコンあるけど使わない」が多分にあった、その調査結果を確認】との話もある)。

台風の接近も相次ぎ、秋めいた気候が日々を過ごしやすいものとし、熱中症のリスクを忘れてしまいそうな油断が生じる。しかしまだ残暑の可能性は多分にあり、むしろ気温の高低差が激しいと体力消耗による体調不良の危険性は否定できない。引き続き、各自最善を尽くしたいものだ。


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